9月1日/侑eyes 異世界
ー君の魂に抱かれてー(きみのこころにだかれて)
この作品はフィクションです。
登場する人物・団体・地名・事件・世界設定などは全て架空の物であり、
実際の物とは一切関係ありません。
「君の魂に抱かれて」は本編とboy and girls' aspects
で構成されています。
初めて読む方は、本編からご覧ください。
ーboy and girls' aspectsとは?ー
このモードは主人公の視点ではなく、
君の魂に抱かれての主人公以外の登場人物の視点です。
これにより、より世界観がわかりやすくなります。
※目次の場合、下に行くほど時間が最新です。
潤達は無事なのか!?
俺と菜月、聖夜と全力で走っている。
そんな中でも、俺の胸には様々な感情が生まれている。
仲間を置いて自分達だけ逃げた『後悔』
銃に撃たれて桜凛高校の生徒が死んで、次は自分達が殺されるんじゃないかという『恐怖』
そして、この世界の『理不尽』
色々な感情で、脳がフラッシュしそうだ……。
『何で……俺達は……こんな世界に来てしまったんだろう?』
この感情は、『怒り』『憎しみ』
それすら超えたものかもしれない。
本当に脳がおかしくなりそうだ。
「くそ!俺達がなにやったって言うんだ!!」
本能のまま叫んだ。
桜凛高校の生徒の数人は俺達の目の前で、射殺された。
罪を犯した訳でもなく、ただ、理不尽に……。
理由も知らず……。
何も抵抗する武器など持ってない俺達はただ、
撃たれて死ぬしかないのか?
そんな中でも逃げれた俺達は幸運だろう。
あの時の判断が少しでも間違えれば、此処にいないかもしれない。
俺だけではなく、全員。
あの時、聖夜が煙幕弾を発砲しなければ、
恐らく全員、死んでいただろう。
「侑……」
菜月はひ弱な声で俺に話しかける。
「どうした?」
俺達は走っている。
周りは誰もいない。
いるのは、俺と菜月と聖夜だけ。
「ごめんなさい……」
菜月は俺に謝る。
恐らく、大声で叫んで桜凛武装高校の生徒にバレタことだろう。
「なにが?」
「あの時、大声を出しちゃって……侑と聖夜を危険……」
「ストップ」
そこまで菜月が言いかけて、俺は菜月の口語を止める。
「確かにあの時は絶体絶命だった。だが、結局は助かっている。あの時、菜月が叫ばなかったら、また違う未来になっている」
そう。
あのとき菜月が叫ばなかったら、今とは違う未来。
その菜月が叫ばなかった未来は誰にも想像出来ない。
良い未来かも知れないし、最悪の未来かもしれない。
「あの時、菜月が叫ばなかったら、俺達の未来も大きく変わっている」
結局は助かった。
いや、『俺達は』助かった。
潤と美唯の生存はわからない。
電話も使えない。
存在を確かめるための手段がないのだ。
「そんなに気を落とすな!菜月!結局は助かっているそれだけでいいだろう?」
聖夜もバックアップを入れる。
「だけど……潤と美唯は……?」
「大丈夫だ!絶対に生きている」
自信満々に聖夜は言う。
聖夜も根拠なんてないだろう。
菜月を励まそうとしている。
「菜月!仲間を信じろ!」
俺はそれしか言えない。
俺だって、胸が裂けるぐらいに心配しているし、
辛いし、苦しい。
だが、俺は信じている。
潤のことを……。
そして、美唯のことを……。
◇◆◇◆◇◆◇◇◆◇◆◇◆◇
俺達は、中心街に着いた。
相当走った。
「しかし……本当に誰もいないんだな……」
聖夜は辺りを見回す。
そこは、明かりもなく静寂に包まれている。
「そうだな……」
俺達以外の人間は何処にいるんだろう?
それは、全然検討がつかない。
「とりあえず、何か食べるか……」
聖夜はいきなりそんなことをいいだした。
「そうだな……何か食べるか……」
俺も腹が空いた。
今日の昼は何食ったけ……?
ああ、学食でカツ丼か……。
「え……?どうやって?」
確かに人はいない。
だが、食べ物はある。
だとするなら……。
俺達は、デパートの入り口の前に立つ
そして……。
『発砲!!』
俺と聖夜は同時にエアガンを取り出し、入り口のガラス目掛けて発砲する。
『バ―――ンッ!!!』
俺達のエアガンは色々改造してあり、ガラスなどを割るほどの威力はある。
人間でも当たり所が悪かったら死に至る場合もあるほどの威力。
もちろん潤たちとのサバゲーでは使ったことはない。
このエアガンは護身用だ。
だとしたら、あの時『桜凛武装高校の生徒を撃てよ』
という話になるが、
相手は『防弾制服』を着ており、エアガン何てきかないとわかっていた。
「まだだ聖夜!発砲!!」
『バ―――ンッ!!!』
流石はデパートの正面入り口……。
そう簡単には割れないか……。
「ちょっと!あんた等なにやってんの!?」
食べ物を食べるためには、コレしかない。
本当の世界なら即、警察のお世話になるが、
この世界には警察なんていない。
「聞いてるのっ!?」
菜月の声を流し、俺達は発砲を続ける。
だが、ガラスは割れない。
「くそ!頑丈だな!」
あの聖夜ですら手こずっている
確かに頑丈だ。
この武器じゃ駄目なのか?
「そんな程度であきらめるな!相手が菜月だと思って発砲しろッ!!」
「よっしゃ―――!!!」
『バ―――ンッ!!!』
俺達は発砲する。
と、此処で悪魔登場。
「誰があたしだと思って発砲しろだ―――!!!」
『ズバシ―――ンッ!!』
「ぐはぁ――ッ!?」
俺の頭にチョップが炸裂。
一瞬、頭がクラクラした。
が、ここで俺達ではない音が響き渡る……。
『ズドドドドドドドドッ!!!!!』
「――ッ!?」
銃声が聞こえた。
これはサブマシンガンか!?
しかもかなり近い。
『パリ―――ンッ!!!』
正面入り口のガラスが砕け散った。
銃弾はガラスに直撃したようだ。
ということは、相手は本物!?
さっきのは威嚇か!?
「何をしている?お前達?」
銃声のした方向から声がする。
しかも、話かけられた。
俺は反射的にエアガンを構える。
「エアガンで勝てると思っているのか?」
振り返るとそこには金髪碧眼の一人少女がいた。
あの制服は桜凛高校……現代剣術科か?
その少女は失笑しながら、サブマシンガンを構える。
腰には刀も下げている。
菜月が俺の後ろに隠れる。
そして俺達はエアガンを構えた。
少女の武器はサブマシンガン。
勝てる訳がない。
だが、俺はあきらめない!
「…………」
少女を睨みつける。
すると少女の軽いツリ眼で少女も睨み返してくる。
俺の脳内で学校での出来事を思い出す。
それは、血まみれの生徒。
俺達もあんな風になってしまうのか?
「ぷぅ……あははははっ!」
少女は笑い始めた。
その笑いは不潔なものではなく、可愛らしい笑みだった。
一瞬、何が起こったのか解らなくなった。
「あはははっ こんな事をしていても仕方ない」
少女はサブマシンガンをしまった。その声はまだ笑っている。
そして少女はこちらを見てくる。
「お前達の方は戦闘の意思があるようだな……」
「いえ、そのつもりは一切御座いません」
俺達は同時にエアガンをしまう。
気持ち悪いほど、声が合ってしまった。
一体この少女はなんのつもりだ?
「ふぅ……あはははははっ!」
少女は再び笑い出す。
その笑顔はとても可愛らしかった。
なんか、いきなり緊張が解けた。
「お腹が減っては何も出来ない。行くぞ」
少女はガラスが割れた正面入り口から入る。
いきなりの展開にびっくりしたが、
俺達はそれを見送る。
「お前達も来い!」
先にデパートに入った
少女の声だけが聞こえる。
「どうする?」
俺は二人に話しかける。
「いいんじゃね?可愛いし」
良悪の判断の基準がずれているような……。
流石は聖夜だな。
「まぁ、確かに可愛いけど……」
相手はあの桜凛武装高校の生徒。
油断は出来ない。
だが、あの少女は信じてみようと言う気分になれる。
「そんなことで決めてもいいの?命もかかってるのに……」
そう命もかかっている。
だが……。
「だかれこそだ!」
「え……?」
菜月は驚きの声を上げる。
俺の考えを菜月に教えつける。
「俺達は、桜凛武装高校に勝てる術はない」
相手は銃は刀。
もしかしたら、もっとすごい武器があるかもしれない。
この場を逃げても、
またいつか俺達は桜凛武装高校の生徒に遭遇するだろう
そのときはどうなる?
俺達には、互角に戦う武器などない。
だとしたら、俺達は『死ぬ』
だが、この少女は攻撃はしてこない。
だとしたら、共に行動してくれるかもれない。
一緒に行動してくれれば、危険性は一気に減る。
「もしかしたら、一緒に行動してくれるかもしれない!」
可能性としては低い。
だが、相手は人間。
話も出来るし、分かり合える。
「来ないのかぁ~!?」
入り口から、少女の声がする。
俺の考えは一つだった。
「行くぞ!菜月!聖夜!」
俺は入り口目掛けてダッシュする。
「本当に行くの!?」
「やっほ―――ッ!!!」
菜月と聖夜もついてくる。
聖夜のノリはおかしいが……。
まぁ、いいや。
俺達はデパートの中へ……。
「おお、来たか」
「はい! お供させて貰います。
俺は今になってためらってしまう。
言ってもいいのだろうか?
こんなにも単刀直入に……。
「ん?どうした?」
言わないと俺達は助からないだろうっと俺は決心する。
「俺達を仲間にしてください!」
俺は同時に頭を下げる。
これは俺の単独行動。
誰にも教えていない。
「「ハァ?」」
菜月と聖夜が唖然とする。
それもそうだ。
二人はこのことを知らない。
「な、仲間っ!?」
少女が驚いたのか、すこし裏声を出す。
もう一回アタックだ!
「仲間にしてください!」
俺は深く頭を下げ、もう一回頼む。
これは俺達の生死にもかかっている。
この選択が合っているかは誰にもわからないが、俺は正しいと思う。
「な、仲間……」
なぜか、少女は頬を赤らめている。
どうしたのだろうか?
「…………」
しばらく妙な空気が流れる。
何か気に触れたのだろうか?
ま、まさか殺されるっ!?
「あ、あの~~~」
俺は『My world』に入り込んでいる少女に話しかけた。
「ひゃうっ!?」
少女が完璧な裏声を出す。
なにか様子が変だ。
っと、そこで菜月が小声で話しかけてくる。
「……ちょっと、侑……あんたなんのつもりよ……」
「……これが最善の選択なんだ……」
俺達の小言の話合いに聖夜も乗る。
「……そうだ……これが最善の選択なんだ……ウフフフフ……」
聖夜が怪しげに笑い出す。
だから、そっちの気はないって……」。
「……お前は意味が違うだろ……」
どうせ聖夜は可愛い子の仲間になれるって意味だろう。
何をする気なんだ……。
「仲間……か……」
少女は何か憧れを掴んだような笑みを浮かべる。
そして、ひとつ咳払いをする。
「よし!いいだろう!」
少女は俺達の前に立ち、堂々とした態度をしている。
ほ、本当か!?
でも、なんだったんだ!?さっきまでのあの間は!?
「ほ、本当ですかっ!?」
案外あっさりだった。
俺達は本当に運がいいのかもしれない。
会った人間がこの少女で良かったと心の奥底から思った。
「もちろんだ。私がリーダーだ!いいな!」
少女は確かめるようにそう言う。
むしろ、他に誰がリーダーをするんだろう?
「はい!何処までも着いていきます!」
「はい!俺も…ウフフフフッ!」
最後まで言い切れず、途中で怪しい笑いを入れる。
その怪しい笑いはやめろって……。
勘違いされるだろ……。
「あ、はい……」
菜月はあまり乗らないようだが、正反対に聖夜はノリノリだ。(違う意味で)
「私は桜凛武装高校3年現代剣術科で粢 璃桜だ!」
『粢 璃桜』
それがこの少女の名前。
3年と言うことは、先輩か……。
「俺は、天神 侑」
「俺は、衛藤 聖夜。よろしくお願いします!璃桜先輩!」
「あたしは蝶野 菜月です…。よ、よろしくお願いします……粢先輩」
菜月はやはり乗らないようだ。
その代わりに聖夜はノリノリ。
だが、これが最善の判断だと俺は信じている。
「仲間……仲間か……仲間!……仲間?……仲間っ!?」
粢先輩が壊れ始める。
機械のように『仲間』という言葉を連発する。
しかも全てバリエージョンが違う。
だが、粢先輩は何か興奮しているようだ。
俺にはよく分からなかった。
「では早速、食料を確保しよう」
「おおぉぉ!!」
聖夜はノリノリだ。
お腹がすいているのか?
いや、違うな……。
俺達は食料品売り場へ……。
「さぁ!好きな物を取ってこ―――――い!!!!!
粢先輩は食料品売り場に向けて勢い良く人差し指を差して、俺達に命令口調で高らかにそういった。
ここは別に先輩の支配下じゃないでしょう!?
「いやっほ―――――!」
聖夜はノリノリだし……。
そして、聖夜は弁当コーナーへ……。
「ねぇ……本当にいいの?」
菜月がそんなことを聞いてくる。
「俺を信じてみろ。菜月」
俺達は休憩所で待つことにした。
聖夜はパシリってことで。
◇◆◇◆◇◆◇◇◆◇◆◇◆◇
っと、聖夜が弁当を大量に持ってくる。
「全員分持って来たぜ!」
聖夜が弁当を並べ始める。
なんか、申し訳ないが、弁当を食べる。
周りは、暗くなっていた。
だが、デパートの電気はつかない。
「それでは、いただきます」
粢先輩は手を合わせ、弁当を食べ始める。
俺達は聞かなければならない。
この世界のことを……。
「粢先輩!」
「ん?」
俺は粢先輩に聞かなくてはならない。
「この世界はなんなんですか?」
俺はストレートに質問する。
この世界では桜凛武装高校の生徒が、桜凛高校の生徒を攻撃してくる。
電気も使えないし、人もいない。
この世界はわからないことだらけだ。
だからこそ、知らないといけない。
桜凛武装高校の生徒なら何か知っているかもしれない。
「…………」
粢先輩は迷っていた。
言うべきか、言わないべきか。
「いいだろう。お前達は私の仲間だ。私が知っていることは話そう」
◇◆◇◆◇◆◇◇◆◇◆◇◆◇
こうして俺達は知ることになる。
この世界の理不尽を――
この世界の狂気を――
攻撃する理由を――
此処が"異世界"であると言うことも――
ー登場人物ー
粢 璃桜(しとぎ りお):(女)
桜凛武装高校3年現代剣術科のBランク。
いつも最前線で戦う。
彼女の戦闘スタイルは右手に剣、左手に銃。
現代剣術科に入り独自に生み出したスタイル。
そのため、近距離でも遠距離でも対応が可能。
仲間からの信頼は厚い。
彼女が使用している銃はMP7・OBK/SR。
マガジンは20発を4個所持している。
身長:161cm
体重:47㎏
B.W.H:86.52.87
血液型:O
髪色:黄支子色(金髪系)、ロング
誕生日:1月16日
年齢:17
沙耶の中学生の頃からの親友。
沙耶が桜凛武装高校を入学すると知って、
璃桜も沙耶と同じ剣術科を受けたが、レベルが高く。
入学試験で落ち、素人でも入れる現代剣術科へ入学した。
彼女ははまったくの素人から、Bランクまで上がった。
彼女のセンスは開花し続ける。
仲間に憧れている。