9月1日/侑eyes 変化
ー君の魂に抱かれてー(きみのこころにだかれて)
この作品はフィクションです。
登場する人物・団体・地名・事件・世界設定などは全て架空の物であり、
実際の物とは一切関係ありません。
「君の魂に抱かれて」は本編とboy and girls' aspects
で構成されています。
初めて読む方は、本編からご覧ください。
ーboy and girls' aspectsとは?ー
このモードは主人公の視点ではなく、
君の魂に抱かれての主人公以外の登場人物の視点です。
これにより、より世界観がわかりやすくなります。
※目次の場合、下に行くほど時間が最新です。
「よし!じゃぁ、学校で集合な!」
抵抗する潤を無視し、下校路につく。
俺と菜月は幼馴染だから家が近い。
だから、菜月とは幼馴染なのか……。
生まれた場所を呪った。
一方で聖夜の家は学校の近く。
「何で聖夜がいるんだ?」
聖夜の家はもうとっくに通り過ぎた。
なのに、聖夜は俺達についてくる。
「俺の家はどうせ近いから、学校に行くついででも寄れるだろう?」
とのことだ。
学校が集合場だから、学校に行くついでに寄る。
そういう意味のようだ。
「じゃぁ、最初は菜月の家から寄るか」
此処から一番近いのは、菜月の家。
まぁ、俺の家も相当近いけど。
と、そのとき……。
「!!!!!!」
世界が一瞬歪んで見えた。
だが、瞬きをした間にそれは消え去った。
すぐに元に戻った。
「え……?」
「WOW~~~」
菜月は眼を擦りながら声を上げる。
そして、聖夜は思わず横文字が飛び出すぐらいに驚きを見せる。
「なんかさっき歪んで見えなかったか?」
俺は二人に問う。
世界が歪んで見えるなんて……。
俺の眼が悪いのかな?
いや、二人がみたなら俺の眼は正常で、おかしいのは世界になる。
「な、なんか、歪んだ……よね……?」
「あ、そうなのか?持病のめまいかと思った」
「アンタは別に持病なんてないでしょ?」
それはともかく、二人共歪みを見たようだ。
だが、俺はこれ以上は追及しないかった。
気のせいと思い込んだ。
『世界の異常なんて、誰も疑わなかった』
そうしている間に菜月の家に着いた。
「じゃぁ、玄関で待ってて!」
菜月はドアを開け、家に入る。
鍵は掛かっていない。
昔からだ。
毎日親がいるから、鍵は開けているようだ。
あばさんも鍵ぐらい閉めろよな。
無用心だな……。
◇◆◇◆◇◆◇◇◆◇◆◇◆◇
そして、しばらくすると菜月が帰ってくる。
「じゃぁ、行きましょう!」
菜月は鍵を持っている。
あれ?なんで鍵なんて持ってんだ?
「ん?なんで鍵持ってるんだ?」
「なんか今日は、お母さんがいないみたいだから」
おばさんがいないか……。
珍しいな……。
なら、いないなら鍵ぐらいかけろよな……。
「そうなんだ」
菜月の親がいないのか。
久しぶりに挨拶しようと思ったのに……。
まぁ、今度でいいや。
「じゃぁ、次は侑の家だな」
聖夜は俺の肩にポンっと手で叩く。
「そうだな」
即、家の前に着いた。
俺は鍵を開ける。
そして、ドアを開ける
「じゃぁ、玄関で待っててくれ」
「オッケー!」
俺は家の中に入る。
家の中には誰もいない。
あたりまえだ。
親は仕事の都合で此処にいない。
兄さんはもう就職している。
兄さんは俺とは3歳違い。
今は立派な都会で働いている。
そのため、此処にはいない。
親に着いて行くのも選択できたが、
俺は仲間がいる此処に残った。
俺の部屋は2階。
階段を上がり俺の部屋に行く。
「え~~~と、今日はサバゲーだからな……」
俺はサバゲーが趣味のため、それ関係の物はいっぱいある。
出費はバカにならないけど……。
どうしても好きだから買っちゃうんだよな……。
「今日はコイツかな……」
俺のお気に入りのエアガンを取り出す。
これと俺の腕さえあれば、容易く勝てるだろう。
だが、それでは少々楽しくないか。
菜月達を待たせる訳には行かない。
俺は玄関に行った。
「準備オッケー!行こうぜ!」
「じゃぁ、次は俺の家だな」
「え?聖夜の家行くの?」
「行くよ!今日サバゲーだろう!?」
聖夜もサバゲーが趣味。
俺とは色々なライバルだ。
と、コンビニが目の前にある。
「ちょっと、コンビニ行こうぜ!」
色々と準備しないとな。
サバゲーに備えて。
俺はコンビニに入ろうとする。
しかし……。
『ガコン!!』
「ぐはぁっ!?」
開くはずの自動ドアが開かず、
そのまま歩みを進めてしまった。
「アハハハハッ!侑なにやってんの!?」
菜月が獣のように笑っていた。
聖夜も俺を視て笑っていた。
今の俺はすごい痛い子だろうな……。
「なんだよ!このコンビニ!営業放棄かよ!?」
このコンビニは24時間営業。
開かないことはありえない。
自動ドアの故障か!?
「自動ドアも人を見るんじゃないの?」
菜月は俺を指差しながらケラケラと笑っている。
「俺の行いが悪いってか!?」
自動ドアも人を見るのか!?
なんらかの条件に反してた俺は、
入店を拒否されたのか!?
「いや、ここ潰れてるんじゃね?」
聖夜はガラスを覗き込む。
確かに中は暗いし、人もいない。
「そうかもな……」
俺も納得する。
此処が潰れるなんて……。
残念だ……。
便利だったのに……。
「でも、商品はあるけど?」
菜月もガラス越しで店内を見つめる。
俺もガラス越しで見る。
確かに、商品は並んでいる。
今日は営業してないだけなのかな?
ならせめて、ドアに注意書きぐらい書いてくれよな……。
「まぁ、行こうぜ?開いてないならしかたない」
「そうだな」
俺達は歩みを進める。
ドアに直撃した所がまだ痛い……。
◇◆◇◆◇◆◇◇◆◇◆◇◆◇
そして、聖夜の家に着いた。
「まぁ、此処で待ってくれたまえ」
いきなりキャラを変える。
聖夜の家は結構でかい。
親がいい所にでも働いてんのかな?
「早くしてくれよ」
「おおよ」
聖夜は自分の部屋に行く。
「さっきの大丈夫?」
菜月が俺のぶつかった所を見つめる。
多分この額をドアに激突したことだろう。
当たったときは、痛いし、恥ずかしいし……。
こんな屈辱は初めてだった……。
「ああ、大丈夫だ」
「そう?頑丈な身体ね」
確かに俺は身体は丈夫だ。
自信をもっていえる。
なぜなら……。
「お陰様で……」
「なんだって?」
菜月の顔が怖い。
『お陰さまで』の言い方を変えると、
『菜月がいつも暴力を振るうから、俺の身体が頑丈になったんだ!しかも、いつもチョップを受けている頭が特にな!この程度、菜月のチョップに比べれば、痛くもかゆくもないわ!この暴力女!!』
と言う意味になる。
発言したら、俺の顔が原型を留めなくなるだろう。
俺のその姿を想像するだけで寒気がする。
それを一言で表現した言葉。
それが、『お陰様で』
「いえ、なんでもありません」
俺は慌てて誤魔化す。
これで、
『へぇ!この暴力女!君は暴力しかとりえがないのかい!?』
なんて言えない。
いった瞬間、ジ・エンドだ。
そして、タイミングが良く、聖夜が帰ってくる。
「よし!行こうぜ!」
俺達は聖夜の家を出て、
桜凛高校へ向かった……。
何も知らず、これから何が起こるのかも知らず――