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君の魂に抱かれて  作者: 皐月-Satsuki-
boy and girls' aspects
77/136

9月1日/沙耶eyes  変わり行く世界

ー君の魂に抱かれてー(きみのこころにだかれて)


この作品はフィクションです。

登場する人物・団体・地名・事件・世界設定などは全て架空の物であり、

実際の物とは一切関係ありません。


「君の魂に抱かれて」は本編とboy and girls' aspects

で構成されています。

初めて読む方は、本編からご覧ください。



ーboy and girls' aspectsとは?ー


このモードは主人公の視点ではなく、

君の魂に抱かれての主人公以外の登場人物の視点です。


これにより、より世界観がわかりやすくなります。


※目次の場合、下に行くほど時間が最新です。



此処は桜凛武装高校。

そこは、凶悪な犯罪、テロ、紛争、などに対抗するためにつくられた高校。

そして、私が通う高校でもある。


今日も訓練をする。


訓練は模擬刀で行う。

いつものように。


そして、今日の訓練も終わり、私は自分の寮へ戻った。


私達の学校は海を埋め立てし、島のようなところに作られている。

そのため、全寮制。

だから帰宅する所は寮。


私は部屋に帰るなり、自分の刀の手入れをする。


まず、愛刀の千鳥。

刀の刃に鏡のように、自分の顔が浮かんだ。


寮は二人部屋。

私以外にも一人いる。


『ガチャ!』


ドアが開く音がした。

帰ってきたのだろうか。


「やっぱり……」


璃桜が入ってきた。


彼女の名前は『しとぎ 璃桜りお

私とは中学からの盟友。

なぜか、高校も同じ。


そして、いきなり璃桜はため息をする。


「ん?なにかあったのかね?」


刀の手入れをしながら、事情を聞く。


「今、全校集会やってる」


「ん……?」


何が言いたいのかが掴めなかった。

全校集会?


「刀の手入れなんてしてる場合じゃないッ!全校集会でないの!?」


なんと!

どうやら今、全校集会が行われているらしい。

聞いてないぞ!


「聞いてないぞ?」


「いいから、行くぞ!」


しかし、刀の手入れの途中。

こんな中途半端で止めてしまえば、千鳥に申し訳ない。


「まぁ、待ちたまえ。手入れが終われば行く」


「沙耶の手入れは1時間以上かかるだろ!?」


確かに、一時間は必要。

そのぐらいやらなければ、愛刀達に申し訳ない。

私はそう思う。


「そうだが?」


「桜凛武装高校の校則第2条っ!校則には絶対に従う!」


璃桜はいきなり、第2条を唱え始める。

だが、私は校則を守るような優等生でもない。


「私が違反したのは今に始まった訳でもあるまい」


私は刀の手入れを優先する。

明らかに刀の方が重要性が高い。


「ハァ~~~」


璃桜は大袈裟にため息をつく。

私は手入れに夢中。

もう誰にも止められないさ。


「じゃぁ、行かないのねっ!?」


「ああ、もちろんとも」


当たり前のようにそういった。

学校の行事なんて興味はない。


「すまないが、集会の内容を後で聞かせてくれ」


「…………」


璃桜があきれたような表情をする。

いや、しているのだろう。


「ん?何か気に触れたか?触れたなら謝るが……」


私は何をした?

なにか気に触れてしまったのだろうか?


「何も気にも触れてない、呆れただけ」


「そうか、なら早く行った方がいいぞ?」


璃桜は参加する模様。

私は参加する気はないのだが、璃桜の場合は早く行かないと遅刻は免れない。


「わかった、了解」


璃桜が部屋から出て行く。

集会場所に行ったようだ。

これで、落ち着いて手入れができる。



◇◆◇◆◇◆◇◇◆◇◆◇◆◇



千鳥の手入れは終わりだ。

次……。


私は、三日月宗近を前にだす。


これは、天下五剣の一つ。

私が持っていて良いのだろうか?

そう思うほど、その刀は美しい。


この刀は太平洋戦争後に徳川家から桜夜家に渡った。


しかし、本当に美しい刀だ。

私が手入れしても良いのだろうか?


そう思いながらも手入れをする。



◇◆◇◆◇◆◇◇◆◇◆◇◆◇



『ガチャ!』


ドアが開く音がした。

だが、今の私は無心。


「ハァハァハァ……」


璃桜が息を切らしている。

そこまで、急ぐ必要はないというのに……。

それにしては随分と短い集会だったようだな。


「どうしたのかね息を荒くして?それと随分と早かったな」


時間が経過するのが速く感じたのか、本当に璃桜が早かったのどちらだろう。

いや、両方かもしれない。


「まだ、手入れをやっていたのね……」


「当然だ」


私は手入れを続ける。

しかし、三日月宗近は本当に美しい。

思わず見とれてしまう。


「悪いが内容を聞かせて貰えないだろうか?」


璃桜に話しかける。

だが、眼は刀の方。

話の内容なんて、はっきりどうでもいことだ。

だが、一応は理解しておかなければな……。

こう見えても武装高校の生徒だ。


「集会に遅れた」


璃桜は短く吐息を漏らす。

だから早かったのか……。


「だから早く行けと……」


「沙耶のせいでしょうが!」


な!何故私のせいなのだ!?

行かなかったのは璃桜の方だぞ!


「何を失礼な真似を!私が何をした?」


「……まぁ、いいや……」


璃桜が近くの椅子に座る。

集会とは言っても、そんなに大した話でもないだろう。

少なくとも、私には関係のない話だ。


「戦術科から命令を受けた」


戦術科。

それは、司令塔のようなもの。

その戦術科がだした命令、作戦、指令、

などには従わなければならない。

それも、校則の決まりの一つなのだ。


「ほぉ、何かな?」


最近は凶悪な犯罪などは起こっていはいないはず。

だとしたら、何だろう。

いや、私が知らない間に事件が起こってるかもしれない。


「全校生徒への指令」


「随分と大規模な指令だな」


普通は科などによって、命令が違う。

何か事件などがあったときは、その事件に相応しい科が出動する。

しかし、今回は全校生徒。

こんなのは初めてだ。


「命令内容はなにかな?」


刀を手入れしながら聞く。

もちろん眼は刀。


「桜凛高校の全生徒の殺害」


……。……。……。


私は手入れを中断し、璃桜の方をゆっくりと向く。


「璃桜?ついに頭がおかしくなってしまったのか?前々から思ってはいたが……」


なんだ……?その狂気な命令は?

璃桜の冗談か?璃桜も悪趣味に目覚めたものだな……。

それとも、私の聞き間違いか?

この耳の良い私が……。


「嘘じゃない。本当」


私はその場を立った。

これは璃桜の頭の問題だ。

こんな命令、在るはずがない。


「沙耶?」


立ち上がった私に璃桜が呼びかけた。

早く璃桜を救わなければ……。


「まぁ、待っていろ。すぐに助けてやろう」


私はタウンページを持ってきた。

もとの場所に座り、 そして『せ』の行を見る。


「なにしているの?」


璃桜が私に近づき、黄色の分厚い本の中身を見る。


「こういう時にタウンページが便利なんだぞ。……精神外科は……と……」


その言葉を発した瞬間、璃桜が唐突にタウンページを荒く力任せに奪って行った。


「な、何をする璃桜っ!?私はお前を……」


私はタウンページを持っている璃桜の方を見た。

私は盟友を救いたいのだが、この想いは璃桜に届かなかったようだ。


「精神外科なんて行かないっ!行く必要もないっ!私は正常っ!」


本当なのだろうか?

色々と問題がある気がするが……。


「では、本当の命令を教えて貰おうか」


真剣な眼差しで璃桜を見つめる。

この状況下なら、嘘は言えないだろう。

ふざけた事をまた言うようなら、本気で教育をしてやろう。


「桜凛高校の全生徒の殺害」


だが、璃桜は即答する。

『桜凛高校の全生徒の殺害』と。


「それはさっきほども聞いたぞ?」


私の口語も鋭くなる。

こんな状況下でも璃桜は先ほどと同じ事を言った。


「それが命令っ!」


璃桜の口調も鋭くなる。


頭が真っ白になる。訳がわからない。

璃桜とは長い付き合いだ。

今の璃桜の顔は本気だ……。

それに、璃桜自体嘘を言うような人じゃない。


「私も"誰かさん"のせいで遅れたから、話の最後しか聞けなかったけど」


璃桜は"誰かさ"を異常に強調する。

嫌味たらしく。


「そのふざけた奴は誰だ!お上に代わって成敗致す!」


私は鞘から千鳥を出し、柄を握る。


「切腹でもしてくれるの?」


やはり璃桜の頭がおかしいのか……?

何故私が自決しなければいない?


「ん?なぜ私が自決するのだ?」


「そのふざけた奴って沙耶でしょう!」


もう璃桜は駄目かもしれない。

最期ぐらいは見届けてあげよう。

友として。


そう軽く受け止めるが、どうも冗談として受け止められない。

先に璃桜が見せた本気の表情が頭から離れないのだ。

話の内容を変えれば、璃桜が「嘘だ」と言ってくれると思った。

だが、空気は張り詰めたままだった。


「…………」


私は黙って、千鳥を鞘に戻した。


……。……。……。


私は黙して璃桜の目を視続ける。

だが、璃桜は決して目を逸らそうとはしなかった。

その璃桜の表情に、私が逆に汗を流しそうだ。


果たしてその命令は本当なのだろうか?


考えもしなかったことを考える。

その命令は疑ってしまうような内容だった。

今の私は、99.9パーセント信じていない。


「本当なら詳しく教えて貰おうか」


私は真剣に璃桜と向き合う。

果たして、どちらが狂っているのか。

はっきりさそようじゃないか。


「この世界は異世界らしい」


異世界……?此処が?

何を根拠に……?


『らしい』ということは、誰かから聞いた事なんだろう。

つまりはあの集会で聞いた話ということか……。


「いつも通りの世界だが?」


周りはいつも通り。

何が異世界なのだろうか?

今までと、『まったく変わらない』


「電気が使えないの」


「電気が使えない?」


ということはまさかっ!?


私は鞘から千鳥を右手で出し、千鳥を前に突き出した。


そして、呪を唱える。


「千鳥に宿われし雷魂よ、再び生ずことを請う」


呪を唱えると、

千鳥の刃には、電流が走る。


「今、此処に雷魂を開放する!!」


そして、千鳥が大きく帯電し始めた。


「立花道雪!雷切!!」


雷切を振り降ろした。

そして、璃桜の方を見る。


「使えるじゃないか」


雷切の刃には、電気が帯電している。


璃桜が言う、電気が使えないというのは黒だ。


「そうじゃなくて、人間の手で作られた電力は使えないの」


人間の手?

確かに雷切には『雷魂』が宿っている。

だから使えるのか?


「携帯を開いてみて」


ケイタイ?

ああ、あの小さい四角形か……。

まったく使わないから、馴染みもない言葉だ。


「形体か……」


「形体じゃなくて携帯。けいたい違い」


私は使い慣れていない携帯を探し始めた。

はて、どこにしまったのだろう?


……。……。……。


おお!こんな所に!


そのケイタイは埃が被っていた。

使っていない証だ。


私は携帯を開ける。

が、何も映らない。


「何も映らないぞ?」


黒い画面が永遠に続く。

ケイタイというのは、こんなにもつまらない物なのか……。


「そう、電力が使えないから何も映らないの。沙耶のはバッテリー切れかもしれないけど……」


私は右手に握られている雷切を見る。

その雷切の刃は大きく帯電している。


「いや、使えるぞ?」


雷切を璃桜に見せる。


「だから!それは別なの!」


??????


雷切が別?

なんだか雷切を侮辱しているように聞こえる。


「もっと、わかりやすく説明してくれ」


意味が全然わからなかった。

核心を掴めない。

思考が空回りしてばかりだ。


璃桜は電力を使えないという。

だが、電力は使える。


「つまり、人が作った電力は使えなくて、桜凛武装高校と桜凛高校の生徒しかいないってこと。私も信じられないけど、事実みたい」


桜凛武装高校と桜凛高校の生徒しかいない?

それは初耳だった。

それを信じろというのか?


璃桜が部屋の明かりのスイッチを押す。

だが、明かりはつかない。


「なるほどな……」


本当に電力使えないようだな……。


「停電ではないのか?」


私の言葉を聞き、璃桜は自分のポケットに手を入れる。

そして璃桜は携帯らしき物体を取り出し、開いてみせた。


「ほら、停電で携帯が映らないなんてありえないでしょ?」


璃桜の携帯も永遠に黒が続く。

気が付けば、私の額からは薄っすらと冷汗が滲んでいた。


電気が使えないと言うのは白だ。


後は人がいるかどうかだ。


「後、もう射撃科の一部が桜凛高校へ命令を遂行するため、派遣されたらしい」


「…………」


私はその場を立ち上がった。

そして、部屋から出る。


「沙耶!?何処行くの!?」


璃桜が呼び止める。

だが、私は振り返らなかった。


「真実を視てくる」


そう言い残して、私は桜凛武装高校から出た。


こうして私は桜凛高校の方へ走って行った。



「あまりにも狂気過ぎる……。もし璃桜の言う事が本当なら、もし本当に"桜凛高校の全生徒の殺害"という狂気な命令が出されたのなら……私は……!!!」



ー能力、武器等の詳細ー



桜夜 沙耶(さくらよ さや):(女)


彼女は日本刀を三振所持している。

一振は彼女の愛刀の「立花道雪:千鳥」

この千鳥は呪を唱えれば、

雷が刀に走り「雷切」となる。

千鳥には、自然魂の雷魂が宿っている。


次の一振は「三条宗近:三日月宗近」

非常に美しい刀。

この刀には、とても神秘的な力が宿されている。

奥義は「斬月」


最後の一振は「桜夜 飛龍:神刀 神切」

代々、桜夜家に伝われし神刀。

神を切ったと言われている。

この刀には、神の力が宿っている。

そのため、使いこなせるのは、桜夜 飛龍ただ一人。

彼女もこの刀を使いこなせない。

桜夜家の血が流れていない者が神切の柄を握ると、拒絶反応が起こり、

使い手が死ぬ。

誰でも、神力を解放すれば拒絶反応が起こり、死に至る。

だが、桜夜 飛龍は神切の力を使いこなしていた。



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