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2話-(2)

ー君の魂に抱かれてー(きみのこころにだかれて)


この作品はフィクションです。

登場する人物・団体・地名・事件・世界設定などは全て架空の物であり、

実際の物とは一切関係ありません。

初めて読む方は、本編からご覧ください。



侑eyes

(視点が侑に変更します。)



俺達は銃声があった外に出る。

そこには、桜凛高校ではない生徒がいた。


「……桜凛武装高校……」


俺はそう呟いた。

あの銃声は桜凛武装高校の生徒が発砲したのか?

数は大雑把に数えて、20人程度か……。

奴等の目的は何なんだ!?

桜凛高校に何の用だ!?


「アレは何処の高校の生徒だ!?」


聖夜は知らないようだ。

まぁ、制服だけじゃわからないだろう。


「桜凛武装高校の生徒だ!!」


「桜凛武装高校!?」


桜凛武装高校。

桜凛市に住んでいれば誰でも知っているだろうと言う学校。

その大きさは桜凛市ではトップ。

俺も入学に迷った学校。

だが、潤達が桜凛高校を受けると聞いて俺も受けた。

よく受かったもんだ……。


って、思い出に浸ってる場合じゃないよな……。


「どうやら、桜凛武装高校の生徒もいるようだ」


余計に混乱してきた。

なぜ、発砲する?

俺はあるものが視野に入った。


「ひ、人が倒れてるだと……」


俺の視野内で、確かに桜凛高校の女子生徒が血を流して倒れている。

確認できる被弾場所は、左腕、右胸、左脇腹、の3箇所だった。

その傷口からは、赤い液が流れだしている、

この血の量ならもう死んでいるだろう。


つまりは、"死体"


さっきの銃声はこれだったかもしれない。

あいつらが"殺した"のか……?

あのを……。

何の為に……。

何で人を殺す必要があるんだよ……。


怒りにも良く似た感情が心の底から、湧き上がってくる。

エアガンを握っている右手に力が入り、カタカタと音を立てる。


「マジ……?」


聖夜は信じ難いような表情で、その死体を視る。


「……え……?」


菜月は言葉を失っている。


そのとき、桜凛武装高校の生徒複数は銃を構えながら全体散布し、移動を開始する。


「まずい……戦闘態勢だッ!!」


この桜凛武装高校は俺達、桜凛高校の生徒を殺しにきたのか?

じゃないと、発砲なんてしない。

つまり、俺達もターゲットに入る。


「なんなんだよ!この世界はッ!!」


聖夜の叫び声が聞こえた。

だが、その声は銃声で掻き消される。


『ズド―――ン!!!!ズド―――ン!!!!ズド―――ン!!!!』


何発もの銃声がする……。

やはり、本物の銃……なのか?

それもそうだ。

相手は武装を許可されている特別な学校。

そして何よりの証拠に、桜凛高校の生徒が殺された。

狙いはやはり、うちの生徒か……。


「きゃぁあああああああっ!!!!!」


桜凛高校の生徒達は悲鳴をあげてる。

そして、俺の視野は赤い血が吹き乱れている


赤い血。


これは人間の血。

つまり、銃弾が人に直撃した。

俺の眼から、色が見えなくなる。

世界がスローで流れ始める。

目で受け取った刺激を上手く脳で処理できない。


ここが戦場に変わった。


奴等は本気で俺達をるつもりだ……。

俺達はこんな所にいるのか……?

俺たちも撃たれるのも時間の問題かもしれない。

桜凛武装高校の生徒の数人が、桜凛高校の校舎に入っていく。

マズイ……!!校舎には、潤と美唯がいるんだぞ……!!


「何でそんなことするの―――――ッ!!!!」


そのとき、菜月の叫び声が聞こえた。

な、菜月……?


その高い声は、こんな世界でも響き渡った。


だが、菜月の声で反応した一人の生徒は俺達をターゲットにし、銃を構えながら走り出す。


「まずい!気付かれた!!」


絶対絶命だった。


あっちは本物の銃。

こっちはエアガン。


勝てるはずが無い。


俺もここまでなのか……?


あまりにも唐突に訪れた終焉。

相手は発砲体制に入っている。


俺は本能に突き動かされるように、自然と菜月の盾になろうとしていた。


「なに、ボ――ッとしてるんだッ!!!!!」


聖夜は銃を前に向けて構え、そして素早くトリガーを引く。


『バ―――――ンッ!!!!!』


これは煙幕弾か!?

周りは煙幕に包まれる。

そのときを逃さず、聖夜はこの場から離れようと走り出す。


「今のうちだ!!逃げるぞ!!」


聖夜は俺の腕を掴み、全力でこの場を後退して離れる。

俺には、何が起きたのか理解できなかった。


『ズド―――――ン!!!!!』


相手が手当たり次第に発砲してくる。

そうだ……。今、俺達は戦場にいるんだ……。

膝がガクガクと戦慄する。


『ズド―――――ンッ!!!!!』


「うわっ!?」


俺の髪すれすれに銃弾が通った。

だが、運良く何処にも当たらなかった。

まさに、間一髪だ。


俺は菜月の手を強く握った。


「逃げるぞ!!菜月!!」


俺は叫んだ。

叫んだことで相手に居場所が特定されるが、そんなのお構いなしに。


『ズド―――――ンッ!!!!!』


また銃声が聞こえる。

当たれば、もちろん命の保障は無い。


「逃げるって!潤達は!?」


「今は逃げるしかない!!」


潤のいる所はこの生徒の前方を突破しないと行けない。

今は後退し、逃げるしかない。


「見捨てるのッ!?」


「じゃないと俺達が死ぬ!!」


死ぬ……。


俺達が送っていた日常で、そんなことを思った瞬間は何処にもなかった。

じゃぁ……俺達は……。


いつ死んでもおかしくない世界にいるんだ……。


煙が薄くなっていく。

マズイ……。

早くしないと……!


「だからって!!」


「菜月!!潤達を信じろ!!今はそれしかない!!」


俺は菜月の手を握り、

走り出した。


「うぅ……」


俺達は後退する。

己の体力の限界まで走り抜けた。

菜月の手をしっかりと握ったまま。

最後に俺は潤達に届くように、大声で叫んだ。


「潤!!!美唯!!!逃げろーーー!!!」








潤eyes

(視点が潤に変わります)








『ズド―――ン!!ズド―――ン!!ズド―――ン!!』


何発も銃声が聞こえた。

生徒の悲鳴声が聞こえる。

なぜ、こんなことが起きたのだろう?


銃声に悲鳴声……。

まさしく、戦場を思わせた。


「…………」


美唯は黙り込んでいる。

外の景色を俺達は知らない。

想像することしか出来ない。


状況を想像するが、とても良い状況には想像できない。


「――ッ!!」


微かに聞こえた……。

侑の声が。


『潤!!!美唯!!!逃げろーーー!!!』


「美唯!!学校から出るぞ!!!」


俺は、微かに聞こえた侑の声に従う。

これは確かに侑の声だ。


「え……?」


美唯が俺に聞き返す。

美唯には侑の声は聞こえなかったようだ。


「今聞こえたんだ!『潤!!!美唯!!!逃げろーーー!!!』って!!」


「それってどういう……」


意味は分からない。

だが、逃げないと危ないという状況だというのは確かだろう。


「とにかく此処は危険なんだ!!裏口からでるぞ!!」


此処は危険……。


俺達の日常の舞台ともいっていい場所。


それがこの桜凛高校。

この場所すらこの世界では危険になるのか……?


俺の日常がまたあの日のように、手から零れ落ちる。

あっけなく、そしてあまりにも儚く。


俺の日常が再び、劇的な変化を告げようとしている。


「危険って!菜月達は!?」


「早く行くぞッ!!!」


俺は美唯の手を握り、全力で走り抜けた。


侑達は無事なのか?


逃げろと言ったというのはやはり危険だったんだろう……。

何故、俺は侑達に行かせたんだ……。

俺は心中で自分を責めた。


侑……菜月……聖夜……。

どうか……無事で……。


「潤ッ!!」


美唯が後ろに体重を入れ、俺を引き止める。

やはり、菜月達が心配なんだろう。

だが、侑の言葉が本当なら、

ここは危険と言うことになる。


「今は信じろ!!美唯!!」


「でもっ!!」


美唯のは滲んでいた。

俺だった仲間を見捨てるなんてできない。

だけどこれは違う。見捨てるんじゃない。


見捨てるんじゃなくて、仲間を信じるんだ!

俺達は絶対に繋がっていられる。

たとえ決別しても、絶対に繋がってる。

それが、『仲間』だ。


「信じろッ!!美唯!!侑達は無事だ!!」


俺の眼をまっすぐ美唯に向け、俺の思いの全てをぶつけた。

信じるしかない……。そうするしかない……。


「潤……」


美唯は俺の眼を見つめる。

美唯は右腕で、雫を拭った。


「わかった……信じる」


そうだ。これが仲間である俺達のすることだ。

侑達が無事な証拠は一つもない。

だが、信じろ!!仲間を!!

俺は自分に言い聞かせる。

『信じろ』と、

何度も。何度も。

呪文のように言い聞かせた。


俺達は裏口に着いた。

そして勢いよく扉を開ける。


「とにかく、学校から離れるぞ!!ここは危険だ!!」


俺は最後に振り返り、桜凛高校を直視する。


この瞬間、俺が送っていた日常の記憶が蘇る。


絶対に帰ってくる……。

いままでと、なにも変わらず……。

また、俺達の日常を送る。


俺はそう強く、魂に刻んだ。


そして、俺は高く拳を桜凛高校へ向ける。

俺達は今、桜凛高校と"決別"しようとしている。


こんなことを、誰が予測していたのだろう……。


また……また俺の日常は……こんなにも……簡単に……。


だけど、今は心痛している場合じゃない。

俺は滲む涙を堪えた。


「わかった……行くよ潤ッ!」


美唯も桜凛高校を視る。

過去を思い出しているよに懐かしむ表情を浮かべていた。


美唯は唇を噛みしめながら、熱い視線を桜凛高校へ向けた。


だけど、今は一刻の猶予もない。思い出に浸っている場合じゃない。


なんて……なんて残酷な世界なのだろう……。


思い出に浸ることすら、赦されないのか……。


「行くぞ美唯ッ!!」


俺達は走る。

ひたすらに走る。

この世界の中で。

不確かだらけな、この世界の中で。



ー場所設定ー



桜凛武装高校(おうりんぶそうこうこう)


場所は海を埋め立てし、島のようなところに作られている。

そこは、凶悪な犯罪、テロ、紛争、などに対抗するためにつくられた学校。

そのため、武装を許可し、武力を行使する学校。

桜凛武装高校は、剣術科、現代剣術科、魔法科、現代魔法科、

射撃科、戦術科、異能科、総合科、の計8科がある。

それぞれの科にいる人間はG~Sまでランク付けされる

そのランクは一年の何回かのテストによって変わる。

孤児などを集め、育成なども行っている。



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