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1話-(2)

ー君の魂に抱かれてー(きみのこころにだかれて)


この作品はフィクションです。

登場する人物・団体・地名・事件・世界設定などは全て架空の物であり、

実際の物とは一切関係ありません。


「君の魂に抱かれて」は本編とboy and girls' aspects

で構成されています。

初めて読む方は、本編からご覧ください。



パソコンが無事に起動したところで、

インターネットを開き、『信頼』を検索する。

動作おもっ……。


「え~と……信頼は……と……」


お、出てきた。

俺はその出てきたサイト候補をクリックする。


『カチッ』とな。


「信頼は、日本人の人名の一つ……???」


……。……。……。


頭が真っ白になる。

思考がついていかなかった。


あまりにも俺が思っていた『信頼』と違っていた。


信頼って日本人の人名の一つなのか!?知らなかった!

じゃぁ、信頼って俺達は当然に使ってるけど、あれは全部人名だったのか!?

俺は驚愕の色を隠せなかった。


俺は再び画面を凝視する。


ん……?


これ、信頼しんらいじゃなくて、信頼のぶよりじゃんっ!

そりゃぁ人の名前だろうな!

ふざけんじゃないぞ!このパソコン!

俺を欺いたな!

この代償は大きいぞ……。


パソコンに向かって指の骨をポキポキと鳴らす。


だが、鳴ったのは小指と親指の二本。ある意味器用だ。

俺も運勢最悪だな……。


『戻る』をクリックして、再びサイト候補へ。

そして違うサイトをクリック。


「えっと……信頼とは、相手を信用し、頼りにすること」


……。……。……。


まさしく俺じゃん!

俺の情報がなぜネットに流れているんだ!


そう思った瞬間……。


『ガチャッ!』


ドアが強めに開く音がした。

嫌な予感が胸を突き刺す。


そして、反射的にドアの方を振り返る。


「なにしとんじゃぁぁぁあああああああ―――――ッ!!!!!!」


そこに現れたのは美唯だった。

そして、もの凄いスピードで接近してくる――!


『ズバシ―――――ンッ!!!!!』


助走を入れ猛烈な右ストレートが俺の腹を直撃。

朝飯食べていれば逆流していた。

それ程の決死に一撃……。

頂きました……。


世界チャンピオンですら、膝を屈するほどの決死の一撃だろう……。


「ちょぉおっわぉぉおおおあああああ―――――ッ!!!!!」


俺は座っていた椅子から吹き飛ばされ、

床に倒れ伏せた。

そんな俺を横目に、美唯はパソコンの前へ移動する。


俺はまた日本語翻訳不可能な言葉を上げてしまった。

今回は翻訳したらどんな感じだろう?


『ちょぉおっわぉぉおおおあああああ―――――ッ!!!!!』

(日本の政治なにやってんの―――――ッ!!!!!)

[マヨネーズを右手で握り潰し、空を仰ぎ視ながら]


今回は状況説明文も付けてみたけど……。


……。……。……。


マヨネーズを片手に日本の政治を憤怒し、空を仰ぎみながら激烈する人なんてどこにいるんだろう?

しかも、そのマヨネーズを怒りのあまり握り潰すんだぞ!?

もし、本当にしてる人がいれば撮影して日本の政治家に見せたいぐらいだな。

そうすれば、日本の政治家も気付くなだろう。

『何てことだ!政治に対する怒りで、マヨネーズすら握り潰しただとッ!?』

って政治家は感じざるを得ない。

マヨネーズを握り潰す程に政治に対する怒りが溢れているんだ。

確かにマヨネーズを握り潰すって衝撃的だよな……。

そういえば国会議事堂に行くには、確か東京メトロ国会議事堂前で……。


ん……?なんか話が脱線したな……。


『ブチッ!』


不意に鈍い音が部屋中に響き渡る。


この音と同時にパソコンの画面が真っ黒になる。


「貴様!電源切ったな!!」


くそ……。

せめてシャットダウンぐらいしてくれよ……。

ただでさえ、生死を彷徨ってるパソコンなんだからよ……。

御愁傷様したらどうするんだよ……。


「早く行くよっ!!」


そして、階段を引きずられ強引に学校の通学路へ。

この暴力的な奴は、「成沢 美唯」

俺の小さい頃からの幼馴染。


そして、二人並んで見慣れた道を歩く。

いつものことだ。


「もう9月だね……」


不意に美唯が話しかけてくる。


何を話しかけられると思えば……。

よかった……。やすき節・・・・の件じゃなくて……。

俺は踊れないからな!踊れるのは腹踊りぐらいだからな!


「そうだな、今日で9月1日だっけ?」


俺も話に合わせる。

たしかに今日でもう9月。

夏は去り、秋が訪れる時期だ。


俺は周りの木々を見渡す。

まだ、紅葉はしていないがそれも時間の問題か……。


「そう」


もう9月なのか……。

高校生活なんてあっと言う間だな。

まだ俺は2年だけどな。


「ハァ~~~」


俺は無意識にため息をつく。


「ん?どうしたの?」


その姿を見た美唯は俺に問いかけてくる。


「いや、俺って何も高校生の思い出ないなって思って……」


『美唯に暴行を受けた』とかって思い出なのかな……。

いや、大人になれば良い思い出かもしれない。


『若い頃の美唯のパンツは薄い赤色だったな……』

とかって、思い出すのかな?

それじゃ、ただの変態おやじだな。

変態おやじにはなりたくないな……。


「なにもないの?」


ないって訳じゃないけどさぁ……。

思い出って言っていいのか分からない。


「お前等と遊んだことぐらいしか思いつかない……」


俺は部活動とかは入ってなく、何か頑張ったと言う思い出がない。

このままでいいのだろうか?

そう思ってしまう。


今は学生で気楽だが、俺達も近い間にそれぞれの夢に向かって行くだろう。

俺の夢は?目標は?


俺にはそんなものはなかった。


今を生きることで精一杯だった。

過去に背負う・・・・・重い呪縛・・・・から解かれていないままだった。


そんな俺が『夢』を語っていいのだろうか?


「それが潤の思い出、それが潤の青春よ」


青春……。

俺も、もうそういえる歳になったのか……。


「そんなもんなのか?」


俺には『青春した』という感覚は一切ない。

ただ、仲間達とバカをやってきた。


「青春なんてそんなもんよ」


青春なんてそんなもの……か……。


俺は確かに美唯、仲間と共に送る日常が好きだ。

俺はこのくだらなくて、ありふれた日常を愛しているのかもしれない。

こうやって普通に過ごせるのが『俺の夢』だったのかな?

それが"あの頃"からずっと想い続けていた想いだったのかな?


これが、俺の青春か……。


悪くはない。


そう言えるほど、今の生活が好きだ。

俺に良く合っている。

『永遠に続け』と悲願したい。


だが、その願いは叶わない。


俺達には夢があるからだ。

夢を叶えるため、この桜凛市から出る者もいる。

夢と引き換えに、今まで送ってきた日常は消える。

そして、新しい場で新たな日常を送る。

それが、俺達。


もうすぐ『俺達の日常』が終わると思うと、心に大きな穴が開いたように寂しくなる。

来年は3年だし忙しいだろうな……。

遊べるのも今だけか。


「よし!今日は皆で遊ぶか!」


俺は元気良く美唯に笑いかける。

最近、テスト三昧で遊んでなかったのもある。


何故だか今は異常に仲間と遊びたい。

俺もまだまだ子供だな……。


「なによ、いきなり?」


美唯が不思議そうな笑みを俺に返す。


美唯は小さい頃からあまり変わらない。

いや、全然変わってない。


昔と変わらずに接してくれる。

美唯がいる。その存在はかけがえがないもの。

俺に力を与えてくれた。いや、今も十分に与えられている。


人は誰だって与えられている。

人は誰だって与えられてることに気付かない。

どんな人でも……。


この俺でさえ、与えられているんだから。


「まぁ、いいだろ?アハハハハ」


俺は無邪気に美唯に笑い返す。


「あはははっ、変なの」


俺につられて美唯も笑う。

ずっと変わらない、笑顔。

俺はその笑顔を守りたい。

たげど、俺は美唯に何ができるのだろう?


美唯のストレス発散のためのサンドバック?

いや、そしたら俺が生きるのが辛くなる。


美唯が俺を助けてくれたように、俺にしか出来ないことが必ずあるはずだ。


それを俺は見つけよう。

きっと、その答えが俺の青春を飾る、大事な1ページ目だ。


話をしている間に桜凛高校に着いた。


桜凛おうりん高校。


俺達の住む桜凛おうりん市で2番目に大きい学校だ。

3学年それぞれがF組まであり、生徒数は桜凛市の学校NO.1を誇る。

俺と美唯はそこの2年A組だ。

桜凛高校はやたら広く、一般棟、特別棟、事務棟の三つに別れている。

これだけ広くて、桜凛市で大きい学校2番目だから驚きだ。

一般棟は桜凛高校の生徒が授業を受ける教室でほとんど。

桜凛高校は4階建で、2階は1年、3階は2年、4階は3年と割り振られている。

桜凛高校は右校舎と左校舎に分かれていて、一般棟から特別棟へ移動する渡り廊下が一つ存在する。

一般棟は左校舎で、特別棟は右校舎だ。

特別棟は、社会科室、理科室、視聴覚室、家庭科室、といた各科目の特別教室が集まっている。

図書室や、保健室、学食といった場所も特別棟にあり、部活の部室などもある。

事務棟は一般棟の1階にあり、事務棟は、職員室、用務員室、校長室、極め付けは職員が使う部屋まである。


そして俺達は一般棟の正面玄関へ入る。

どうやら、遅刻は余裕で回避できたようだ。


「余裕でセーフだったな」


俺は下駄箱の扉を開け、自分の靴を入る。

美唯も俺と同じ動作をしている。

そして上履を履き、階段を上る。


俺は3階へ辿り着き、自分の教室2-Aに入る。


「しかし、何で同じクラスなんだろうな……」


美唯とはずっと一緒のクラスのような気がする。

何かが裏で意図を引いているのだろうか……?


「さぁ?腐り縁ってやつ?」


「腐り縁ね……」


美唯とは中学も同じクラス。

そして、高校でも……。

腐り縁って本当にあるんだな……。


俺は自分の席にカバンを置く。

俺の机の位置は最悪で、先生の教卓の目の前だ。

つまりは、真ん中の列の廊下側。


そして、俺の隣の机に美唯もカバンを置く。


「しかし、何で席が隣なんだろうね……」


これも腐り縁なのだろうか?

ここまでくると、恐ろしさで鳥肌が立つ。


「さぁ?腐り縁ってやつ?」


美唯は腐り縁を連発する。

腐り縁って良い意味なのかな……?

いや、『腐る』が入ってるから、良い意味ではないのかな?


「それさっきも聞いたぞ」


「そうだっけ?まぁ、いいや」


俺の隣の席に美唯は座る。

これは個人的には少し困る。


授業中寝れないからだ。

もしも寝てしまったら、教科書の角で頭を叩き潰してくる。

たまにシークレットで辞書。

この激痛には耐えられない。

だから、美唯が隣の席のときは寝ないことにしている。


そういえば、美唯はああ見えて結構勉強はできる。

テストが近くなると、俺に勉強を教えに俺の家に押し寄せてくる。

そして、入るなり冷蔵庫を開け、

『何もないな~~~』

と文句を垂らす。

こっちとしては、かなりの迷惑だ。

一人暮らしの俺の家宝を食べられるからだ。


そんなことを思っていたら、

ドアが開き、俺の良く知る人物が入ってきた。


「潤、おはよう」


右手を軽く上げ、挨拶を爽やかにする男が一人。


「おお、侑か、おはよう」


コイツは「天神 侑」

俺の親友って言っていい存在。

俺とは中学からの親友。


出会ったのは中学1年からで、

学力は……触れないでおこう。


「潤、おはよう」


侑と同じように、右手を軽く上げ、

微笑みながら挨拶を交わす菜月。


「ああ、おはよう」


侑と共に登校してきたのは、

「蝶野 菜月」

侑の幼馴染。


そのため、俺は中学生からの付き合い。

彼女も暴力的だ。(侑に対して)


何で俺の周りの女子は暴力的な奴が多いのだろう?


俺の波長に暴力女の波長が合うのかな……。

俺の出した波長を暴力女がキャッチッ!

みたいな感じなのかな?

悪循環だな……。


二人は俺の後ろの席に着く。

俺は後ろを向き、二人に話しかける。


「なぁ、今日遊ぼうぜ」


二人が席に着くなり、俺は今日の放課後に予定している、

『中沢プロジェクト』についての話をした。

最初のターゲットは侑だ。


「おおっ!今日はノリノリだな!潤」


そう……。

今日の俺はノリノリッ!

誰にも止められないさッ!


「なにして遊ぶんだ潤?サバゲーか?」


サバゲー。

それはサバイバルゲームの略。

簡単に言えば、銃で撃ち合う遊びだ。

もちろん本物じゃない。エアガンでだ。

本物で撃ち合い・・・・・・・なんてありあない。


結構、美唯を撃つと面白い。

リアクションとかが。

その代わり、後で何倍にもなって返ってくる。

その姿は魔女のようだ。

高笑いも聞こえてくる。


「まだ、決めてない。菜月は?」


俺は侑の隣に座っている菜月に話しかける。


侑と菜月も席が隣なのか……。

腐り縁ここにも発見。

なんか嬉しい。


「あ、うん。いいよ」


菜月はあっさりと頷いてくれる。


「よーしっ!決まりだな。今日の帰り道で何するか考えるか!」


無事、勧誘は成功。

そっと胸を撫で下ろす。


「そうだな。聖夜も誘っていいか?」


聖夜。

それは「衛藤 聖夜」のこと。

侑のサバゲー仲間の一人だ。

聖夜も2年だけど、俺達とは違うD組だ。

確か1年の頃は、皆同じクラスだったような気がする。


「いいぜ!今日は朝までパーティだ!」


まぁ、嘘だけど。

こっちも朝までとなるとネタと体力が持たない。


「やっほーーーー!!」


侑もノリノリだ!

今日は楽しくなりそうだ。

心からそう思った。


「いや……さすがに朝まではちょっと…」


菜月は困惑の表情を浮かべている。


「ん?駄目なのか?へたれだな」


侑が油を注ぐ。

そして、点火。


「誰がへたれよ―――――!!!!!」


『ズバシ―――――ン!!!!!』


侑の頭に強烈なチョップ。


「……ッぶげらぁあああッ!?」


これは痛そうだ……。

なんかこの光景、俺も朝やったな……。

こう言う光景は眼の保養になる。


「……すいません……言語には……細心の注意を払います……」


両手で頭を抱え持つようにしている。

そのお陰で、侑の表情が伺えない。


「うむ。よろしい」


この状況を脱すべく、俺は二人に話しかける。

このままだとまた侑が油を注ぎそうだからな。

経験上は……。


「じゃぁ、二人共遊べるんだな?」


俺は脱線しかけた話を整理する。


「ああ、もちろん」


侑がようやく頭を上げた。

しかし、侑も回復が早いな……。


「いいわよ」


よし!メンバーは揃ったな。

あとは聖夜か……。

聖夜ならくるだろう。

ちなみに聖夜はD組。

俺らはA組だ。


「よーしっ!じゃぁ、今日一緒に帰るぞ」


「ああっ!」


俺と侑はガッチリっと握手を交わす。

そして、その手に最大限の力を込める。

お互いの表情が痛さで歪む。


その瞬間、学校のキャンバスにチャイムが響き渡たった。

そのチャイムを待ち焦がれたかのように、担任の先生が入ってくる。


「おおぉぉ―――――いっ!!!!!席に着けっ!!」


先生の声と同時に、皆は自分の席に着く。

そのスピードはオリンピック選手並みに速い。

その速さを違うところで生かして欲しい物だな……。


これも俺がいつも視る、いつもの世界げんじつ

そして、俺の一日が始まろうとしている。


「じゃぁ、HR始めるぞ」


先生がHRを始める。

俺達の担任の先生は、HRが速いということで有名だ。


そのことから付いたあだ名は、



『我らの大動脈Blood』



そして、先生は音速でHRを始める。

俺は軽く流して聞いていた。

これもいつものこと。

重要な内容だったら、後で美唯に聞けばいいし……。

ってか速すぎて聞き取れる人いるのかな?


「以上!号令!」


いつの間にかHRは終わりを告げた。

やはり、HRの速さNO.1を誇る男だ……。

嬉しく思おうよ……。


「きりーつ!」


号令の声に合わせて俺は席を立つ。


そして、俺は迷わず教室から出る。


「ちょと潤ッ!!どこ行くのッ!?一時間目は……」


ん?何か聞こえたが……。

まぁ、いいや。


俺は窓から中庭を眺めつつ、一般棟の階段へと向かう。

桜凛高校は、右校舎と左校舎との間に中庭まである。

渡り廊下は空を飛んでいる感じで、中庭の上を通っている。

この渡り廊下は、一般棟から特別棟に移動するため。


俺は目的の場所まで足を運ぶ。

目的の場所、最上階に着くと目の前にあるドアを開ける。


『ガコンッ!』


独特の金属音がした。


それと同時に、心地よい風が肌に伝っていく。

俺が行ったのは屋上。

授業中なだけあって、誰もいなかった。


「ああ!良い天気だな!こんなノリノリの日は授業をサボろう!」


自分で言ってて意味がわからなかった。

まぁ、今の俺は勉強なんてしたくないってのが心情。


俺は屋上のフェンスに手を置き、自然と空を仰ぎ見た。


ここから視える景色は絶佳だ。

ここなら、桜凛市を一望できる。


桜凛市は地方都市だ。

最近の発展が著しいらしい。

その証拠に、高層ビルが数多くある。

俺は生まれも育ちも桜凛市だ。


「空か……」


今日の空は青く澄んでいた。

どこまでも続く蒼穹な青。

この空はどこまで続いてるのだろう。


白昼の空に昇る月。


屋上で独り呆然と空を眺めていた俺は、そんな青白い三日月を見つけた。

別に興味があったわけではなかった。


無意識に眺めた秋空を渡る雲は一つもない。

まさしく、蒼穹という言葉が相応しい。

青に覆われた空で、その仄かに蒼い三日月に眼がいっただけ。


そして、俺は蒼穹の空をじっと見つめる。


不意に――


脳裏に蘇ろうとする"あの記憶"。


心に棘が刺さったような痛みが走った……。

浮かんでこようとする記憶を押し流そうと、俺は無理でも別のことを考えようとした。


"青空には思い出したくない過去がある"


青空を見て、その記憶を蘇らせてしまった。



この世界は――



「…………」


俺は空から目を逸らそうとするが、視線が青空から離れない。

あの青空に吸い込まれているように。



再び――



あの過去の"過去の呪縛"、あの"記憶"が脳内を過ぎる。


結局、俺の思考は同じところに行き着いてしまう……。


「……母さん……父さん……沙希……」


自然と口に出た。

また思い出してしまった。"あの記憶"を……。


あの日もこの空のように青く澄んでいた。


だから青空を見ると記憶が蘇って来る。

俺の脳から離れない、忘れられないあの出来事。


そういった思考回路が出来てしまっている。

思い出したくない。

だが、消せるはずがない。

いや、忘れてはいけない。

あの記憶を……。


その時は俺が小3のときだ。

妹の沙希は小3。

今生きてれば・・・・・・高1か……。

時が経つのは残酷なまでに速い。


その時――



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