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11話-(1) 真実へ近づく為に

ー君の魂に抱かれてー(きみのこころにだかれて)


この作品はフィクションです。

登場する人物・団体・地名・事件・世界設定などは全て架空の物であり、

実際の物とは一切関係ありません。


「君の魂に抱かれて」は本編とboy and girls' aspects

で構成されています。

初めて読む方は、本編からご覧ください。



俺は信じる。

仲間の無事を。


「沙耶先輩……大丈夫なのかな……」


だが、桜夜先輩は一向に帰ってこない。

こんなに遅いのは今までにない。


俺達は結界の中にいる。

その為、安全は保障されている。


「ああっ!桜夜先輩!」


美唯が一点を見つめている。

俺達もその方を見る。


「ああッ!本当だ!桜夜先輩!」


俺は結界を消した。

そして、俺達の方へ先輩がゆっくりと歩き近づく。


「君達、無事かね?」


「はい!無事です!」


先輩を見てみる。

特に傷などはなく出血もしていない。

だが、先輩が身に着けている制服は少し汚れていた。


「そんなに見ないでくれ」


「あっ!すいません!」


慌てて眼を逸らした。

つい、見入ってしまった。

いけないいけない。

俺は自分で気合を入れる。

喝っ―――!!!


「潤先輩、何考えてたの?」


「何も考えてない!」


月守さんはこういう話題ばっかり乗ってくる。

俺的には流して欲しい。


「じゃぁ、無意識に!?」


「断じて違う!!」


俺は全力で否定する。

くそ……。

まさか、このような悲劇を招くとは……。


「潤はそんなことしないよ!一生!」


また、このパターンか……。


でも、一生はない。

言い切れる。

間違いなく。

そうでないと俺も困る。


俺は意識を集中させ、左眼を見開く。

再び俺達を囲む結界を創る。


「これからの行動について話し合いませんか?」


話し合いに集中できるように、結界をはった。


「これからの行動か……」


先輩は俺の言葉を繰り返す。


俺はこのままではいけないと思う。

俺達のこれからの行動。

それは、仲間全員で決めないといけない。


「そうです。俺はこのままだと駄目だと思うんです」


いままでの様に、放浪するだけじゃ駄目だ。

この世界、『狂気の命令』の意味を知らなければいけない。


「なにか気付いたのか中沢くん?」


「俺は今まで、桜凛高校の全生徒を殺害する桜凛武装高校の行為を"狂気"だと思っていました」


「思っていた?」


「はい。だけど俺達はその真の"理由"を知らない。だからまだ"狂気"だと決め付けるのは早いです」


人を殺す行為。

それが、赦される行為とは思わない。

だが、真の理由がありその行為をしざるをえない場合。

それは狂気ではない。

しっかりとした意思が働いている。


「真の理由……」


桜夜先輩が呟く。


「その真の理由を探すのがなによりも重要だと思うんです」


「…………」


桜夜先輩が目を閉じ考え込む。


「つまり、桜凛武装高校の生徒が桜凛高校の生徒を殺害するという行為には真の理由があるということかね?」


「はい。そうです」


再び先輩が考え込む。

しばらく静寂が訪れる。


「確かに一理あるな……」


そして、それに続いて桜夜先輩は再び口を開く。


「戦術科の命令は絶対だが、令を受けるのはロボットではなく感情のある人間。桜凛武装高校の生徒命が、"異世界脱出"のためだけにあんな命令を実行する筈がない。だとするなら……私達が知らない、真の理由がある……」


「俺も武器を持たされて、そんな命令を受けても従いません。だけど、真の理由があるのなら……」


それが人間。

理由が小さいほど、その行動力も少ない。

理由が大きいほど、その行動力は多い。


「でも、その真の理由ってどうやって探すの?」


美唯の意見は的を得ていた。


それが、一番の難所。


「知ってる人に聞けばいいんじゃない?」


何気なく言った月守さんの一言。

そんな簡単に……。


ん……?


「確かに、いけるかもしれない!俺達は桜凛高校の生徒だけど、先輩は桜凛武装高校の生徒だ!桜夜先輩なら真の理由を知っている生徒に聞けるかもしれない!」


俺達は桜凛高校。

知っている人は、恐らく桜凛武装高校の生徒。

俺達が聞くということは、自殺行為だ。


だが、先輩ならどうだ?


先輩は桜凛武装高校の生徒。

他の生徒に聞くことも容易いんじゃないのか?


「いや……無理だ……」


だが、先輩が言った言葉は俺の予想とは違った。


「え?どうしてです!?」


どうしてだ?

そんなに無理な話ではない筈。

なのに先輩は無理と言い切った。


「桜凛武装高校の戦術科から"桜夜 沙耶の殺害命令"が出されている」


「え……?」


全身が凍る付くようなことをサラっという。

桜夜沙耶の殺害命令……?

頭の思考が途切れた。


「それってどういう……」


「わからないのか?中沢くんは結構、頭の回転が速いと思っていたのにな……」


桜夜沙耶の殺害命令。

それは文字通りの意味。


でも……どうして先輩が……。


「どうして、先輩が……」


「さぁ?どうしてかな?」


だが、先輩は答えなかった。

明らかにとぼけている。

俺にはそう見えた



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