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7話-(2) 

ー君の魂に抱かれてー(きみのこころにだかれて)


この作品はフィクションです。

登場する人物・団体・地名・事件・世界設定などは全て架空の物であり、

実際の物とは一切関係ありません。


「君の魂に抱かれて」は本編とboy and girls' aspects

で構成されています。

初めて読む方は、本編からご覧ください。


「お、桜凛高校全生徒の殺害ッ!?」


月守さんはそれを聞いて、驚愕の色を隠せなかった。


俺だってそうだった。

驚愕しない人はいないだろう。


「ああ、そうだ」


再び先輩が説明を進める。



◇◆◇◆◇◆◇◇◆◇◆◇◆◇



「…………」


全ての説明が終わった頃の月守さんは、

眼は焦点を失い、虚ろな眼を浮かべていた。


「つ、月守さん?」


呼んでみるが返事は返って来ない。


「今はしかたあるまい」


俺は怒りを先輩にぶつけてしまった。

それほど、の理不尽。

これがこの異世界。

だが、美唯は何一つ変わった素振りを見せなかった。

美唯の強さを再び知った。


「…………」


月守さんは言葉を失っているまま。

一時的の事なら良いが、立ち上がれない場合もある。

精神の病にかかるかもしれない。


どうにかしないと……。

俺は月守さんに寄ろうとするが、ぽんっと先輩が俺の肩を叩く。


「今はそっとした方がいい」


呟くように、小さな声で俺に警告した。

俺は無言で頷いた。


「ちょっと休憩しないか?」


桜夜先輩はその場に腰を下ろす。


「そうですね」


続いて美唯も腰を下ろす。

確かに、今は仕方がないか……。


俺も腰を下ろすことにした。


侑……。菜月……。聖夜……。

いきなり3人の顔が浮かんだ。

胸の奥が痛くなる。

どうか……皆無事でいてくれ……。

祈るしかなかった。信じるしかなかった。仲間の無事を。


「大丈夫だよ潤。絶対に無事だよ」


美唯が俺の心を読むように答えた。

俺は隣にいた美唯の顔を見つめた。


「何で分かるんだ?」


「幼馴染だから?」


クスクスと笑いながら答える美唯。


「幼馴染か……」


美唯の言うことが本当に聞こえる。

侑達が無事に思えてきた。


侑の事だから、上手くやっているだろう。

そう思えてきた。


俺はコンプレックスのある青空の眺めた。


雲がゆっくり流れていく。見ていると面白い。

雲って本当に動いているんだな……。

ゆっくりだが、確実に前へ進んでいる。

俺達の姿と雲を重ね合わせてみる。

ゆっくりだが、確実に前に進んでいる。

いや、雲からするに、何処が前なのかわからないのか?

どこへ行けば前に進めるのか、雲には分からない。

その雲の動きに、人間らしさを感じた。


こうしていれば、異世界とは誰も気付かないだろう。

景色は俺達が知っている世界。


だが、俺達は異世界にいる。

なら現実世界にいる人は、今は何をしているのだろう?

想像がつかない。


俺は大きく深呼吸をする。


まずは脱方法を考えよう。


この異世界に入ってこれたのだから、絶対に出る方法はある筈だ。

だが、今は月守さんの精神が不安定。

今はゆっくりと休んで、精神と体力を回復しよう。


「ねぇ、潤」


「ん?どうした?」


空を見上げていた俺に、不意に美唯が話しかけてくる。

その声は何かを懐かしむような声だった。


「地球上の生物ってさ……」


地球上の生物?

いきなりなんの話だ?


「うん」


先が気になった俺は、とりあえず頷いてみる。


「どうして、外側に飛ばされないの?」


「はぁ?」


俺には意味がさっぱりわからなかった。

外側に飛ばされない?何が?


「地球って一日一回転してるよね」


美唯が地球の自転について、語り始める。


「自転のことか?」


確かに地球は一日で1回転。

それがどうしたのだろう?


「それって考えてみると、すごいスピードだよね?」


「まぁ、確かに……」


確かに一日一回転って速いかもな……。

あんなに地球ってでかいんだからな……。


「そしたら、遠心力が働くよね」


遠心力。

それは、回転運動をする時に、

観測される慣性力の一種。

回転の中心からみて外側へと向かう方向の力である。


「まぁ、周ってるからな……」


俺達はそれに気付かない。

普段から地球が周ってるなんて感じられる人なんていない。

身近すぎて分からないのだろうか?


「そしたら、地球にいる人間はどうして外側に飛ばされないの?」


「さぁ?何でだろう?」


確かに遠心力は働いているだろう。

なら、どうして地球にいる人間は外側に飛ばされないのだろう。

と言うのが美唯の疑問。

素朴な疑問だ。

でも、確かに何でだろう……。


「どういう風の吹き回しだ?」


何故そんなことを思ったのか、美唯に聞いた。

美唯ってたまに、こういう良く分からないことあるよな。


「この前、海を見て思ったの」


海……?

海を見て、何でそんなことが不思議に思うのだろう?


「海って波があるでしょ?」


「まぁ、あるな」


波はある。

一般的に考えて。

あの、ザブ~ンって奴だ。

それを使ってサーフィンなんかもしたりする人もいる。

俺はしたことはないけど。


「何で波が起こるのかな……って」


「うん」


ところで美唯はいつ海に行ったのだろうか?

俺に内緒で……。誰と行ったんだろう?


「地球が自転しているから、波が起こるのかな……って思って」


なるほど……。

そこから、発展してったのか……。

だが、俺もさっぱりわからない。


「過程はわかったけど、理由はわからない」


人間『あたりまえ』と思うことは不思議に思わない。

だが、俺から言わせれば『あたりまえ』が一番不思議でわからない。

何故、人間は言葉を持ったのか。


だんだん自分の世界が広がっていく……。


「そっか……潤もわからないか……」


美唯が残念そうに肩を落とす。

そして、空を見上げる。


「何かモヤモヤする……」


美唯は不快そうな表情を顔に浮かべる。


「確かにな。わからない事とかあったら気になるよな……」


俺は周りを見渡す。

すると、先輩が視野に入った。


「桜夜先輩なら知ってるかもよ」


先輩は座りながら、黙して眼を閉じている。

なんだか、近寄り難い雰囲気だ。


「え?そうかな?」


何か地味なことが詳しそうな予感がする。

根拠はないけど……。


「聞きに行くか?」


モヤモヤするのも身体に悪そうだから、すっきりさせてあげたい。

と言いうか、俺もかなり気になる。


「うん。そうだね。先輩なら知ってるかも」


希望を持って俺達は、先輩に近づく。

先輩は修行をしているかのように、黙して眼を閉じている。

俺は、その先輩の行動がかなり気になった。

それと同時に、かなり近寄り難い雰囲気だ。


だけど、俺は先輩に問いかけることにした。


「先輩。どうして波が起こるんですか?」


先輩は眼をゆっくりと開け、先輩は俺達を視る。


「どうした?藪から棒に」


先輩があまりの唐突な質問に拍子抜けしたのか、微笑する。


「波は風によって起こる」


そう言いながらも、桜夜先輩は説明を始める。

俺達は黙って聞く。


「遠くで吹いている風が波を起こしその波が伝わってくるうねりと、その場で強い風が吹いて起こっている風浪がある。これらによって波は起きている」


やはり先輩は知っていた。

風によって波が起きているのか……。

知らなかった……。


「じゃぁ、満ち潮と引き潮はどうして起こるんですか?」


美唯は疑問を投げかける。

それは何故、満ち潮と引き潮が何故起きるのか。

確かに何故だろう?

風かな?


「これは月に関係している」


「月ッ!?」


美唯が驚愕の声を上げる。

予想もしていなかった単語が出てきた。

俺も同様を隠せなかった。


「地球にも重力があると同じに、月にも重力、引力がある」


桜夜先輩が説明を始める。

俺達はそれ熱聴する。


「地球は自転している。地球の自転のため、月が近い海と遠い海ができる」


まぁ、確かにそうだな……。

周ってれば月と近い海と、遠い海が出来るのは当然だ。


「月に近い海では、月に引きよせられて海水が盛り上がり、満ち潮になる。ちょうど反対側にある海は、引きよせられる力が弱くなるため、海水がとり残され、こちらも満ち潮になる。その中間にある海は、海水がへるので引き潮になるんだ」

  

ほぉ……。

大体はわかった気がする。

とにかく、月が関係しているんだな!

俺にはそれしか分からなかった。


「なるほどッ!」


美唯の顔がぱぁっと明るくなる。

果たして美唯は本当に分かったのだろうか?


「ああ、役に立てたか?」


「もう一つ質問してもいいですか?」


取りとめもなく美唯が質問する。

これが最大の疑問だ。

どうして、地球にいる人間が外側に飛ばされないのか?

その質問をするのだろう。

俺も気になる。


「何で地球が自転しているのに、地球にいる人間は外側に飛ばされないんですか?」


直球ど真ん中で質問する。

これで先輩に通じるといいな……。  


「成沢くんが言いたいのは、なぜ遠心力が働いている地球の中にいる人間が外側に飛ばされないのか。

と言うことかな?」


「はい!そうです!」


通じたのか!?

先輩ってすごいな……。


「これは重力に関係している」


「やっぱり、重力なんですか……」


美唯も勘付いていたようだ。

俺もだが、なんとなくそんな感じがした。

だが、外れたら格好悪いから言わなかった。


「地球上には地球の中心に引き込む働きをしている重力がある。だから、遠心力があっても外側には飛ばされない。例で言うと大気圏がそうだ。大気圏も地球の重力があるため地球の周りに保っていられる」


重力。

でも、何で重力があるのだろう?

そう言う話に発展してしまう。


「でも、北極点の人はあまり周っている感覚がないと思うんですけど、赤道付近の人は、相当周されていますよ!?」


……。……。……。


もう俺の手が届く範囲じゃない……。

赤道付近の人は相当周されてるのか……?


「確かにそうだ。例えば、赤道付近の人間の体重が60㎏だとする。その場合は、200g程度外側に飛ばされている。だが、200gの変化を感じられる人はいない。そういうことだ」


……。……。……。


「先輩って凄いですね……」


美唯のいう通りだ……。確かに凄い。

何でそんなことを知っているのだろう?


「そんなことはないさ」


すると、すぐ美唯が口を開く。


「なら、どうして重力があるんですか?」


やっぱり、美唯もそういう話になった。

地球の話は奥が深い。


「物体がその質量に比例して受ける力。遠心力などの慣性力も重力の一種で、それらの合力が重力となるんだ」


「えッ!そうなんですかッ!?」


……。……。……。


頭が真っ白になった。

わからない……。

そう簡単に、地球の構造は理解出来ないってことか……。

地球の広さを知った。


(そういえば、どうして地球は自転しているんだろう?)



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