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6話-(1) 再来

ー君の魂に抱かれてー(きみのこころにだかれて)


この作品はフィクションです。

登場する人物・団体・地名・事件・世界設定などは全て架空の物であり、

実際の物とは一切関係ありません。


「君の魂に抱かれて」は本編とboy and girls' aspects

で構成されています。

初めて読む方は、本編からご覧ください。



俺は人を救えた。

助けられた。


この左眼に宿る力で。


俺は普通の人間だと思っていた。

いや、思い込んでいたんだ。


「…………」


俺は一人でこの眼の事を考え込んだ。


何処で手に入れたのだろう?

それとも生まれつきの能力?

この眼の名前は?

どうして俺に?


全てが分からない。

分かるのは、結界が創れるということ。


だが、それ以上に嬉しさが立ち昇っている。


この力さえあれば、仲間を守れる。


外部からの進入が不可能で防御に最適な結界。


赤い血が。ベットリ付いた両手を広げる。

俺はその手の平を再び強く握った。


「美唯!女の子は!?」


横腹を被弾している女の子。

話せるぐらいには回復したようだが……。


「大丈夫!傷は深くない!」


「そうか……。よかった……」


傷はやはりそんなには、深くはないみたいだ。

でも、深くないのにあれだけの血が出るのか……。

銃の威力は恐ろしいものだ。


「よし!もう大丈夫だろ」


流石は桜夜先輩だ……。俺なんかとは比べ物にならない程上手い。

少女の治療を終えた先輩は俺の所まで来る。


「中沢くん。ちょっといいかな?」


先輩から俺に問いかけるなんて珍しい。

それもそうか。


「なんですか?」


結界の話だろう。

先輩なら何か知っているかもしれない。


「あの結界を作ったのは中沢くんで間違いはないか?」


やはりそうだった。

先輩と美唯は俺の結界を視た。

もう避けては通れない。

いや、仲間には知ってもらわないといけない。


「はい、俺です」


確かにあの結界を作ったのは俺。

自然現象でもなく、紛れもなく俺だった。


「君は何者だ?」


俺は――俺は何者なのだろうか?

今までは一般人、普通の人間のつもりで生きてきた。

だが、もう違う。

俺は異能者だ。


この世界は異世界。

異世界なんて、俺にとっては迷信でしかなかった。

実際にあるはずがない。ありえないと。


だが、俺のこの"能力"だってありえないのだ。


なら、俺は誰だろう?魔術師?超能力者?異能者?能力者?錬金術師?


何も特殊能力なんて持たないのが普通の人間だとするなら、

――俺は人間じゃない。


「一般人のつもりです」


俺には、そうしかいえなかった。

自分が人間であるという確証が何処にもなかった。


「つもり?」


もう自分が普通の人間と言う自信がなくなってきた。

ならば、俺は何者だろう?


「自分でもわかりません」


俺は人間。

今まで一回も疑ったことのないことでそれは覆らないこと。

そう思っていた。


だけど俺は普通の人間という境界から出てしまった。

その先には、何があるのだろう?


「詳しく能力の事を教えてくれないか?」


能力……。

やはりこの結界は能力。


自分が能力を持っている何て、今までは自覚がなかった。

だが、俺はあの事故の時にも結界を発した。

だから無傷だった。


「俺は結界をつくれるんです」


魔術とかは俺とは無縁の関係。

そもそも存在するはずがない。

そう思っていた昔の俺がいた。


だが、この異世界。

そして俺の眼。

その存在を信じざるを得なくなった。


「どういう結界かね?」


先輩は冷静に問いかける。


「外部からの進入が不可能な結界を作ることが出来ます」


「外部からの進入が不可能……」


先輩が考え込む。

そう言えば、先輩は会ったばっかりの時に、

『術などとは無縁の関係』

って言ってなかったけ?


「残念だが、さっぱりわからない」


先輩もわからない。

ということは、これは魔法なのだろうか?

だが、俺はあたりまえだが魔法なんて習っていない。

なら、魔法とは関係無いんじゃないのか?


「そうですか……」


結局、分からず仕舞いだった。


俺は発動時の感触を思い出してみる。


左眼が熱く滾る。

その前に、心の奥底から何かが込み上げ、左眼を熱く滾らせる。

これはどういう意味だろう?何処が根源なんだろう?


「今は保留だ。そのうち分かる日が来るだろう」


分かる日がくる……。


俺は確かにこの能力のことを知りたい。

だがその半分、知りたくない気持ちもあった。


「そうですね……」


考えてもしょうがない。

今はこの能力より少女の心配をしよう。


俺は女の子の近くに行く。


「美唯!女の子は大丈夫か!?」


「今、眠ってる」


女の子の顔を見る。

制服は桜凛高校。

きっと1年生だろう。

可愛らしい寝顔だ。


「潤?何か目が怪しいよ」


少女をみつめていた俺にそう警告した。


「なんと!」


思わず見入ってしまった。

俺は顔をシャキッ!とする。


「余計に怪しくなった」


シャキッとなった俺の顔に、更なる追い討ちをかける。


「じゃぁ、どうすればいいんだよ!」


これ以上、シャキッ!とした顔は出来ない。

なら、どうすればいいんだ……?


「自分で考えるのっ!」


美唯は結界のことは触れなかった。

優しさなのだろうか?それとも知っていたのだろうか?


「君達は本当に仲が良いな」


桜夜先輩が微笑みながら割り込んできた。


「美唯とは幼馴染ですから……」


いつの間にか美唯は昔から俺の隣にいた。

初対面の事なんて覚えていない。


「ほぉ、幼馴染か……」


そして、桜夜先輩が俺の耳元でささやく。


「大切にな……」


優しい声でつぶやいた。

その言葉が、俺の心を激動させる。


『大切』


本当に大切なものは気付かない。

でも、大切なものはすぐそばにある。

失いたくないもの。

それが大切なもの。


俺は『大切』守ることができるのだろうか?


「何話てるんですか?」


こそこそと俺に話ていた桜夜先輩に、美唯が問いかける。


「いや、何でもないさ」


先輩がデパートから持ってきた、

荷物に手を突っ込む。


「腹が減ったな……何か食べないか?」


周りを見る。


もう夜。雲は見えなくなり、黄色に燃えるような満月が空に貼りついているように浮かんでいた。

そして、今日も終わりを告げようとしていた。



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