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5話-(2) 

ー君の魂に抱かれてー(きみのこころにだかれて)


この作品はフィクションです。

登場する人物・団体・地名・事件・世界設定などは全て架空の物であり、

実際の物とは一切関係ありません。


「君の魂に抱かれて」は本編とboy and girls' aspects

で構成されています。

初めて読む方は、本編からご覧ください。



しかし先輩は速い。

全力疾走がずっと続いているような感じだ。


「事態が悪い!私は先に行く!!」


桜夜先輩はスピードを増して現場へ向かった。

此処は林というか森。

相手にとって戦場にはもってこいだろう。


そして先輩が見えなくなった。

此処には敵の姿はなく、周りは木々。

どこに隠れているかわからない。


『ズド―――――ンッ!!!!!」


「きゃっ!?」


「うぉお!?」


ものすごい近くで銃声がした。

恐らくはこの木々のすぐ右だろう。


『きゃぁああっ!?』


女子生徒の声が聞こえる。

桜凛高校の生徒なのだろうか?

まさか戦闘に巻き込まれているのか!?

もしそうだったら、その先にあるのは死。


俺は無意識にその場へ走った。


「え!?潤!危ないって!!!」


美唯の叫び声がする。

だが、俺は走ることを止めなかった。


『助けたい』


その一心で突き動かされるように現場に向かった。


何処までできるかわからない。

相手は桜凛武装高校。

誰が見てもかなうはずがない。


だが、何もしないでいるのはもっと嫌だ……!

俺が成せることをする……。


――俺は広場に出た。


そこは戦場。銃声が聞こえた場所。


俺の眼の前に立ち竦んでいる一人の少女がいた。

この場にはその少女と、桜凛武装高校の生徒一人しかいなかった。


「止めろッ!!!そんなことして何になるッ!!!」


喉が裂けるほど、本能のままに叫んだ。

だが、その願いは届くはずもなかった。

その願いは、浮遊する空を振動させただけだった。


『ズド―――――ンッ!!!!!』


「!!!!!!」


撃たれたのか……?俺は……?

こんな所で……武器を持ちながら……なにもできず……。

美唯を守ることもできず……。

ただ俺は死にに行っただけなのか……?


が、予想していた感覚は来なかった。


「んっぁあ……ああぁあああっ!」


俺の近くにいた少女が横腹を押さえている。

少女の横腹には赤い血が溢れていた。


あの銃弾で当たったのは俺ではなく、少女だった。

その被弾した少女の姿を視た俺は――


"死"


俺の頭にその言葉が浮遊してきた。

少女はどうにか立っている。

だが、被弾した横腹は血で溢れている。


前方にいる桜凛武装高校の生徒が銃を構えている。

発砲まで時間の問題。


少女はこの世界の中、その命は絶命しようとしていた。


俺の目の前で、人が"死ぬ"……。

"死"というワードに、記憶が反応する。

それは、家族の死……。

追憶された過去の記憶が鮮烈に蘇る。

ここまで鮮烈な追憶は初めてだった。



その瞬間、俺の"左眼が熱くたぎる"



この感覚には覚えがある。俺はこの感覚を追憶する。

だが、その答えは安易に見つけ出すことができた。


鮮烈なほどに蘇った記憶。その中でこの感覚が遇った。


思い出した……。


"あの時"と同じ感覚だ……。


俺のこの、奥底から湧き上がってくるこの感覚――


"左目が熱く滾る"この感覚――


あの"事故"の時と同じ感覚だ……。


俺はあの事故で一人だけ"無傷"

父さん、母さん、沙希、相手の運転手、俺以外の人間は全員死んだ。


なぜ俺だけ"無傷"だったのか……。


その理由がようやくわかった。


探し続けてた答え。

分かることのない答えが、この瞬間に解き放たれた――


俺は左眼に左手を添えて"少女の周りに意識を集中"させる。


「ち、ちくしょうぉぉぉ……こんな、ところ、で……」


少女は苦しそうに最期の声を出す。

もう消えてしまいそうな声。


俺の左眼は、その儚き声に反応しする。


「り…りおん……ごめん、ね……お姉ちゃんは、もう……」


消えそうな声。被弾している身体。

既に向けられている銃口。


もう、少女に残された時間はあとわずか。


だが、俺はその少女の――運命を変える。


『ズド―――――ンッ!!!!!』


容赦なく少女に向かって発砲。

だが……。女は殺させない!


「させるか―――――っ!!!!!」


俺は左眼を見開いた。


今までにないぐらいに、俺の左眼は熱く滾る――


その瞬間、俺は少女の周りに円状の"結界"を創る。


「な、なに……?」


銃弾は"俺が生じさせた結界"によって弾かれた。


「なッ!結界だと!?」


少女を発砲した桜凛武装高校の生徒は驚きの声を上げる。


それもそのはずだ。


何もないところで、突然結界ができたのだから。

その結界を生じさせたのは、紛れもなく俺。


わかった――わかったしまった。


"俺は普通の人間じゃない"


俺が作ったこの結界は"外部からの進入が不可能"

つまり、外部から接近してきた銃弾は結界内には進入不可能。だから当たらない。

そういう結界を作り出すことができる。

それが俺の"能力"

あの"過去記憶"と共に、忘却の檻に閉じ込めていた能力。


わかってしまった。


これなら辻褄が合う。

あの時の事故で俺だけ無傷だったのか、あれだけ血が吹き乱れていたあの場で俺に血が付かなかったのか。


答えはこの"結界"だった


外部からの進入が不可能だからだ。


小3のときの俺は"死"に反応し、無意識に発動させたのだろう。

それから一回も目覚めていない能力。

いや、記憶とともに忘却していた能力。


俺は、再びこの能力に目覚めた。


「はぁッ!!」


俺は結界を解除した。

再び、左眼が熱く滾る。


少女は俺の近くにいる。

なら、俺と少女を守るための結界を作るのも容易。

桜凛武装高校の生徒は離れている。


俺は左眼を左手で添え、左眼を見開いく――

左眼が再び熱くたぎる。


その瞬間、再び外部からの進入が不可能な結界が創られた。


「な!馬鹿な……!」


桜凛武装高校の生徒は銃を連射してくる。


『ズド―――ンッ!!!ズド―――ンッ!ズド―――ンッ!!!』


が、俺の創った結界により弾かれる。

如何なる方法を持っても進入不可能。

それがこの結界だ。


「くそッ!」


生徒が無理だと判断し撤退する。

もう敵はいない……。

俺は守れたんだ……。


「んぁああ……あぁぁぁ……」


糸がが切れた人形のように、少女は倒れ伏せた。


「おいッ!大丈夫か!?」


どうみても大丈夫なはずがない。

少女は横腹を被弾し、貫通している


俺は少女に駆け寄り、手持ちの治療道具で最低限の俺の出来る治療をする、

これはデパートから持って来たものでやはり役に立った。


「あぁ……がはッ!」


少女は一回吐血する。

視るに耐えない状況だったが瞬きもしないで治療をする。


「ちょっと痛いが我慢しろよッ!!」


痛いどころの騒ぎじゃないだろう。

だが、出血を防がなければ少女は助からない。

俺はどうしていいか分からず、強引に傷口をしめる。

俺の手は真っ赤に染まった。


「んぁああ……!!!」


止まってくれ!

出血が止まらなければ、大量出血死。

だが、それほどの出血ではない。

これは不幸中の幸い。


「よしッ!止まったか?


俺に出来る最低限度の治療を終えた。

このまま病院といきたいが、病院に行っても医師がいない。

俺は、痛み止めの薬を探す。


「はぁはぁはぁ……」


少女は呼吸を整える。

出血は収まってくれた。のか?


「大丈夫か!?」


痛み止めを見つけた俺は、蓋を開けその中から適当に取り出す。


「あり…が…とう……ございます……」


話せるぐらいに回復した。


しかし、こんな薬で本当に痛みが治まるのだろうか?

だが、別に害がある訳でもない。

俺は少女に痛み止めを飲ませることにした。


まだ周りには結界をはっている。

まだ、危険かもしれない。


と、結界の外に人が見える。


桜夜先輩と美唯だ。


何か喋っているが此処には聞こえない。

それもそのはず……。

外部からの進入が出来ないからだ。

音は空気を振動して伝わる。

だが、進入が不可能なため此処では聞こえない。

そういう面では不便かもしれない。


だが、人を守ることが出来るこの結界は、俺が求めていたものかもしれない。


俺は危険を伴うが、結界を解除した。


「中沢くん!大丈夫かね!?それと、さきほどの結界はなんだね!?」


「潤!!大丈夫!?」


同時に話しかけられた。

だが、それ所ではない。


「細かいことは後で!まずはこの女の子を!」


俺は最低限過ぎる治療しかしていない。

いや、出来なかった。


「はぁ!これはいけない!」


「わぁ!大丈夫!?」


二人は少女に駆け寄る。

この二人ならあの少女を助けられるだろう。


俺は、自分自身を見つめなおす。


自分の能力に気付いてしまった。

俺は普通の人間ではなかった。

俺の能力は外部からの進入が不可能の結界を作ることができる。

これで俺も仲間を助けられる。

俺にはピッタリな能力かも知れない。


俺の眼は再び目覚めた――



ー能力、武器の詳細ー



潤の眼の異能


潤は結界を作ることができる

結界は左眼を見開くことで使用可能。

潤の生み出す結界は外部からの進入が不可能。

そのため、防御に特化している。

結界の発動範囲は自分の視野に入れば、どんなに広くても可能。

また、範囲なども調整が可能。


だが、これが本当の"真価"ではない。



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