表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/136

5話-(1) 目覚め

ー君の魂に抱かれてー(きみのこころにだかれて)


この作品はフィクションです。

登場する人物・団体・地名・事件・世界設定などは全て架空の物であり、

実際の物とは一切関係ありません。


「君の魂に抱かれて」は本編とboy and girls' aspects

で構成されています。

初めて読む方は、本編からご覧ください。



誰も犠牲者もなく、無事に済んだ。

奇跡かもしれない。


争いが耐えない世界。

この世界の中で何人の人が死んだのだろう?

考えたくはない。

だが、死者はゼロなんて有り得ないだろう。

さっきみたいな争いがあらゆる所で起きているかもしれないし、それより酷く残酷かもしれない。

侑達は無事なのだろうか?

俺には、それを知る術はなかった。


「潤?大丈夫?顔色悪いよ?」


美唯が優しく話しかけてくれた。

また、美唯に心配をかけてしまった。


「大丈夫だ」


正直言って気がめいりそうだ。

この張り詰めた緊張感と恐怖。

すでに俺達は狙われているかもしれないっと、どんどんとマイナス思考に変わっていく。


「まぁ、そうなるのも無理はない」


桜夜先輩は羨ましいぐらいに強い。心も。

学校が違うから?俺達と送っている日常が違うから?

そんな理由とは思えない。

性格なのだろう。


「先輩の刀って何なんですか?」


場の空気を変えようと美唯がいきなり先輩に問いかける。

俺も気持ちを切り替えないと……。


「ああ、由緒正しい日本刀だ」


日本刀……。

日本人の俺達には馴染み深い言葉だった。

だが、そんなに詳しくなんて知らない。


「3本ですよね」


「そうだ。3振だ」


先輩の腰に差してある日本刀は計3本。

左右で2:1で分けている。


「まずは、この一振の説明からしよう」


先輩が鞘から一本抜く。

説明……?

嫌な予感がする。


「いや……説明までは……」


美唯は苦笑いを浮かべ、小首を傾げる。

こういう話になると、先輩は長そうだ。

それを美唯は悟ったのだろう。

俺も同じく悟った。


「まずは私の愛刀の千鳥だ」


そんな美唯をお構いなくに話を進める桜夜先輩。    

未知の世界に入っていく……。


「この千鳥は立花道雪の刀だ。戸次鑑連でも間違えではない。ある日、木の陰で雨宿りしていた立花道雪を雷が襲った」


たちばなどうせつ?べつきあきつら?

初耳な単語が俺の耳へと流れてくる。


「雷ですか……痛そうですね」


「そうだ。とても耐え難い痛みだ」


雷に打たれた。

相当な激痛だろう。

俺は死んでいるな……。

いや、俺だって老師の修行に耐えてきた。

以外にいけるかもな……。


「だが、道雪は雷に打たれ半身不随になりながらも生きていたんだ」


ふぅ……なかなかやるじゃないか……。


「すごい生命力ですね……」


生命力の問題なのかこれ?

当たり所とかじゃないのか?


「道雪は雷に襲われたときに所持していた刀、千鳥でその雷を切ったとされる」


~雷を切った~!

すごいな……。

これも、~男のロマン~だな……。

後でメモっとこ。


「雷って切れるんですか?」


男のロマンを汚しやがって!

切れないものなんてないんだぞ!

なぜそれが分からないんだ!


俺は心の中で~男のロマン~を語る。


「さあな? 実際に切ったかどうかははっきりしていないが、道雪は雷に打たれ半身不随になりながらも生きていたため、人々は雷を切った、雷神を斬ったなどと噂されている」


「雷神……」


はっきりしていないのか……。

ちょっと残念だな……。


「それから、道雪は千鳥の名を改め雷切とした」


開いていた口がふさがらなかった美唯も口を開いた。


「じゃぁ、千鳥と雷切は同じ刀なんですか?」


「ああ、そういうことになる」


やっぱり刀の説明は長かった。

これでも一振だけ。

後、二振もある。

気が遠くなる……。


「じゃぁ、何で先輩は雷切じゃなくて千鳥なんですか?」


確かにそうだ。

道雪さんは名を千鳥から雷切に変えたのに……。


「雷切には雷魂らいこんが宿っている」


「雷魂!?」


雷魂……。

聞いたことがない。


「私は普段、千鳥の雷魂を開放していない。だから雷魂を開放していない状態は千鳥、雷魂が開放された状態は雷切としている」


「…………」


美唯が黙り込んでしまった。

俺がフォローしないと……!

あまりにも、美唯と先輩が可哀想だ!


「じゃぁ!先輩!次の刀は何ですか!?」


このフォローを言った途端に後悔した。

自ら地雷を踏んでしまった。


「よくぞ聞いてくれた!」


何故か先輩は嬉しそうに微笑む。

嫌な予感が漂う。


「三条宗近!三日月宗近!!」


先輩は誇り高くそういった。

その言葉だけが無情に響いていく。


「…………」


俺と美唯はリアクションゼロ。

というか、すでにゼロを通り越してマイナスだ。


「ん?どうした?反応が薄いぞ?あの三日月宗近だぞ!?天下五剣の一つだぞ!?」


先輩は声を張り上げる。

有名な刀なのだろうか?


「申し訳ありませんが、知りません」


これは正直に言ったほうがいい。

だから俺は正直にいうことにした。


俺の言葉を聞いた桜夜先輩は驚き、眼を大きくした。

だが、すぐに平然を取り戻した。


「そ、そうか……。成沢くんなら知っているんじゃないか?」


桜夜先輩が美唯に問いかける。

美唯は少し焦っている。


「知りません……」


先輩が失望したような顔をする。

そんな顔で見ないでくれ……。


「天下五剣の中でも最も美しいとも評され、名物中の名物とも呼ばれたあの三日月宗近だぞ!?」


先輩は確かめるように訴える。

そもそも、天下五剣も知らない。


「申し訳ありませんが、天下五剣も知りません」


素直に自分の知力を露わにする。


「な!なんだと!?」


先輩は完璧に俺を哀れ見ている。

間違いない……。

先輩は無上なまでに驚愕している。


「君達は何処出身なんだ!?異人か!?」


「純粋の桜凛っ子です」


俺の生まれは桜凛市。

育ちも桜凛市。

日本から出たことすらない。


「なら、今まで何をしていた!?人でありながら恥ずかしいぞ!?」


そこまでの事なのだろうか?

そもそも、知っている人なんて俺の周りにいるのだろうか?


「君はそれでも心を持った人間か!?」


猛烈に攻撃してくる。

天下五剣を知らないことがそれ程の罪なのだろうか?

誰か助けてくれ……。


「先輩!一般の人はそんなこと知らないですよっ!普通っ!」


ありがとう美唯……。

それが普通だよな……。


「!!!!!!」


先輩が唖然とする。

失望か絶望か呆れか驚きか……。

とにかく複雑な表情をしていた。


「あああ!先輩!最後の一つは何ですか!?」


声を張り上げて言った。

このままだと、この空気に押し潰されそうだ。


「良く聞いてくれた!桜夜家最強の一振!」


先輩は自信と誇りを兼備えた態度をとる。

よっぽど誇りに満々としている刀なんだろう。


「桜夜 飛龍!神刀しんとう神切かみぎり!」


……。……。……。


まずい……。

リアクションをしなければ……!!


「うおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!!」


何故か恥ずかしいぐらいに叫んでしまった。

何だこのリアクションは!?


「そんなに驚かないでくれ」


先輩は嬉しそうだ。

こんなリアクションで良かったのだろうか?

俺のリアクションの事は一切気にせず、先輩は話を進める。


「この刀は代々、桜夜家に伝われし神刀で、私の先祖に当たる、桜夜 飛龍の愛刀だ」


「いやっほ―――!!!」


何故か変なリアクションしか取れない……。

なんで『いやっほ―――!!!』なんだ!

とんでもないリアクションをしたと後悔した。


「この刀は名前通り、神を切ったと言われている刀だ」


こんなリアクションでも、もろともしない先輩。

大きいお方だ。次はいいリアクションをしよう。


「フゥゥ―――――!!!」


……。……。……。


俺のリアクションのセンスの無さに

自分で失望した。


「そのため、この刀には神の力が宿されている」


「神の力!?」


ようやく自然なリアクションができた。

いや、自然と出来た。

なんだ……?神の力って……?


「神の力って……」


「私にもわからんよ」


思いもよらない答えだった。


「え……?」


先輩でもわからない?

これはどういう意味なんだ?


「この神切は雷切同様に力を開放していない」


力を解放。

ということは神の力を封印しているということ。


「解放できないんですか?」


「いや、呪を唱えれば開放できる」


呪を唱える。

また未知の世界だ。


「この神切の神の力を解放したら、拒絶反応が起こり所有者が死ぬ。それと、桜夜の血が流れていない者が柄を握ると拒絶反応で死ぬ」


「え……?」


拒絶反応?

死?

桜夜の血?

なんだそれは?


「私とて解放をすれば、命はない」


だから開放しないのか……。

だから能力を知らない未知の刀。

しかも桜夜家の人間しか扱えない。


「そんな刀を使いこなせる人なんているんですか?」


この刀は桜夜家に伝われてきた刀。

その中でもいないのだろうか?


「いた。桜夜家最強の剣士、桜夜 飛龍」


桜夜 飛龍……。

この男が最も桜夜家最強……。

ん……?

と言うことは桜夜家って剣術関係の家なのか?

まぁ、今は触れないでおこう。

きっとそうなのだろ。


「桜夜 飛龍は神を切った本人だ」


神を切る……。

俺には迷信でしか思えない。

いや、切れない者なんてない。


「桜夜 飛龍が唯一、神切の力を使えた」


神切の力……。

それは神の力。

想像もつかないほどの力が、宿されている剣。

それだけはわかった。


『ズド―――ン!!!』


不意に再び銃声が聞こえた。

距離はそう遠くはない。


「また!?」


美唯はその銃声の音で表情を曇らせる。

今日2回目。

また、命が危険になる音がした。

出来れば聞きたくない。


「私は現場に行くが君達は!?」


選択。

再び未来を大きく変えてしまう選択。

そんな選択を容赦なくしてくるような世界に俺達はいる。

だが、俺は答えは最初から決まっていた。


「俺も行きます!!」


「私も!!」


俺達は強い意志を先輩に見せる。


「そうか……安心したまえ。君達は私が守る」


先輩は刀を鞘から抜いた。

そしてそれを俺の前へ突き出す。


「使いたまえ」


守るための剣。

これが無ければ俺は無力。


俺は迷わず受け取った。


ずっしりと重い。

この前の戦いと同じ刀だ。


この刀は三日月宗近だったんだな……。

さっきはその美しさに気付けなかったが、その刀は見とれてしまう程美しかった。


「よし!くぞ!!」


桜夜先輩が疾走する。

俺たちはそれをひたすらに追いかけた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
投票は終了しました。多くの投票ありがとうございました。
君の魂に抱かれて キャラクター人気投票
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ