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君の魂に抱かれて  作者: 皐月-Satsuki-
boy and girls' aspects
106/136

9月5日/緋咲eyes  月光想夜

ー君の魂に抱かれてー(きみのこころにだかれて)


この作品はフィクションです。

登場する人物・団体・地名・事件・世界設定などは全て架空の物であり、

実際の物とは一切関係ありません。

初めて読む方は、本編からご覧ください。



ーboy and girls' aspectsとは?ー


このモードは主人公の視点ではなく、

君の魂に抱かれての主人公以外の登場人物の視点です。


これにより、より世界観がわかりやすくなります。


※目次の場合、下に行くほど時間が最新です。



空に浮かぶ黄金色の満月を見つけた。

燦爛と輝く月。


その月を立ちながら仰いでいる。


あたしは、あんな雨で超濡れてる所で寝たくない。

だけど、雨のせいであんな所しかない。


だったら、寝なければいい。

簡単なこと。眠いけど……。

あんな所で寝るよりは、起きてる方がマシ。


此処は、寝ている集団から少し離れた所。

ここならアイツ等にも迷惑もかからない。

だけど、此処も足場が濡れている。

しょうがないか……。あんな雨が降ったんだから……。


「はぁ~」


この得体の知れない世界に来て、随分と溜息が増えた気がする。

今日で何日目だっけ……?


え~とぉ~


あたしは右手の指を折り曲げながら数を数える。


5日目? はぁ~~~。


また溜息が出る。

5日って長いのやら短いのやらぁ……。

はぁ~~~。


何であたしがこんなことに巻き込まれたんだろぉ……。

巻き込んだ奴、絶対に赦さない……。


強く握った右拳がブルブル震える。


本当に誰よっ!こんな事したのっ!


心が激情する。

だれよ……だれよ……だれよ……。


あ、朝倉だった……。


朝倉…………。


覚えてなさいよぉ!朝倉ッ!でっかい穴開けてやるんだからぁ!


あ、でも朝倉は命令をしただけか……。

じゃぁ、直接この世界に関係している人はだれ?

これは、自然現象だとでもいうの?


でも、なんで朝倉はそんな馬鹿げた命令を?

本当に意味はないことなの?朝倉の娯楽のため?

朝倉っていうのがそんな奴だから?


そんな事を考えていると……。


「なにをしてるんだ?」


「ひゃうッ!?」


不意に後ろからアイツの声がした。

あたしは驚きのあまり振り返れず、肩をビクっとさせた。


恐怖が抜けたところで高速で振り返った。


「お、お前か……」


それにしても、変な声を出したと後悔した……。

一生の恥だ……。


「お前って以外にもビビリ屋なんだな」


ビビリ屋?

このあたしが?

はぁっ!今のは事故よ!ええ。立派な事故だわ……。


「このぐらいで、あたしがビビると思う?」


両腕を組みながら、見下すように視る。

そうよ……。あたしはビビッてなんていないッ!


「緋咲ッ!!下ッ!下ッ!」


蒼生がいきなり叫び出し、勢い良く人差し指を地面に向ける。


「ヘビだぞッ!ヘビッ!」


「へ、ヘビッ!?」


慌てて足元を上げる。

うそッ!?ヘビッ!?

へ、ヘビなんて御免よッ!


「お前やっぱビビりだな」


え……?


その言葉で身体の動きが止まった。


「だ、騙したなぁ……」


なんでこうも簡単に騙されるの……。

生き物もいない世界だっていうのに……。

ヘビがいるはずないじゃない……。


「いや~、今宵も月が綺麗だな」


「は、話を逸らすなッ!」


あたしってもしかして、いつもコイツのペースに乗せられてる?


「お前は寝なくていいのか?」


月を見上げながら、あたしの心配をする蒼生。


「お、お前だって起きてるじゃないのッ!」


あたしは、あんな所で寝るなんて御免。

だから起きてる。ただそれだけ。


「まぁ、そうだな……」


何故か蒼生は、懐かしむような表情で月を見つめる。

こんな表情をする蒼生は初めてかも。


「どうかしたの?」


ちょっと興味があったから聞いてみた。

思い出に浸ってるとか?

なんだか笑えてきた。


「いや、どうして俺達はこんな所に来たんだろうなって」


こんな所に来た……。

蒼生とあたしは同じことを考えていたんだ。

なんだか、思考が読まれているみたいで複雑な気持ち……。


「あたしも、同じこと考えてた」


あたしも月を見つめる。

改めて視れば、すごく綺麗に輝いていた。


「お前と同じことを考えていたなんてな……」


不満そうな口調でそういった。

だけど、その言葉には嫌味はなかった。


「なによ、悪い?」


「いや、何も」


あたし達は再び月を見つめた。


いつかは、戻れるの?

あたし達は、あたし達が知る世界に戻れるの?

いいや、絶対に戻れる。


その瞬間、優しい風が吹き抜けた。



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