9月5日/璃桜eyes Recollection
ー君の魂に抱かれてー(きみのこころにだかれて)
この作品はフィクションです。
登場する人物・団体・地名・事件・世界設定などは全て架空の物であり、
実際の物とは一切関係ありません。
初めて読む方は、本編からご覧ください。
ーboy and girls' aspectsとは?ー
このモードは主人公の視点ではなく、
君の魂に抱かれての主人公以外の登場人物の視点です。
これにより、より世界観がわかりやすくなります。
※目次の場合、下に行くほど時間が最新です。
もう、日付は変わってしまったかな?
私達は林の中で、明日に備えて眠っている。
だけど、雨のせいで地面に生い茂っている草はビチョビチョ。
その上で寝るのは抵抗はあったけど、仕方ないと割り切った。
「ん……」
眠れない……。
私は寝返りも出来ず、そのまま重い瞼を閉じた。
背中が濡れて気持ち悪い。
背中だけじゃない。身体全身も。
私の制服は……すごく汚れているんだろうな……。
前身は眼で見えるけど、背中は見えない。
しかも、前身さえもが暗さで見えない。
制服を洗いたい……。
全身が雨に濡れてすごく気持ち悪い。
だけど、洗えない。洗う為の物がない。
酷いジレンマ……。
せめて、お風呂に入りたい……。
はぁ~っと私は溜息をついた。
寝よう……。寝れば体温で制服もある程度は乾く。
だから、寝よう……。お休みなさい……。
私は何も考えずに、眠ろうとする。
……。……。……。
「なんで寝れない……」
身体は疲れているはずなのに、何故だが眠れない。
私の周りでは、侑達が眠っている。
耳を澄まさなくても、規則正しい寝息も聞こえてくる。
私はゆっくりと瞳を開いた。
「星か……」
無意識に見上げた夜空の星。
その星は、一つ一つ光を佩びている。
そんな星を見つめているうちに、私の心には取りとめもない思考が浮いて沈んだ。
言葉になろうとしないそれらの思考は、力なく消えていった。
この星達は自らの力で輝いているんじゃない。
太陽のお陰で輝いている。
私は、そのまま曖昧な心地で、じっと星を見つめ続けた。
「自分だけじゃ、輝けない……」
どこかこの星達は、私に似ている。
自分の力じゃ輝けない。
誰かが絶対に必要。
だけど……なんでだろう?
私には、この星がすごく綺麗に見える。
美しくて、強くて……。
そう思うのは、何故だろう?
自分でも分からなかった。
私は星に手を伸ばしてみる。
届きそうなのに、届かない。
いくら、指を動かしても、触れることすら出来ない。
「沙耶……」
無意識にその言葉が出た。
本当に無意識に。
沙耶……。
沙耶は今頃、何をしてる?
分かりそうで、分からない。
届きそうで、届かない。
沙耶は9月1日に、一人だけで桜凛高校へ向かった。
それからは、一回も会ってない。
ふと考えると、私は沙耶と出会ったことで、相当人生が変わった。
出会った当時から、沙耶はあんな感じでだった。
今だってそうだ。
だかれこそ、私達は親友でいれれた。
その沙耶が、桜凛武装高校へ入学すると、本人の口から聞いた。
だから、私も迷わず桜凛武装高校へ入学した。
なんの理由もない。ただ、親友と一緒にいたいから。
だけど、沙耶と同じの剣術科は入れなかった。
剣術科はレベルが高過ぎた。
だから、私は素人でも入れる現代剣術科へ入学した。
自分でも失笑してしまうぐらいの気軽さで、入学したんだったな……私は……。
あの時、私は桜凛武装高校へ入学しなかったら?
あの時、沙耶と出会わなかったら?
今の私は、どうなっていたのだろう?
考えても答えはでない。
あたりまえだ。
それに答えはない。
だけど、今此処にいる私は、今が好きだ。
これで良かったと心の奥から思う。
おっと……なにを黄昏ているんだ私は……。
私は、空に向かって小さく微笑んだ。
そして、ゆっくりと眼を閉じた。