9月4日/侑eyes 止まない雨はない
ー君の魂に抱かれてー(きみのこころにだかれて)
この作品はフィクションです。
登場する人物・団体・地名・事件・世界設定などは全て架空の物であり、
実際の物とは一切関係ありません。
初めて読む方は、本編からご覧ください。
ーboy and girls' aspectsとは?ー
このモードは主人公の視点ではなく、
君の魂に抱かれての主人公以外の登場人物の視点です。
これにより、より世界観がわかりやすくなります。
※目次の場合、下に行くほど時間が最新です。
『ゴロロロロロロロロロロ―――――ッ!!!!!』
『ギギギャャャァァァアアアアアアアアアア―――――ッ!!!!!』
まだ雨は勢い良く降り注いでいる。
俺の髪にシャンプをつけたら、泡立つと確信を持っていえる量だ。
そんな中、ファーゼストクンパニアンは自転車で走り抜ける。
しかも周りは真っ暗だ。
これまでにない、悪条件が揃いに揃っている。
「いやぁ~雨酷いねぇ~」
聖夜はおっさんか!って突っ込みたくなるぐらいのおっさん口調だ。
「そうだな……」
雨は一向に止む気配を見せない。
天気雨なら、もうじき止んでもいいんだけどな……。
聖夜の人格も、段々と老いてきたことだし。
「お天道様もお怒りだぁ~」
奏笑は呑気な声を上げる。
だが、今の精神状態は極限状態だろう。
「大丈夫だ奏笑、雷が直撃しても死なない可能性もある!」
粢先輩のフォローはまったくフォローになってない。
この言葉の響きだと、死ぬ可能性の方が高く聞こえる。
「そ、そうなのぉ~」
そりゃ、確かに直撃すれば絶対に死ぬってわけでもないだろう。
「そうだぞ。雷に打たれながらも、下半身不随で生きていた人物もいるんだぞ?」
それって運がいい方なのか?
それとも悪い方なのだろうか?
「か、下半身不随は嫌だよぉ~」
そりゃ、そうだ。
下半身ということは、歩けなくなる。
ということは、車椅子生活だ。
「安心しろ奏笑。もしもの時は俺の下半身をあげよう」
聖夜が下半身提供の話を始める。
……。……。……。
想像しただけでも、背筋がゾッとする。
「ほ、ほんとう~?」
何故か奏笑も受理した……。
マジかよ……。
本当にそれでいいのかよ……。
「男に二言はないぜ?」
聖夜は逞しい声でそういってみせた。
その瞬間……。
「あ、雨止んだ……」
あれほどショワーの如く降り注いでいた雨が、何事もなかたようにピタッと止んだ。
「や、止んだ……」
雨が止んだことを、一番驚喜したのは緋咲だった。
雨が止んだというより、雷がおさまったということに驚喜しているんだろう。
「お前、泣いてるのか?」
「な、泣いてなんてないッ!」
此処は緋咲は、強く言ってみせた。
雨は止んだ。
だが、問題はこれだけではない。
周りは真っ暗だ。
灯りの一つもない。
よく、俺達は此処まで行ったなと感心する。
「粢先輩。今日はこれで休みませんか?」
今日はかなり走った……。
体力的にも、気力的にも限界だった。
「そうだな。休むか」
ああ、ようやく休息ができる……。
俺は心の底から嬉しく思った。
「な、菜月ちゃん!わ、わたし~どこも打たれてないよねぇ~?こげてないよねぇ~?」
「暗いから視えない……」
こうして俺達は、9月4日を終えた。