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君の魂に抱かれて  作者: 皐月-Satsuki-
boy and girls' aspects
102/136

9月4日/侑eyes    雨のち雷

ー君の魂に抱かれてー(きみのこころにだかれて)


この作品はフィクションです。

登場する人物・団体・地名・事件・世界設定などは全て架空の物であり、

実際の物とは一切関係ありません。

初めて読む方は、本編からご覧ください。



ーboy and girls' aspectsとは?ー


このモードは主人公の視点ではなく、

君の魂に抱かれての主人公以外の登場人物の視点です。


これにより、より世界観がわかりやすくなります。


※目次の場合、下に行くほど時間が最新です。


これが雨の脅威か……。

俺達には傘、合羽かっぱすらない。

俺達はただ、ひたすらに濡れるだけだった。


「なんで制服が防水じゃないのよ……」


この声は緋咲か?

暗いから誰が喋ったのかすら分からない。

だが、緋咲にしては、声のトーンが低い。

これも、雨の脅威か……。


「その代わり、防弾だぞ?」


この声は蒼生先輩か……。

桜凛武装高校の制服は防弾。

それは、随分と前から知っていた。


「防弾なんていらないッ!なんで防水じゃないのッ!」


緋咲は文句を垂らす。

誰に向かってかは分からないが、多分制服に向かってだろう。


「制服がもし防水になっても、その制服で被弾したら、なんで防弾じゃないのっていうだろう?」


俺は防弾を選ぶな。

今の状況は、防水が欲しいが、絶対に防弾の方が役に立つ。


「だったら、一緒にすればいいでしょッ!」


何故だが声を張り上げる緋咲。

一緒にという意味は、防水かつ防弾の制服ってわけか……。


防弾制服っていっても、見た目は、普通の高校制服だ。

素材が違うだけだ。

デザインは高校生って感じだ。

しかも、デザインもいい。


「無茶いうななよ。防弾と防水効果を持つ素材なんてないぞ」


「だったら、作ればいいでしょうッ!」


雨の音で会話が掻き消される。

小さい声なら、聞こえないだろう。

だが、二人とも声が大きい。

だから聞こえる。


『ゴロロロロロロロロロロ―――――ッ!!!!!』


『ギギギャャャァァァアアアアアアアアアア――――――――――ッ!!!!!』


不意に響いた雷の大音響で、女性陣は悲鳴を上げる。

俺にとっては、雷より女共の悲鳴の方が驚愕だった。

雷の轟音と対等するほどの女性陣の悲鳴。


「は、はぁ……ッ!か、かみなり……ぐらいで……ギ、ギャーギャー……いうなんて……な、情けない……」


緋咲の声は口重で、歯切りも悪くガチガチだった。

聞いてて、説得力も微塵になく、哀れとすら思えた。


「お前が一番びびってたぞ」


確かに、緋咲の高音の悲鳴は、誰よりも響いていた。

そういえば、粢先輩の声は聞こえなかった。


「び、びびびびびびびびびってなんてないッ!」


明らかに、その声は怯えている。

雷なんて受け止めそうなイメージの緋咲は、以外にも雷が苦手なのか……。


「ほら、雷光ったぞ」


蒼生が悪戯っぽく、緋咲に忠告する。

前方で雷が光った。

雷は、光の方が速いから、光が速く伝わり、後に音が響く。ない

常識的なことだ。

つまり、前方で光ったから、近いうちに雷の音が響く。


「キャッ!!!」


短い悲鳴が聞こえた。やはり雷が怖いみたいだ

こんな弱々しい声を上げた緋咲は初めてかもしれない。


『ゴロロロロロロロロロロ―――――ッ!!!!!』


『ギギギャャャァァァアアアアアアアアアア―――――ッ!!!!!』


う、うるさい……。

雷じゃなくて、女性陣の悲鳴の方が……。


「あ、あたったらぁ~どうしよぉ~」


奏笑の声は、少し涙声だった。

やっぱり、女の子にとっては雷は脅威なのだろう。

建物の中なら、そうでもないだろうが、

外だとかなりの脅威に感じる。


「だ、大丈夫よ奏笑ちゃん!雷が落ちやすいのは金属類だから……」


即、奏笑をフォローする菜月。

確かに、雷が落ちやすいのは金属類って聞くよな。

後、高い所に落ちやすいとか……。


「自転車ってぇ~金属つかってるよねぇ……」


……。……。……。


菜月のフォローが、裏目に出た。

一瞬、雰囲気が凍りついた。

その言葉に、一番に反応したのは緋咲だった。


「う、うそッ!?」


緋咲は恐慌の声を上げる。

その問いに即、蒼生先輩が答える。


「嘘じゃないぞ。自転車に適切な素材は、スチール、アルミニウム合金、チタン、マグネシウムなどの金属系素材だからな」


適切な答えを、緋咲に返す蒼生先輩。

そして、更に緋咲は恐慌する。


「い、いやぁぁああああ―――――ッ!!!!!」


緋咲の高音が、この世界に響き渡る。

俺は唯一驚きもしていなかった、粢先輩に問いかけてみる。


「なんで、先輩は驚かないんですか?」


先輩も純粋な女の子のはず。

それとも、こんなことでは動じない強い精神を持っているからなのか?


「とっくの昔に雷の音には慣れてた」


「慣れた?」


慣れた……?

先輩は昔、何処で暮らしていたのだろうか?

雷が堪えない所なのだろうか?

先輩はすごい壮絶な人生を歩んできたんだな……。


「私の友達が、よく雷を起こしていたから」


??????


粢先輩の友達の人は、人間ではないのだろうか……。

だとしたら、雷神。

雷神なら、雷を起こすことなんて容易い。


「すごい生物と友達ですね……」


「生物?」


俺にはその一言しかいえなかった。

まさか粢先輩が人外のお方と知り合いとは……。

一体、どんな人なんだろう?

モンスター系統かな?


「どんなお方で?」


人ではないのだから、『どんな人で?』と言えば失礼に値するだろう。

俺は頭中で、妄想を膨らませる。


「どんな方って言われてもな……」


粢先輩は、明らかに言うのを拒んでいる。

そりゃそうだ。

人外だもんな。

空とか飛べんのかな……。


「髪は紅くて長く……」


紅くて長い……。

俺の妄想が更に引き立てられ、とんでもない容姿になった。


全身が紅色の毛に覆われている高貴なお方なのだろうか……?


「翼とか生えてないんですか?」


「つ、つばさッ!?」


粢先輩は予想もしていなかったのか、声を裏返す。

だが、表情は真っ暗のため見えない。

だけど、声で大体の表情は把握できる。


「お前は私の友達を、どんな風に想像しているんだッ!?」


先輩は慌てているのか、少し早口で喋った。


どんな風に想像……。


「モンスター系統です」


人間が雷を起こせるとは思えない。

だとしたら、自然的に人外になる。


「モ、モンスター……」


俺の言ったことを、先輩はオウム返しに繰り返す。


「わ、私はモンスターなんて友達にしないッ!」


先輩は早口な口調でそういった。

その瞬間……。


『ゴロロロロロロロロロロ―――――ッ!!!!!』


『ギギギャャャァァァアアアアアアアアアア―――――ッ!!!!!』


忘れかけていた雷の大響音が響き渡った。

それ以上に、女性陣の大響音が響き渡った。


「たくよ~その元気を違うところで生かせってぇの~」


聖夜はこの悲鳴に文句を垂らす。


「まったくその通りだな」


これだけ元気があれば、俺達は大丈夫のはず。

いや、大丈夫だろう。


その後も鳴り響く豪雷の中、ファーゼストクンパニアンは自転車で走っていった。



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