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4話-(2) 

ー君の魂に抱かれてー(きみのこころにだかれて)


この作品はフィクションです。

登場する人物・団体・地名・事件・世界設定などは全て架空の物であり、

実際の物とは一切関係ありません。


「君の魂に抱かれて」は本編とboy and girls' aspects

で構成されています。

初めて読む方は、本編からご覧ください。



中には誰もいない。

だが、此処は広い。

どこかに潜んでいるかもしれない。


「本当に誰もいなね…潤……」


「そうだな」


デパートの中に誰もいない。

こんなのは初めてみる光景だ。


「さぁ、申し訳ないが食料を頂くとしよう」


申し訳ない。

現代社会なら万引きの罪に当たる。

が、此処は異世界で警察なんていない。



そして食料品売り場へ直行し、俺達は弁当コーナーの前へ。


「随分と減っているな……」


弁当コーナーの弁当の数は半分以下になっていた。

誰かが食べていったのだろう。

先客がいたようだからその人かな?


「申し訳ない。頂きます」


桜夜先輩は弁当を3個取り、俺達に一個づつ渡す。


「大切に食べたまえ」


「ありがとうございますッ!」


美唯は豪く嬉しそうだ。

表情もパァっと明るくなった。


「ありがとうございます」


受け取った俺は、自然と感謝の言葉が出た。


「感謝はその弁当を作った人に言ってくれ」


作った人に感謝。

俺達はそれ位しか出来ない。

直接言いたいが不可能な話だ。


「では場所を変えるか……」


俺達は弁当を手に持ち休憩場へ。




◇◆◇◆◇◆◇◇◆◇◆◇◆◇




「では、食べるとしよう」


休憩場へ着いた。

そこには木で出来た巨大な机も置いてあった。

弁当を食べるにはもってこいの場所だ。


「私達と考えが同じ人間がいたようだな……」


机には綺麗に並べてある空の弁当。

誰かが食べたのだろう。

ちゃんと綺麗に並べてあるのが可愛らしい。

俺達もそのベンチに座った。


「食べていった人がいたんですね」


俺達と同じことを考えていた人がいたのか……。

その人達は今は何処にいるんだろう?


「そうだな。誰でも空腹には勝てんよ」


その人たちが、正面入り口のガラスを割ったのだろうか?

つまりは、そのガラスを割れるほどの武器がある。

ということにも繋がる。


「ではッ!頂きますッ!!」


美唯は誰よりも早く食べ始める。

やっぱり、相当お腹が空いていたんだろう。


「頂きます」


それに続けて桜夜先輩も食べる。

俺も食べよっかな……。


「頂きます」


食べ物を口にするのは、昨日の昼ぶりかな……。

あの時の俺はまさかこんな風になるだなんて、思いもしなかっただろうな……。

俺は飯を食べながら、俺達の行動について振り返る。


俺達は何処に進んでいるのだろう?

前に進めているのだろうか?

悪い方には進んでいないのだろうか?


無限に広がる選択肢の中で、俺はこの選択肢に賭けた。


それが正解か間違いかはわからない。

だが、迷ってはいけない。

今は信じよう。


共にこの異世界から脱出するために。



◇◆◇◆◇◆◇◇◆◇◆◇◆◇



俺達は必要な物をいただき、デパートに別れを告げた。


「先輩、これからどうするんですか?」


今俺達は、商店街を歩いている。

デパートから持ってきた荷物は皆で協力して持つ。


「そうだな……まずは……」


桜夜先輩がそう言いかけた時……。

再びこの音が無情に世界に響き渡った。


『ズド―――ンッ!!!』


「――ッ!?」


遠くから銃声が聞こえた。

また聞こえてしまった。

やはり、本当に戦闘が起こっているんだ……。

身を持って実感する。


「キャッ!!」


美唯は短い悲鳴を上げ、耳を押さえる。

俺も最悪だと思うが、そんなに動揺しない。

徐々にこの異世界のことを受け入れているかもしれない。


「……また銃声か」


俺は銃声のした方向に向かって呟く。

この銃声も人を殺す音なのだろうか?

桜凛高校の生徒が危ない……。


「私は銃声がした方へ向かうが、君達はどうする?」


銃声のした方へ行く……桜夜先輩は自ら戦場へ行くのか!?

桜夜先輩について行ったら、戦場に行くと言うことになる。

だが、どっちにしろ危険だ。

此処にいれば安全と言う保障はない。

なら……!


「桜夜先輩!俺も行きます!」


渇望するかのように、はっきりとそういった。


「潤ッ!?」


その反面、美唯は驚きの声を上げる。

確かに、これは究極の選択かもしれない。


俺達を残して、先輩が行ってしまったら俺達は抵抗する力がない。

敵に会えば殺される。


だけど、先輩と共に行動すれば可能性は減る。


俺はそれに賭ける。


「安心したまえ!君達は私が守る!!」


先輩のその一言がとても心強かった。


「うん…わかった……。私も行くッ!!」


美唯も決心をしたようにそう言う。

これからどうなるのだろう?

恐怖で足が竦む。


くぞッ!!!」


桜夜先輩が銃声のした方へ走る。

ものすごいスピードだ。

超人離れとはこのことか……。


「よっし美唯! 行くぞ!」


「うんッ!」


俺達も先輩の後に続く。

先輩のスピードに到底追いつかないが、見失わないように走る。

疾走とはいいがたいが、俺は全速力で走った。


『ズド―――――ン!!!!!』


銃声が近い。

現場まであと少し。


何がなんでも、美唯を守る。

命に代えても―――――!!!

その決意が恐怖を勝った。


駅前の大きい広場に着いた。

銃声はそこからする。


「中沢くん!」


不意に振り返り、俺の名を呼ぶ先輩、


「あ、はい!」


いつになく、先輩の顔は真剣なものだった。

剣士という言葉が相応しい。


これが、戦うときの先輩の顔か……。


先輩は鞘から刀を抜く。


「武器を持たずにこの場に来たなんて、死にに来たようなものだ」


先輩は刀を俺に差し出す。

その刀の刃に、俺の顔が薄っすらと浮かぶ。


「これは……?」


それは刀。人を殺す道具。


そうにしか俺には見えない。


だから、受け取れなかった。

受け取るのを拒んだ。


俺は人殺しにはなりたくない。


「これで成沢くんを守れ」


「――!?」


守るための剣。美唯を守る。

それが俺の役目。俺が成すべきこと。

俺の使命。


「……わかりました」


俺はその刀を受け取った。

ずっしりと重たい。

真剣ってのはこんなにも重いのか……。


「幸運あれ!」


桜夜先輩は戦場へ向かって走っていった。

桜夜先輩……。どうか無事で……。


「潤……」


美唯が俺にしがみつく。

俺は美唯を守る。

そう決心したんだ。


俺の目の前で戦闘が行われている。

幸いなことに誰も死んでいない。


この場にいるのは、桜凛高校の生徒と桜凛武装高校の生徒。

やはり、殺害が目的なのか……?


駅前なことだけあり、建物が多い。

俺と美唯は建物の角に隠れながら、戦場を見守る。


桜夜先輩がはっきりと見えた。

先輩はその戦場の真ん中に行く。


「君達ッ!!そんな狂気なことは止めろッ!!!」


先輩は桜凛武装高校の生徒に向かって叫ぶ。

此処からでも、声は聞こえてくる。

それぐらいに、戦場とは目と鼻の先。


「なッ!貴方は剣術科の……」


桜凛武装高校の女子生徒が先輩を見た。

桜凛武装高校は科によって制服も違う。

だから、何科を見分けるのは容易で、この生徒は先輩とは違う制服だ。

つまりは違う科。


「Sランクの桜夜沙耶!!」


え、Sランク!?


それって一番上なんじゃないのか!?

桜凛武装高校のことは全然知らないが、Sと聞くと一般的に高いと言う印象がある。


「貴方は校則の綱紀粛正を破るのですかッ!?」


校則……。

それは恐らく、戦術科のだした命令には従う。

ということだろう。


「そんな狂気な命令には従わんよ!!」


先輩は鞘から刀を出す。

その姿は、気迫に満ちていた。


「立花道雪!千鳥!!」


あれが先輩の刀……。

相手の数は5人。

この5人はメンバーだろう。

俺たちで言うと仲間。


「桜夜沙耶!覚悟!!」


女子生徒の武器は長刀。

それを片手で握りながら、接近してくる。


「いいだろう。お相手いたす!!」


『カキ―――ンッ!!!』


刀同士がぶつかり合う金属音が響き渡る

激しい火花も散っている。


これが、戦場。

人同士の殺し合い。


まさか俺が戦闘を肉眼で視ることになろうとは……。


「ハアアァァ―――――ッ!!!」


淀みなく旋転した少女は、流れるように後ろから回し右袈裟に斬り付ける――!

その動きは、美しく滑らかで、あれに直撃すれば一刀両断だろう。。

無駄な動きなどは感じない。


『カキ―――ンッ!!!』


だが、先輩は千鳥で防御。

そして、地面を蹴ると後ろに後退し、間合いを取った。


長い沈黙が訪れる。


少しでも油断をすれば負けるだろう。

それがこの睨み合い。


「ハアアァァ―――――ッ!!!」


先に仕掛けたのは女子生徒。

初動で間合いを一気に詰め込む!


『カキ―――――ンッ!!!!!』


だが桜夜先輩も一分の隙もない防御で、上袈裟斬りにする長刀をすべていなす。

一瞬の攻防ではあったが、すべての攻撃を防御された少女に隙が生じた。


「はぁっ!!」


その一瞬の隙を見逃さなかった桜夜先輩は、長刀の刃身目掛けて鋭利と表現できるほどの、

右袈裟を斬り込む!


『カキ―――――ンッ!!!!!』


桜夜先輩の狙い通り、長刀の刃身に激烈し、

長刀は桜夜先輩の斬った軌道に乗って大きく吹き飛ばされる。


「はぁッ……?」


長刀は飛ばされ、先輩の一撃によりバランスを崩した少女は成す術もない。

少女に絶対的な隙が生まれ、諦めにも良く似た声を漏らす。

死を覚悟した瞬間だろう。

その瞬間、俺は目を閉じた。

人が死ぬところなんて見たくない……。


「少し休んでいたまえッ!!」


『ドスッ!』


だが、そこに響いたのは鈍い音。

先輩は刀で切らずに強烈な蹴りで吹き飛ばした!


「うわぁっ―――――!!!」


女子生徒が派手に吹き飛ばせれていく。

その身体は何度もバウンドし、ようやく停止した、


「淋那ッ!!」


違う女子生徒が吹き飛ばされた生徒の所まで走る。


「淋那ッ!今は退こう!!」


「ううぅぅ……」


あれほど強い蹴りを受けたのにすぐに立ち上がる。

やっぱり俺達とは違う。


「淋那ッ!!!」


何度も彼女の名前を呼ぶ。

視ていて、恍惚とも思った。


「わかった。今は退こう……」


淋那と呼ばれる人。

このグループのリーダーだろう。


「皆ッ!!今は退くぞッ!!」


そして、5人は退いていく。

最後に淋那が桜夜先輩を鋭い眼光で強く睨みつけた。

そn眼には復讐の色が滲み出ていた。


「…………」


桜夜先輩は刀をしまう。


この場には桜凛高校の生徒もいたようだが、先輩が戦っている間に上手く逃げたようだ。


「君達、無事かね……?」


先輩は俺達にゆっくりと駆け寄る。


「はい、お陰で無事です」


俺も美唯も無事。

幸いに俺はターゲットにされなかった。

ターゲットにされれば、ひとたまりもないだろう。


「先輩……これ返します」


俺は刀を先輩に返す。

今度は刀の刃に先輩の顔が薄っすらと浮かんだ。


「ああ、こんなのを持たせて済まなかった」


先輩が刀を受け取り、鞘に戻す。


「先輩って強いですね……」


美唯がボソリとつぶやく。

確かに強い。見ていてとても美しくとても綺麗だった。


「桜夜先輩ってSランク何ですか?」


さっきの会話からするにSランク。

最大が何ランクかわからないが、凄いと思う。


「確かに、私はSランクだ」


やはりそうか……。

あれだけ強かったからな……。

素人の俺でも凄いとわかる強さだった。


「最高のランクは何ですか?」


「Sだ」


一番上!?

いや、だが当然だろう。

さっきの戦闘を見れば、そう思ってしまう。


「一番上じゃないですか!?」


「まぁ、一番上だが……」


桜夜先輩は何か言い足そうとしていたが、そのタイミングで美唯の声が響いた。


「凄いですよッ!!」


何を付け足したのか美唯の声で聞えなかった。

まぁ、そんな運命を左右するような事でもないだろう。


「まぁ、そんなに凄いほどでもないさ……」


この人と一緒なら、本当に脱出できる……。

今、予感が確信へ変わった。



ー登場人物ー



水月 淋那(すいげつ すずな):(女)


桜凛武装高校現代剣術科2年生のCランク。

彼女が率いるチームのリーダー。

とても頭が良く、状況判断が高い。

だが、冷静さを失えば状況判断力が失われる。

彼女の武器は長刀。

         

身長:155cm

体重:43㎏

B.W.H:75.53.74

血液型:O

髪色:天色(青系)、ロング

誕生日:12月25日

年齢:16



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