あとがき+おまけ短編
まずはじめに、ここまで読んでくださった方に、心より、お礼申し上げます。
本作を見つけていただき、お時間を作ってお読みくださり、誠にありがとうございました!
また、ご感想、ご評価、ブックマーク等、反応をくださった方、本当にありがとうございました。全て、すごく執筆の励みになっておりました。
本当にありがとうございました!
ここからは少し、本作について語らせていただきます。よろしければ、お付き合いください。
本作を書き始めたのは、前作のライバル関係ものの短編を書いたあと、次は甘々な話を書きいなぁと思ったことがきっかけでした。
丁度時期もクリスマスだし、クリスマスにまつわる甘くてキュンとする話を書こうと思いました。
そして『クリスマス』を題材にするなら現実世界の恋愛で書きたいと思ったので、久しぶりに高校生の恋愛ものを書くことにしました。
『ホットチョコよりも甘い恋』を目指して書きはじめた本作なのですが、書き出し当初想定していたよりも、主人公男女どちらとも、思ってたよりもかなり恋愛面において奥手な性格になってしまい、なんだかじれったい二人だなぁと思いながら書き進めていました。
特に健斗は、予定ではもう少し春香のことをリードさせるつもりだったのですが、思ったよりもヘタr……奥手男子になってしまって、それがとても愛しかったです(笑)。
きっと、京子が居なかったら、この二人はもっと進展が遅かったんだろうなと思います…。
私は、奥手な子が好きな人の為に一生懸命になったり、好きすぎて気持ちを拗らせたりする展開がかなり好きなので、書いていてとても楽しかったです。
ですが、やはり恋愛小説は読んでくださった方の心に響いてこそだと思いますので、二人のじれったさも含めてお楽しみいただけていれば幸いです。
この作品の他にも、一途な男女の恋愛ものの長編や短編作品を何作か書いております。もし興味を持っていただけましたら、ぜひそちらもお読みください。
あとがきまで最後までお読みくださり本当にありがとうございました!次の作品でも、またお会いできれば嬉しいです。
……最後に。
第四話『クリスマスマーケットの噂』の幕間で、京子が修弥に、イブの日にダブルデートをする事を電話で伝えていた時の様子の短編を書きました。ぜひ読みいただけますと、嬉しいです。
陽ノ下 咲
以下、修弥×京子の短編です↓
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⭐︎第四話 幕間⭐︎
イブの夜の計画は(木下京子視点)
春香との電話を切って、私はスマホを握りしめたまま小さく息を吐いた。
「……よし。善は急げっていうしね」
私は即座に修弥へ電話をかけた。
二回コールで繋がった。
「もしもし修弥、今いい?」
『おう、大丈夫だ。それと、京子、模試おつかれ』
「うん、ありがと」
修弥から最初に出た言葉が気遣いだったことが嬉しくて、自然と笑みが溢れた。
「……で、早速本題なんだけど。二十四日の夜、あんた空いてる?」
『うん、空いてる』
よし、計画順調。
「じゃあ、その日は春香の恋の協力するからね」
『……は?』
予想以上に間の抜けた声が返ってきて、思わず笑いそうになった。
「あんたたちの学校近くでやるクリスマスマーケットに、春香が村上くんを誘う事になったのよ。だから、私とあんた、それと、あの二人の四人でダブルデートしたいんだけど、いいわよね?」
『ああ、そういうこと。……うん、良いんじゃねえかな。健斗いい奴だし、春香と合ってると思うぜ』
「へえ、そうなんだ。他でも無いあんたが言うなら、安心出来るわ。……上手く進展して欲しいわね」
修弥は、絶対乗ってきてくれると思った。
春香は、修弥は私と二人きり方が嬉しいんじゃないかって気にしてたけど、私ほどあからさまじゃないにしても、修弥だって春香のことをずっと気にかけてる。小学校からの付き合いは伊達じゃ無い。
いつだって自分のことは後回しで、周りの人のためにばかり動いてしまう優しいあの子。
本当は凄く魅力的なのにそれに気付いてなくて、いつもどこか自分に自信のないあの子の背中を直接押してあげられる、このチャンスを逃したくない気持ちは一緒なはずだ。
……だけど、確かに春香の応援が第一目的ではあるけれど、こんなにわくわくしてるのは、多分、それだけが原因じゃない。
「あんたとクリスマスに、イブの夜から一緒に過ごすのって、何気にこれが初めてね」
恋人関係になる前からクリスマスは三人で一緒に過ごしていたけれど、イブも当日も二日間も修弥と一緒に居るっていうは今年が初めてだったから、なんか少し気恥ずかしくて、そう言った瞬間。
『……はあ!?』
ガタタッ……ガシャーンッ!!
向こうで何かがひっくり返る音がした。
「ちょ、ちょっと、修弥、どうしたの!?」
『す、すまん、……椅子から落ちた……』
「え、なんでよ?」
馬鹿じゃないの、と呆れながら理由を聞いた。
『だって、……まさかこの流れで、京子の方から一晩一緒に過ごそうって言われるなんて、思ってなかったから』
「ーーへ、……?」
数秒、意味が理解できなかった。
そして理解した途端、思考より先に、一気に頬が熱くなった。
「なっ、何勘違いしてんのよ!ばかっ!!確かに二十五日も会うけど、一旦帰るわよ!!」
『は?……なんだ、そういうことかよ』
「そ、そうよ!!」
……ていうか、今、そうゆう話じゃなかったでしょっ!?ほんっとに、いきなり何言い出すのよ、この男はっ!
そう思っていると、突然、低くて真剣な声が落ちてきた。
『……なあ、京子』
その呼び方だけで、心臓がドキリと跳ねた。
『中学卒業して、お前と付き合えて、もうすぐ二年になるよな。……俺は、そろそろ一歩先に進みたいって思ってるんだけど、……そう思ってるのって、俺だけなのか?』
なっ……!反則でしょ、そんな言い方。
息が詰まりそうになりながら、必死に声を絞り出す。
「……そんなわけ、ないでしょ」
『じゃあ……』
「だ、だめ!!」
慌てて遮る。
『……駄目なのか?』
ちょっと拗ねたような声。
……もう。さっきから反則ばっかするの、やめてよね。
「……分かったわよ。……でも、春香がちゃんと村上くんを誘えたら、だからね!今回は春香の恋の協力が一番の目的なの!」
『……いや、これに関しては、春香は関係なくね?』
「だめったらだめなのっ!!」
『……ちっ』
「舌打ちしない!」
でもその少し拗ねた声が、なぜだか愛しかった。
私は一度深呼吸して、落ち着いて言った。
「……じゃあ、そういうことだから。二十四日、空けといてね」
『……わかった。京子、言っとくけど、やっぱ無しは、無しだからな』
だから、その言い方はずるいって。
「……わ、分かってるわよ。……先に進みたいって思ってるのは、私も同じなんだから……。それじゃあね、おやすみ!」
それ以上はもう耐えられなくて電話を切った。
ああもう……心臓、うるさい。
ぼっと火が灯ったみたいに全身が熱い。
……だけど、二十四日の夜は、いつもより素直になれたらいいな。
そんなことを思いながら、私は赤くなった頬を手で覆い、気持ちを落ち着かせるように机に向かって、期末テストの勉強を始めた。
けれど。今日はもう、ページの文字なんて、ほとんど頭に入らないかも、と諦めることにした。
スマホの向こう側で、頬を真っ赤に染めた修弥が、
(いやでも、考えてみれば春香が怖気付いて誘うの辞めたりしない限り、健斗が断るなんて事、絶対有り得ないよな……。なんだ、勝ち確じゃん)
なんて事を考えているなんて、私は知るよしもなかった。
さらに翌朝、修弥が春香に「絶対誘えよ!!!」と圧をかけまくった事を、後に春香から教えられることになるなんて、その時の私は、まったくもって想像もしていなかった。




