高さに関するひと考察
掲載日:2025/10/25
「東京スカイツリーは高い」と人は言う。
確かに、日本一の建造物であり、その高さは634メートルに達する。
それに対し、「日光東照宮は高い」と言う人はいない。
しかし標高で言えば、その関係は逆転する。
東京の標高はわずか数メートル。
地球の低い場所に背の高い建物が立っているだけだ。
スカイツリーとは、“低い場所に立つ高い塔”にすぎない。
一方、日光東照宮は山の中腹にある。
標高はおよそ650メートル。
物理的な位置としては、スカイツリーの頂点よりも少し上にある。
さらに、中禅寺湖に至っては標高1300メートル。
スカイツリー2本分の高さだ。
こうしてみると、「高い」とは案外あいまいな言葉だと思う。
建物の高さか、土地の高さか。
それをどう測るかで、世界の見え方はがらりと変わる。
人の価値観もまた、時代や視点によって容易に逆転する。
かつて“高い”とされたものが、いまや“低い”と見なされることもある。
私たちはいつも、見上げるものの高さばかりを数えている。
けれど本当は、立っている場所の“深さ”を見失っているのかもしれない。
だからこそ、
「高い」と決めつけてしまう前に、
一度足元を見てみたい。




