第1話 にゃお。(恥ずかしがりながら)
半分、猫。
にゃお。(恥ずかしがりながら)
女性の高校生二人組弾き語りバンド。
めっちゃ歌が上手いみゅうとめっちゃギター上手いすう。
二人はそれなりに路上の演奏で人気があったバンドだった。
バンド名は半分、猫。(二人とも本当に猫になりたいくらいに猫が大好きだから)
みゅうもすうも可愛かったし、それも人気があった理由なのかもしれないけど、男子だけじゃなくて、女子にもちゃんと人気はあった。
いやどちらかというと女子の人気のほうがあったと思う。
ファンも女子が多くなっていったから、勘違いじゃないと思う。(めっちゃ嬉しかった)
二人はプロになるために頑張っていたし、なれる感触のようなものも、掴んでいたし、実際に音楽の会社から声をかけてもらったこともあったけど、実際の自分たちの実力と同年代のライバルたちの音楽を聴いて、あと一歩、なにかがたりないんじゃないかと思っていた。
でも、そのなにかが全然わからなかった。
そんなわけで、路上の演奏の終わりのファミレスにて。
「私たちに足りないものってなんだと思う? すう」
真剣な顔でみゅうは言う。
「えっと、なんだろう? ……、可愛らしい笑顔、かな?」
と不器用な笑顔で笑ってすうは言った。
そんなすうを見て、はあー、とみゅうは大きなため息をついた。
「すうは美人なんだから、無理に笑わなくてもいいんだよ。笑顔は私が担当。すうは綺麗担当」
みゅうはチョコレートパフェを食べながら言った。
みゅうはとっても綺麗なのに。とすうは思う。
「やっぱりバンドメンバー。一人増やしてみる?」
みゅうはぼんやりとしながら、長いスプーンを斜めに口に咥えたままでそう言った。
「え?」
驚いて思わずすうは危なくアイスコーヒーをこぼしそうになってしまった。
バンドメンバーを増やす? そんなこと一度も考えたこともなかった。
だって半分、猫。は私とみゅうの二人のための大切なバンドだから。