プロローグ
今、俺は死に向かっている真っ最中だ。
医者に余命半年と告げられ、早1年が経つ。余命は短めに伝えるというのは本当だった様だ。しかし1年も経つと、体は随分と弱り、体に力を入れようとしても、指先すらピクリともしない。
俺の人生は、常にスーパーハードモードだった。
物心ついた時には既に両親は事故で死んでおり、引き取り手の無かった俺は孤児院に入った。孤児院でのイジメを耐え、中学校を卒業した後、孤児院を出た俺は馬車馬の若く働いた、というかそれくらいしかする事がなかったのだ。
そして目標だった1000万を貯めた同じ年、俺の体に大病が見つかった。余命は半年、治る見込みは無し。
嘘でしょって感じだ。
俺の27年の歴史が幕を閉じようとしているにも関わらず、孤児院出身である俺の病室には誰もいない。
意外と寂しいものだな。
途切れ途切れの意識の中、俺に繋がれた機械が何かを知らせたのか医者と看護師が病室に入って来たのが分かった。
医者が俺の様子を見て首を振っている。
あぁ、本当に死ぬのか。
本当に何もない人生だったな。
1000万、貯めずに使っとけば良かった。いや、この何の意味も無い目標が無ければ27歳になることなく、俺はのたれ死んでいただろう。
うーん、にしても俺だけ不幸過ぎないか?
来世は世界を救う勇者や最強の魔法使いになりたいものだ。
神様とやらが、もしいるのならば、これくらいの願い叶えてくれるだろう。
あ、あとハーレムも追加で。
そんな楽しい妄想をしながら、俺の心臓はゆっくり、ゆっくりと動きを止めた。