皆でスケッチー昼食
各々好き勝手に座って昼食を取っている。
中にはまだ夢中で描いている者たちもいる。
クラウディアは区切りがいいところでキティにそろそろ昼食だと声をかけられた。
キティはこういう時の声かけが抜群にうまい。
今日も料理長が張り切ってバスケットにいろいろと詰めてくれた。
御者の分は馬車に置いてあり、キティが予め伝えてくれているらしい。
「クラウディア、一緒にいいかしら?」
ナーシアが戻ってきた。
「ええ、もちろんよ」
「ありがとう」
ナーシアがクラウディアの隣に座った。
「お嬢様、とりあえず水分補給をなさってください」
ナーシアの侍女が素早くナーシアにコップを渡す。
「わかったわ。ありがとう」
ナーシアがコップに口をつける。
そのナーシアの顔を見たクラウディアは微笑った。
「満足そうな顔ね」
「まあね。でももっと描きたいわ」
「わかるわ。いくら描いても描き足りないわよね」
「本当にそうよ」
ナーシアはうずうずとしてまたすぐにでもスケッチしに行ってしまいそうだ。
「お嬢様、お食事を取ってからにしてくださいませ」
「わかっているわ」
侍女に渡された濡れた布で手を拭いたナーシアはクラウディアに笑いかける。
「今日も昼食を交換しましょうよ」
「ええ、もちろんよ。今日も料理長が張り切って作ってくれたのよ」
「うちもよ」
お互いに交換しながら食べていると周りに人が集まってきて気づけばそれぞれが持ち寄ったものを皆で食べるようになっていた。
「後日、今日描いた絵の鑑賞会をやりましょうよ」
不意にいいことを思いついたとばかりにナーシアが言う。
「それなら今日は描くことに集中できるわね」
他の人が描いた絵も見たいし絵も描きたいというもどかしい気持ちも解消される。
次々に自分も、私も参加したいと声が上がる。
みんな同じようなジレンマを抱えていたのだろう。
「場所はうちを提供するわ」
ナーシアが気前よく言う。
侍女が止めないところを見ると問題はないのだろう。
こういうところがナーシアの凄いところだ。
クラウディアではまずは家族の了承を得なければ、と考えてしまうところをナーシアは自分の意志でさっさと決断してしまう。
「ありがとう」
「助かる」
「楽しみだわ」
他の者たちも次々と声を上げる。
ナーシアは力強く頷いている。
「そうと決まれば今日は描きまくるぞ」
「おー」
食べ終えた者からスケッチをしに駆け出していく。
ナーシアがうずうずしているのがわかる。
「お嬢様、食べてからですよ」
「わかっているわ」
いつものやりとりなのだろう。
ナーシアの侍女は大変そうだ。
……クラウディアも人のことは言えないだろう。
「キティ、わかっているわ。ちゃんと食べてからにするわ」
言われる前に自分から告げておく。
キティは微笑んで頷いた。
……小さい子供を見守るような目であったことは流すことにする。
読んでいただき、ありがとうございました。




