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引きこもり令嬢と呼ばれていますが、自由を謳歌しています  作者: 燈華


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次のお出掛け予定

「そうだ。いい機会だから次の予定を決めてしまおう。次は公園でボートに乗るのはどうだい?」

「それは素敵ですね」


王都の端にある公園はボートに乗れる池があるのだ。

兄に何回か連れていってもらったことがある。

家族でも何回か行っていたはずだ。

兄がクラウディアやシルヴィアを乗せてボートを漕いでくれた。

たぶん父とも乗ったことがあるだろう。

うん、たぶん。


「ヴィヴィアンはどうだい?」

「構いませんわ」


ヴィヴィアンの返事に頷いてアーネストの視線がクラウディアに向く。


「じゃあ、トラヴィス殿にも都合を訊いて連絡するよ」

「何故彼も一緒なのですか!?」


クラウディアが答える前にヴィヴィアンが声を上げる。

アーネストが軽く首を傾げる。


「ん? 他に誰か誘いたい者がいるのかい?」

「そ、それはいませんが、何も彼でなくとも……」

「じゃあロバートでも誘うかい?」


アーネストの提案にクラウディアは待ったをかける。


「お兄様は今仕事が忙しいそうです」


詳しくは聞いていないがまだまだしばらくは忙しそうだ。

とてもじゃなくボート乗りなど付き合ってくれる暇はないだろう。

兄の忙しさにはクラウディアも少し関係しているので、申し訳なさがないわけでもない。


「うん? ああ、そういえばそんなことを言っていたな」


アーネストにも伝わっているようだ。

同じ王城内で働いているのだ。どこかで行き合ったのかもしれない。


「だからロバートを誘うことはできないよ、ヴィヴィアン」

「お忙しいのでしたら仕方ありません」


ヴィヴィアンはあっさりと頷く。


「他に誰か誘いたい者がいるかい?」


ヴィヴィアンはしばらく考えるように黙っていたが、少ししておずおずと口を開いた。


「三人ではいけませんの?」

「さすがに私一人では二人を乗せてボートを漕ぐのは無理がある」

「護衛に頼めばよろしいのでは?」

「それ、私が行く意味はあるのかな?」

「お兄様とクラウディアが乗ればよろしいのですわ」

「それだとヴィヴィアンが行く意味が薄れるだろう」


アーネストとヴィヴィアンが一緒に出掛けてくれるのはあくまでもクラウディアの名誉のためだ。


「そうですわね」


ヴィヴィアンも同意する。

何ならクラウディアがマルセルと乗ってもいいのだが。

ヴィヴィアンがアーネストと乗るのが嫌でなければそれでもいいような気もする。

それを提案する前にアーネストが訊く。


「トラヴィス殿では駄目なのかい?」

「い、いえ、駄目というわけではありませんが……」

「じゃあ問題ないね」

「……はい」


まあ、兄よりはコナー伯爵令息のほうがヴィヴィアンにとっては嬉しいだろう。

素直になれないだけで。


「クラウディアはいいのね?」

「私はヴィヴィアンがいいなら構わないわ」

「そ、そう」


クラウディアはヴィヴィアンが嫌な相手でなければ誰でもいい。

ヴィヴィアンが嫌な思いをしないこと、できれば楽しんでくれることが重要だ。

だからコナー伯爵令息ならむしろ賛成だ。


「ではクラウディア嬢、トラヴィス殿に都合を訊いて連絡するよ」

「はい。お待ちしています」

「うん」


ヴィヴィアンは気に入らないという顔で、だけど代替案が思い浮かばずに口をきつく閉じている。

だけど本気で嫌がってはいない。

それくらいはクラウディアにもわかる。


アーネストくらい強引に事を進めないとヴィヴィアンは好機を逃すことになってしまう。

それではお互いに後悔することになりかねない。

アーネストもそう考えてのことだろう。


侯爵夫人は「若いわねぇ」と微笑(わら)っている。

侯爵夫人もトラヴィスとのことは反対ではないらしい。

それに心の内でクラウディアはほっとした。


クラウディアはヴィヴィアンの味方だ。

それでも家族に反対されればつらいだろう。


トラヴィスは次男だが、アーネストはそちらについては大丈夫そうだと言っていた。

だとすればあとはヴィヴィアンが素直になればすべてうまくいきそうだ。


友人としてヴィヴィアンが相談してきたら全力で手を貸そうと思っている。

恋愛面ではあまり役に立てそうにはないが、それでもできることはするつもりだ。

読んでいただき、ありがとうございました。

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