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引きこもり令嬢と呼ばれていますが、自由を謳歌しています  作者: 燈華


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素直じゃない二人

ヴィヴィアン視点です。

庭園はまさに花盛りだった。

いろんな種類の、色も様々な花々が咲き乱れている。


その中を兄にエスコートされたクラウディアが楽しそうに歩いていく。

後ろから見ていてもそれがわかる。

クラウディアが楽しそうならよかった。

それより問題はーー。


さりげなく前を行く二人から距離を取り、ヴィヴィアンはしれっと隣にいるトラヴィスに噛みつく。


「それで、何故貴方がここにいるのかしら?」


改めて問う。

たとえ兄が声をかけたとはいえ、気乗りしなければ来る必要はない。


「そんなの決まっているだろう。人数合わせだ。男一人に女二人でこんなところに来たらバランスが悪いだろう。それに、見ろ、あの二人、お前のことを置き去りにしているじゃないか」


トラヴィスは不満そうに前を歩く二人を見る。


「いいのよ。いい雰囲気なんだから。二人の邪魔をしないでよね!」

「するかよ」

「ならいいわ」


確かにクラウディアと兄と三人で来ていたらこんなふうに二人から離れることはできなかった。

もちろん離れすぎるのはまずいが、視界に収まるくらいに少し離れる分には問題ないだろう。


少しは二人きりで話をさせてやりたい。

でなければ、クラウディアはいつまで経ってもアーネストをヴィヴィアンの兄であり、ロバートの友人としか見ないだろう。


兄はクラウディアに興味を持ったし、少しくらい手助けしてもいいだろう。

もちろん、クラウディアの気持ちが最優先だが。


「……ヴィヴィアンは、あの二人のことは賛成なのか?」

「反対はしないわ。わたくしは二人の幸せを願っているのよ」


二人がお互いを想い合うなら全力で応援するし、今のままがちょうどいい距離感だというのならそれでもいい。


「うまくいきそうなのか?」

「さあ? どうかしら? でもお互いを知るきっかけくらいはあってもいいと思うわ」


意外そうな顔でトラヴィスがヴィヴィアンを見た。

ヴィヴィアンは別に何がなんでも二人をくっつけようだなんて思っていない。


「そもそもお互いを知らなければ何にもならないでしょう」

「まあ、それはそうだな」


それには納得したようだ。

だがそれでも受け入れ(がた)い何かがあるようだ。

クラウディアと兄が上手くいこうがいくまいがトラヴィスには関係ないはずなのだが。


ちらりとヴィヴィアンを見たトラヴィスが意を決したような顔で口を開く。


「ヴィヴィアンが犠牲になるようなことはないのか?」


ぶっきらぼうな声。その中にヴィヴィアンを案じるような響きがあったような気がする。

ヴィヴィアンは目を(またた)く。

どことなく不機嫌そうだったのはヴィヴィアンを心配してのことだったのだろうか?


「ないわ。あれでクラウディアは優秀よ?」

「それは知っている。だが社交とか、足りないものはあるだろう? その辺りをヴィヴィアンの負担になるんじゃないのか?」

「それも心配いらないわ。クラウディアは人()じしないし独自の人脈があるもの」

「……そうか」


それっきりトラヴィスは口をつぐんでしまう。

そうするとヴィヴィアンも言葉が紡げなくなる。


しかしふと気づいた。

態度はぶっきらぼうだがトラヴィスはきちんとエスコートをしてくれている。


「その、お兄様が悪かったわね。花なんて興味ないでしょうに」


すっとトラヴィスが視線を()らす。


「……別に。暇だったし、たまには花を見るのも悪くないと思っただけだ」

「そう」


ヴィヴィアンもトラヴィスから視線を逸らして、花に向ける。

花は綺麗だがうまく集中できない。


ヴィヴィアンの頭からはすっかりクラウディアと兄のことは抜け落ちていた。

読んでいただき、ありがとうございました。

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