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引きこもり令嬢と呼ばれていますが、自由を謳歌しています  作者: 燈華


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妹と刺繍

今回、短めです。

兄が仕事でいない次の日の昼間、クラウディアの部屋でシルヴィアと刺繍の打ち合わせをしていた。


「セルジュもリスにする? それとも別の動物にする?」

「同じリスでお願いします」

「家族も含めて別の動物にもできるわよ?」

「うぅ、魅力的な提案ですけど、お父様のハンカチのリスが可愛らしかったので、今回はリスでお願いします」

「わかったわ」


それからどのような構図にしたいのかを聞き取り、図に描いていく。


「こんな感じかしら?」

「ええ! 素敵です! お姉様こちらでお願いします!」

「わかったわ」


シルヴィアのリスにセルジュのリスが花束を差し出しており、クラウディアたち家族は後ろでそれを見ている構図だ。

セルジュのリスはシルヴィアのリスに花束を差し出している構図なので兄の言う距離感も問題ないだろう。


キティに刺繍糸を出してもらい、セルジュの色をシルヴィアと二人で探す。

セルジュの髪色は珍しい金茶で、なかなか合う色が見つからない。


「ケリー、わたくしの刺繍糸も出して」

「はい」


持ってきていたシルヴィアの裁縫道具入れからケリーが刺繍糸を取り出した。

その中から二人で探す。


「確か持っていたはずですわ。セルジュの髪色に似ていると思って買った記憶がありますもの」

「それならあるはずね」


主にシルヴィアの刺繍糸の中から探していると、


「あ、ありましたわ」


シルヴィアが糸の山の中から目的の色を発見する。


「お姉様、どうでしょう? セルジュの色だと思うのですが」

「私よりシルヴィアのほうがセルジュには詳しいでしょう。そんなあなたがその色だと思うのならその色なのだと思うわ」

「ではこの色ですわ」

「ではこれで刺繍するわね」

「お願いします。ふふ、楽しみですわ」


シルヴィアの表情(かお)は本当に待ち遠しそうで気合いを入れて作らねばと思う。

それはそれとしてクラウディアは気になっていたことを訊いた。


「ところでどうして裁縫道具を持ってきたのかしら?」

「せっかくですからもう一枚ハンカチに刺繍をしようと思いましたの」

「そう」


つまり今日もクラウディアと一緒に刺繍をする気なのだろう。

嫌ではないので別に構わない。


「お姉様、お姉様のセルジュのイメージは何の動物ですか?」

「セルジュ?」


クラウディアの視線はテーブルの上に置かれたポストカードに向く。

それがシルヴィアが訊いた理由だろう。


「そうね、鷹ね。子犬っぽい感じがあるけれど、鷹だと思うわ」

「鷹、ですか?」


セルジュを見て鷹だと思う者はいないだろう。

人懐っこく、シルヴィアを見れば全力で尻尾を振っているのがわかる。


それが演技だとは言わない。

そういう一面があるのは確かだろう。

だが、それだけではないということだ。


「ええ」

「そうですか」


シルヴィアは深くは訊かなかった。

クラウディアとしても直感的にそう思っただけなので理由を聞かれても困るところだった。


「では鷹と猫を刺繍することにします」


……なかなか斬新なデザインになりそうだ。


読んでいただき、ありがとうございました。

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