~悪夢客船に潜む凶獣~
「はあっ!?!?...はぁ、はぁ、はぁ...」
仰向けになっていた体を起こす。
まただ、またこれだ。
胸は既に張り裂けているであろう「動悸」。
全身から火を吹きそうなほど火傷する「感覚」。
額から汗が滝のように出てくる「不快感」。
頭の中が後悔でグチャグチャになる「苦しみ」。
いつも右目から滴る一粒分の「哀」。
「うぁぁ...うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!」
もがき苦しんで耐えられるもんじゃない。
いつもそうだ。毎夜こうだ。
気がつくと、私は走り出していた。
キッチン...キッチンはどこだ!!?!
テーブルの上にあったはず...これだ!!
手には、カップ一杯の黒い液体。
一心不乱という言葉が正しいのだろうか。
私はそれを食いつくように飲み干した。
「...おえっ...げほっ...」
気管に入った...
それでも、「あれ」は抑えられた。
さすがの速効性だ。
「...寝たくない...」
また、あれを受けるかもしれない。
また、苦しむかもしれない。
そう考えたら、ペースで二週間寝ないくらい
どうってことない。
「足りない...足りない...」
冷蔵庫を開ける。
「ない...ないよぉ...ひいっ!!!」
弱すぎる...もう少し濃いものを...
倉庫だ...下の倉庫にあるはず...
いかなきゃ...
「クア...」
ね、ねむけがぁっ...
「い...やだ...ねたく...ありませ...よう カ...ア...」
わたしはゆかにたおれこんだ。