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RPGデバッガー  作者: 白雪ひめ
北海道編
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 それまで黙っていたキョウゴクが言った。


「話し合いを再開する」


「話し合い?」


 俺が呟くと、クロが答える。


「明日の武道会のトーナメント表についてです」

「トーナメント表?」

「ブロックを作るのは、京極家の役割なんですよ。どこに誰を置くのかって、結構重要ですから。あ、安心して下さい。イチの分はちゃんとエントリーしてあります」


 急な名前呼び。


「‥そっか」

 

 でも自分が上位にさせたい人間に弱い人間が当たるようにしたり、八百長も可能なのか。


 そこを勝ち上がるのが、ツクモやヒイラギのような実力のある人間なのだろう。


 クロは話し合いに全く参加せずに、俺に喋り続ける。


「武道会の順位はメンツみたいなものだし、領土を一つ得られるというのは、それだけ自分の主張を通しやすくなるんですよ。戦力も増えるし、他の家から移動する人間もいるかもしれない。人材っていうのは一番重要になって来ますから」


「そうなんだ」


 相槌を打つと、クロがさらさらの黒髪を耳に掛けて俺に顔を近づけて言う。


「北海道から急激に敵が強くなっています。中ボスの攻略の報告があがっているけど、エスケープの人数がいつもの倍以上、30人です。これがどういう意味か分かりますか?」

「‥‥戦力不足?」


 クロが華奢な肩を竦める。


「その程度で済めば良いですが、今攻略している家は柊家と、百井家だけ。確率的にも、敵が強くなるのに比例して、どんどん強い人間は減っていく。育成しても間に合わない。最終的に生き残るのがヒイラギとツクモだけになるかもしれませんよ。洒落じゃなく」

「そんな‥」

 

 クロは人差し指を立ててテンポ良く言う。


「なぜかというと、《柊家と百井家は全体的にデバッガーが弱い》く《青山家と龍造寺が強い》。でも悲しいことに、《青山家と京極家は攻略否定派》だし、《龍造寺はどっちでも良い》テキトー派。まるで協力してくれない。なので、ツクモは必死になっているんです。北海道を得るために」

 

 要するに、ツクモは戦力を確保したいから、北海道を欲しいのか。


「でも、北海道を取った所で、構成員は増えるのか?」

「住居地で決まるから北海道が気に入って移り住めば変わります。特にどっちでもよい龍造寺の人間は仲間になり易いし、レアなアイテムも多くドロップ出来るから、北海道に棲みたいって言ってるデバッガーは既に居ますよ。ま、攻略に参加するかは分からないけど、駒は多い方が良いです。この世界の人間は不安定です。それを導くのが大名の手腕。ツクモにはカリスマ性がある。正直ボクもいいなって思う時はありますね」


 一つ安心した事があった。


「そうか、じゃあ、君は、ただ東北地方に住んでいるだけって事か。別にアオヤマの傘下に入りたいわけじゃなくて」

「‥‥っていうか、ボクが惹かれたのはアオヤマじゃなくて、青山家です」

「青山家?」

「青山家に入るには条件があります」

「条件?」

「犯罪を犯していること」

「‥‥‥は?」


 クロは顔の前で手を振った。


「あ、でもボクは悪いことしてないです。受け子やらされただけですし、自分が犯罪の片棒担いでるなんて、思わなかったんです。バイトだと思ってたし、まぁ、そこはさておき、青山家は仲間って感じがしたんです」

「‥‥」

「組織の中に、強い繋がりがあります。京極家がそうであるように、青山家も。仲間のことを家族と言います。家族って、憧れだったんです」


 クロは少し俯いて、子供に似合わない微苦笑を浮かべた。


 俺は絶句した。


 クロの不幸に付け込んだ、悪習だ。犯罪歴を家族だなんて、頭がおかしい。

 だが、それを正面切って言えるほど、俺にはクロを傷つける勇気が出なかった。


 俺は言葉を探して反論した。


「そんなの、罪の重さによるだろ」

「うーん、まぁそう言われちゃアレなんですけどね」

「‥アオヤマはどんな罪なんだ?」


 クロの薄い唇が開いた時、横からドスの効いた声がした。


「なーんかおもしれぇ話してんじゃねーか」


 アオヤマが話し合いを放り出して俺の方へ顔を向けた。

 

 キョウゴクが低い嗄れた声で言った。


「話が進まぬ。ちょうど良い。殺さない程度に痛めつけて実験していい」

「オーケー」


 アオヤマが黄金の片手剣を回して立ち上がる。

 

 急過ぎる。

 だが、青山家と京極家では日常なのだろう。


 俺もシロをクロに預け、立ち上がって鉄の剣を構えた。


 殺されはしない。

 だから、相手の情報を引き出す。


 アオヤマは下段に剣を構えて突進して来た。左下からの切り上げを剣をぶつけ、軌道を逸らして身体を逸らして避ける。

 だが、後ろになった重心の右足を大外刈りで思い切り刈られて俺は背中から倒れた。


 paralysis


 という文字と共に、バチバチ、と漏電したようなリアルな音が耳元で鳴った。


 更に、視界の左上におるステータスの上に電撃のマークが付いている。


 speed ↓


 怯えとは違うが、身体が痺れて動かしづらい。スピードが落ちているのは継続するのか。

 剣で切られなくても、アオヤマに触れるだけで麻痺状態になる。


 あと、アオヤマは戦闘で足技を使う頻度が高いようだ。

 理由は能力の発動が、身体に接触する必要があるからか?


 アオヤマはクックック、と穴の空いた天井を仰いで言った。


「オレ、現実に帰ったらまた人殺しちゃうよ?」


 集中していて、一瞬、何の話か分からなかった。


「6人殺した。川崎連続殺害事件、知らない?」


 怒りと恐怖が全身を震わせた。


 殺せない。

 間違っても、エスケープさせられない。

 

「攻略したら、どーせ俺らなんてログアウトさせられるだろう?そうしたら大変なことになるぜ?無期懲役で30年くらい?心神耗弱こうじゃく状態を装えば減刑する。知ってるか?そういう為の医者って実在するんだぜ?」

「‥‥何を根拠に」

「でもさ、そんだけ牢獄にいたら、社会で生活できるわけが無い。だからまた犯すんだよ」


 アオヤマは怒鳴り散らした。


「《普通の人間》はバカだよなぁ。なーんにも分かってねぇから、そういう仕組み作るんだぜ?ざまぁみろだ」


 アオヤマは俺の胸に片足を乗せ、喉元に剣を突き付けて言う。


「俺たちを永遠に閉じ込めておくのが一番じゃねーの?」

「‥」


 アオヤマは首を傾げて笑んだ。


「お前はそれでも、世界を攻略したいと思うのか?」


 直ぐには答えられなかった。

 

 アオヤマがそんな俺を見て、つまらなさそうに言った。


「ハァ。何だか面倒になってきた。実験の一つとして、俺がお前を殺す」


 アオヤマが剣先を周囲に向けて宣言する。


「いいか?みんな見とけよ?」

「そんな!」


 周りも騒がず静観している。


「みんな分かってんだよ。ツクモは嘘をついている。アイツは臆病で、お前は無知だ。アイツはプラスを求めない。つまり、お前を手元に置きたがったのは、お前を誰かに利用されるのが嫌だっただけだ。理由は、ツクモの都合が悪いから。QED証明終了」


 アオヤマが稲光の剣を掲げる。

 それは膨大な光を集めて輝き、目が眩む。


 今までとは違い、即死級のダメージを予測させる。

 アサヒじゃ受け切れない。

 クロもシロを守るのを優先するだろう。


 いかずちのように降り注ぐ。


 動けない。剣が速すぎた。


 嫌だ。

 死にたくない。

 ロードする時間なんて、無いのに‥!!


 刹那、下弦の三日月が目の前を横切った。

 火花が散って、三日月が砕ける。

 黄金の剣の軌道を僅かに逸らし、コンマ数秒遅らせた。


 俺は全力で転がって避けた。

 背中が熱く焦げる。

 床に落ちている灰は、三日月の残骸だった。ただの鉄製の鎌。

 ガラスの破片が煌めき、茶色のコートが翻る。


 ヒイラギ!


 波打つ黄色の波動を響かせて、今度はヒイラギが鎌を斜めに振り上げる。

 アオヤマが電流の走っていない剣で受ける。

 ヒイラギの重量のある攻撃が、アオヤマの剣を弾いた。

 アオヤマが後ろへ飛んで、距離を取る。


 そうか!

 充電した剣の攻撃は連発出来ず、ヒイラギは適当に使わない鎌を放り投げて、自身が麻痺を喰らわないように一度目の攻撃をリセットしてから二回目に攻撃したのか。


「ヒイラギ!どうしてここに?」


 ヒイラギが淡々と答える。


「お前が市場でツクモと会う前、ツクモがお前を探して雪原のダンジョンに居たところを出食わして少し話をした。その時、ツクモが、俺に謝って来た。俺を誤解していたと」


 そうか、セーブデータ4の後、二人は戦って死ぬ事になって、その時は相性最悪だったけど、セーブデータ3にロードして、俺がヒイラギの現実や過去、ヒイラギの葛藤などを暴いて、それをツクモが聞いていたから、未来が変わったんだ。


 そして、セーブデータ4にロードする時に、ツクモはログアウトしたから、ヒイラギに対する詳しい記憶を保持したままなんだ。


「そしてツクモに、シロの事を頼まれた。自分の意思で死ぬなら良いけど、それ以外に変な奴に絡まれていたりしたら、助けて欲しいと。柊家の構成員二人に尾行を任せていた」


 つまり、元々ヒイラギはここに居たのか?クロとシバサキは守れなかったのか?


 待て、そういえばシバサキは?


 頭が追いつかない。

 シバサキは別の場所で、同時刻に死んだ?


 ヒイラギが身を躍らせ、上から鎌で切り付ける。

 アオヤマは顔を顰めて片手剣で受け止めるが、ヒイラギの鎌が重いのか、震えている。


 アオヤマはニヤリと笑って言った。


「知ってるぜ?同類だろ、お前」

「‥」

「リーウェンから聞いた。現実の情報なんて興味なかったが、案外面白いもんだな」


 ヒイラギが挑発に乗って、鎌をぶん回す。


 最早、何のための戦いかも分からなかったが、ここでヒイラギがアオヤマに負ければ、俺が死ぬのは間違いない。


 俺は心の中でヒイラギを応援した。


 ヒイラギのHPは3分の2、アオヤマのHPは半分を切った。

 戦況はヒイラギの方が有利だ。


 キョウゴクは話し合いを止め、酒を片手にそれを観戦していた。他の人間も同様だ。


 その後も二人は戦闘を続け、どんどんHPが減っていく。


 迫り来る既視感に、俺は戦慄した。

 下手に戦闘を止めようとすれば、ツクモが死んだように、ヒイラギが死ぬかもしれない。

 最初から止めれば良かった。


 だが、ヒイラギが残り四分の一のダメージで、アオヤマがaffair(怯え)状態となり、大きな隙を与えた。


 ヒイラギは鎌を振りかぶり、アオヤマに振り下ろすが、軌道が逸れて畳に突き刺さった。


 ヒイラギの葛藤が分かった。


 アオヤマが現実に戻れば、また人を殺すかもしれない。反省していない姿を見るからに、間違いなく再犯するだろう。

 川崎連続殺害事件は、女性と子供たちが犠牲になった。


 怯みのゲージは短い。


 それは瞬きをした間隙に起こっていた。


 アオヤマがヒイラギの胸を突き刺していた。


「バーーーカ。死ね」


 critical!


 あっけなく、ヒイラギのHPがゼロになる。


 信じられない。


 俺は胸を喘がせて倒れるヒイラギに近づいた。


「ヒイラギ!!」


 ヒイラギは俺を見て言った。


「‥‥俺も分からない。正義は一つだけじゃない。だが、今は分からなくても、いつか答えが出るかもしれない。そして、やらない事は簡単だ」

 

 ヒイラギは透過して数字になって消えた。


 その言葉は、俺の頭に強く残った。

 今はわからなくても。

 そうだ、未来の事なんて、分かる訳が無い。

 ここでうだうだ暮らすより、攻略する方が変化はある。


 だから今は進むしかない。挑むしか無い。全力で。

 ヒイラギとツクモは、そういう気持ちなのだろうか。


 ‥‥命は助かった。 

 でも‥ヒイラギを失ったのは大きな損失だ。


 俺は呼吸を繰り返し、胸に手を当てて心拍を落ち着けた。


 どうする?

 ロードを‥


 だが、ここで俺がロードしたら、ヒイラギが守ってくれた意味が無い。


 大きな感情と思考の波を受け止めきれずに項垂れる俺は、その不可思議な音に直ぐには気付けなかった。

 

 部屋の明かりが消えて、周りにいた構成員が戸惑いの声を上げながら、バタバタと倒れていく。


 何が、何が起きているんだ!?


「クロ‥シロ!!アサヒ!!!」

 

 返事は無い。

 急に明かりが落ちたことで、目が暗順応せず、何も見えなくなった。


 俺は自分の身を守るためにうつ伏せになって部屋の隅に移動する。


 目を凝らして闇の中を見る。


 おそらく、みんな警戒して身を隠している。

 静寂が漂う。


 真っ暗な部屋の中央に、誰かが居る。


 真っ赤な唇が、一瞬で目の前に近づく。


 あ、死ぬ。


「逃げて!」


 俺は突き飛ばされて床の間の壁にぶつかった。


 アサヒのHPが目の前でゼロになった。

 アサヒの身体が透ける。

 振り返ってアサヒは言った。


「信じてるよ」


 アサヒは01010101と数字になり、弾けるようにして消えた。


 俺は頭を抱えて蹲った。

 最悪だ。

 最悪だ。

 最悪だ。

 死んで無いと分かっているのに、この瞬間は、精神が崩壊しそうになる。


 そうだ、俺は死ぬ。死ぬかもしれない。

 諦めるな。

 やれる事をやるんだ。

 次に活かす為に。


 俺はメニューを開いて時刻を確認した。


 【16:44】

 

 バチバチ、と稲妻の音に気づいて俺は顔を上げた。


 アオヤマが雷の剣を掲げている。


「コイツは俺が殺すんだ!勝手に殺されると困るんだよ!!bunnyの姐ちゃんよぉおお!!」


 アオヤマが興奮してリーウェンに襲い掛かる。

 リーウェンは腕を一振りした。

 ヒュッ、という音が短く響いて、その後、アオヤマの身体に文字が表れた。


 weaken!


 HP↓↓↓↓↓

 attack↓↓↓↓↓

 defence↓↓↓↓↓

 speed↓↓↓↓↓

 hit rait↓↓↓↓↓

  

 一撃で全能力ダウンの超デバフが掛けられる。

 だが、リーウェンに麻痺の表示は出ている。

 スピードが低下した所を、アオヤマはしっかりと突き攻撃で追撃する。

 リーウェンは凄まじい威力で何重にも壁にぶつかり、吹き飛ぶ。

 だが、直ぐに歩きながら戻って来た。


 HPが全く減っていない。

 攻撃が効いてない。

 

 アオヤマが幾ら切り付けても、リーウェンのHPは一向に減らなかった。


 リーウェンが何かを振るう。

 波打った何かはアオヤマに向かって伸びる。

 アオヤマは走って距離を取るが、黒い影はしぶとくアオヤマを追い続ける。

 ふいに飛んできた複数の矢によって軌道を変えられ、壁にぶつかって床に垂れ下がった。


 キョウゴクが斜め前方で弓を構えていた。

 キョウゴクは、新たな矢をつがえながら呟く。


「‥妙な能力だな。武器は鞭。これも選択項目に存在しなかった」


 アオヤマが言う。


「多分1しか食らってないぜ?触れただけでヤられた。クロの上位互換だな」


「ふむ。プログラマーなら自身の能力さえチートも可能という事か」


 アオヤマが舌打ちをして怒鳴った。


「俺は平等が嫌いだが、不平等ってのはもっと嫌いでなぁぁああ!!」


 アオヤマが正面切ってリーウェンに斬り込む。

 空気をヒュッヒュッと切る音がして、呆気なくアオヤマのHPのゲージが消失した。


「えっ」


 アオヤマの状況を理解していない声がして、アオヤマは暗闇の中で数字の塊となって消えた。


 俺も、ただ呆然とするしか無かった。


 キョウゴクは筒の中の矢を全て出し、弓につがえた。


「我々の世界は渡さぬ」


 リーウェンは微笑み、腕を振る。


 鞭が触手のように伸びる。


 キョウゴクの矢が次々に放たれるが、弾くように鞭は蠢きながら進む。


 鞭は、キョウゴクの首に巻きつき、枝分かれしてキョウゴクの胸を貫いた。


 weaken!


 double critical!


 一瞬でキョウゴクのHPはゼロになる。


 こんなチートみたいな能力に対して、どう戦えば良いのか分からない。

 アオヤマもキョウゴクも死ぬような相手と戦えるはずがない。


 リーウェンがゆっくりと俺に向かって歩いて来る。

 俺の頬に手を当て、赤いネイルの指で俺の唇をなぞって囁く。


「可哀想に。最期にたくさん嫌なもの見ちゃったわね。大人しく牢屋の中で待っていれば良かったのに」


 今の言葉から、確信出来る事がある。


 リーウェンはロードした事を覚えていない。

 研究員のシバサキが教えてくれた通り、リーウェンはユメの能力にしかロードの能力が無いと思っている。


 それは正しかった。

 つまり、シバサキが研究員であることは信じて良い。シバサキを頼れば、リーウェンに対抗する術もメタ的な方法で見つけ出す事が出来るかもしれない。


「可哀想に。震えて言葉も出てこない?」


 リーウェンが俺の肩を抱く。

 甘い薔薇のようなフレグランスが鼻をついた。


「このフレグランス、あなたは何の匂いがすると思う?」

「は?薔薇だろ」

「この世界の匂いや質感とかはイメージで仕上がっているのよ。この世界自体に再現をしている訳じゃなく、五感を刺激される時、イメージの神経と繋げているの。だから同じ質問を他の人にしたら、違う匂いを言うでしょうね」


 リーウェンのイメージから得た香りという事か。


「この世界の仕組みはそうなっているけど、現実だって同じことが言えると思わない?みんな違う世界で生きている。青空を見たって見えるのは私の青空だわ」

「お前が何を言いたいのか、俺には分からない」

「この世界は現実とよく似ている。あなたは、私に協力しようという気は無い?」

「は?ある訳ないだろ」

「なら、ここで死ぬ?ユメはいない。能力も発動できない。この状況で」


 能力がまだ使える事を悟らせては絶対にいけない。


 俺は喚きながらリーウェンの腕を退かし、アオヤマのように剣を振り回して叫んだ。


「死んだ方が‥‥マジだ!!!みんなを、返せぇぇえええ!!」


 俺はリーウェンに切り掛かる。

 リーウェンが鞭で軽く俺を打つ。

 

 weaken!


 ヒイラギ、アサヒ、クロ、シロ、みんな‥アオヤマもキョウゴクも、お前たちの死は、絶対に無駄にしないから。


 もう一度鞭で打たれ、俺のHPはゼロになっていた。

 

 月明かりの差し込む縁側を見ていた。

 だが、すぐに暗転する。


 身体の感覚が無い。痛みも無い。

 世界は停止する。


 もう一人のユメが告げる。

 

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