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RPGデバッガー  作者: 白雪ひめ
北海道編
38/65

大名と家臣団(かしんだん)

 俺は切り出した。


おきなの面を被っていたのは、お前じゃないよな?」


 アサヒは怪訝な顔をした。


「何の話よ」

「猛毒になったのは、そいつのせいだったんだ。急に襲われてさ。パニックでちゃんと見てなかったけど、槍に毒が塗られていたんだと思う」

「それであたしを疑っているの?」

「‥‥疑わざる負えないだろ。6個武器あるうちの一つが同じで、しかも同じ毒を使う戦法をしてる」


 アサヒは薬の瓶を3つ取り出し、俺に見せて言った。


「これはSHOPでも回復薬と一緒に売られているものよ。武器に塗って使う毒。3種類、poison ・paralyze ・sleepがあるわ。毒を武器に塗るのは結構定番よ。特に槍っていう武器は投擲も突きも薙ぎも出来るから、相性が良くて用いる人は多い。しかも猛毒は売ってない」

「えっ」

「猛毒状態にしてくるバグは滅多に居ないし、赤バグ以上だけで、更にデバッガーで使える者は居ない。おそらくマニュアルの能力よ」

「そうなんだ」

「‥ま、あなたには助けられたし、可哀想だし、護衛してあげても良いけどね」

「護衛?」

「たぶん相手は家臣団かしんだん‥、その内の一人、殺し屋みたいなもんだから」


 殺し屋!?


 俺は少し考えて問う。


「家臣団って、あの、大名に仕える家臣の集団じゃないよな」


 かしんだん、と聞いたら、戦国時代しか出てこないが‥まさかそんな事‥


「その通り。あのね、この世界はとても広いのよ。詳しく説明するから、よく聞いて」

「嘘だろ」


 アサヒは言う。


「この世界って、日本列島を攻略しているでしょう?攻略した地域ごとに、それぞれ大名みたいなデバッガーが居て、取り仕切ってるのよ」


 戦国時代かよ。


「‥‥冗談?」

「な訳ないじゃない。もともとこの世界は、ドロップアウトした人間の集まりで治安は最悪。バグは消失しても、一定間隔で現れたりするから、キューブの争奪戦になって死者が出る。そういう問題もあって、区域を定めてるのよ」

「‥そうなんだ」


 たしかに、ヒイラギの周りには側近らしい側近が居た。本当に家臣だったとは。


 アサヒが人差し指を立てて言う。


「例えば、《中部地方》の大名はツクモなのよ」

「え!!」

「百に井戸の井と書いて、百井ももい家と呼ぶのよ」

 

 歴史物は好きなのでちょっと興奮してしまう。格好良い。


「《関東地方》はヒイラギが大名で柊家。《近畿地方》が京極きょうごく家。《東北地方》は青山家。《中国地方》と《九州地方》は龍造寺りゅうぞうじ家が統治しているわ」

「他の地方は?」

「まだ攻略がされていない所ね」


 つまり、【残るは北海道と、四国】だけなんだ。

 ツクモが生きている内に、何とかなる気がする。


「初心者には、一週間経ったら説明する決まりがあるの。あなたもどこかに所属しなきゃいけない」

「強制なの?」

「ええ。戸籍みたいなものよ。年貢も納めないといけないし」


 予想の遥か斜め上をいく展開に、俺は唖然とした。

 

「‥‥何割?」

「一割」

「‥何に使うの?」

「富の分配。家を買えれば良いけど、無理な人に借家の生活保護と、攻略のために、中級レベルの人に装備などを支援する。結局キューブがあれば薬剤もすぐ買えるし、装備も整えやすいからね」

「なるほど‥」

「で、話を戻すけど、家臣団は組織の中でも大名に近い側近ね」

「ああ」

「大名の命令に従ってあなたを殺そうとしている可能性が高い。また追ってくるはずよ」

「‥‥」

「《近畿地方》の京極家の家臣団は、皆んなお面を被っているのが特徴なの」

「なるほど。でも、俺恨みを買った覚えが無いよ」

「何か理由があるんでしょうね」


 また襲われたら今度こそ死ぬかもしれない。猛毒の対処法も無い。


「どうしよう‥」


 俺はアサヒを見る。

 頭を下げて言った。


「守って下さいお願いします」


 ぽんと頭に手を置かれる。


「いいでしょう。北海道の街までだけどね」

「本当か!?ありがとう‥」


 良かった。部屋の中にさえ入ってしまえば、ツクモのメタアイテムで相手を侵入不可に出来る。


 ツクモはまだログインして来ない。

 ツクモ‥‥現実で何してるんだろう。


 アサヒが俺の頭を撫でて言う。


「そんな泣きそうな顔しないでよ。ツクモ程強くは無いけど、あたしが守ってあげるから」


 肩をポンと叩かれる。


「じゃあ、さっさと帰るわよ」


 アサヒが駆け出す。

 俺も後を追ったが、追いつけない。


「待って、速い」

「‥あたしにも用事があるんだからね。頑張って付いて来なさいよ」

「了解しました」


 守って貰えるだけ有難い。

 俺は何も起きないように願いながら道を引き返した。


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