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ここで私は生きて行く  作者: 白野
第二章
32/189

第15話 サンザランドとの戦い

「絶対嫌だ」

「他に方法がないだろう?」

「それでも絶対に嫌だ」


 宿に戻り、夕食の後に、ナハトは全てヴァロに話した。この町で優等種に襲われた事、その際につけられた傷が理由で、ヴァロに助けられた事。その優等種が、先ほど見ていた奴だったことなどを話し、万が一ナハトが劣等種だとバレたときは変に庇い立てせずに知らなかったで貫き通せ言ったところ、ヴァロから猛烈な抵抗を受けた。


「俺はナハトを守るために冒険者になったんだ。庇うななんて、約束できないし嫌だ」

「頼む、ヴァロくん。それが一番いいんだ」

「そんな事ない。バレたら2人で逃げればいいでしょ?」

「大勢に追われていてかい?そんな事、出来るわけないだろう」

「なら、ナハトが一人で逃げるのだって無理だよ!」


 そう言ってヴァロは立ち上がった。ナハトの前まで来て、考え直せと強い瞳で見つめてくる。そんなヴァロを不思議そうな顔で見上げるドラコの耳をふさいだまま、ナハトは話を続ける。


「一人の方が都合がいいんだ。一人なら、いくらでも無茶が出来る」

「魔力切れでも魔力過多でも熱を出すナハトが?俺よりも軽い傷で寝込むナハトの無茶なんて、大したこと出来るわけないよ」

「言うじゃないか…。それでも、君には知らないふりをしてほしい」

「なんで?」

「君が無事なら、少なくともドラコを預けられる」


 ドラコを預けられたら、ヴァロはドラコを守ってくれるだろう。もしナハトと一緒にいた事によるお咎めがあったとしても、優等種で、尚且つ知らなかったとなれば大した罰にはならないはずだ。


「全力で逃げるなら、私はドラコを庇うことが出来ないと思う。どうしても動きも制限される。だけど、ヴァロくんがドラコを守ってくれれば、私の事を知らないで通してくれるなら、君とドラコは無事に済むだろう?そうしたら、私はもう何も気にせずにただ逃げることが出来る。ヴァロくんやドラコがいたら、そちらがどうしても気になってしまう」

「…何で足手まといが前提なの?俺、強くなったよ?」

「それでも、数は力だ。君がどれほど強くなったとしても、大勢に囲まれれば、抵抗などたかが知れてる。第一、そんな状態で相手を気遣うことなどできないだろう」


 ナハトがやりたいことに、ヴァロもドラコも付き合ってくれている。出会い頭にいきなり斬りかかって来た事からしても、この町での劣等種の扱いは酷いものだろう。それにかかわった優等種だって、碌な目には合わないはずだ。ただの付き合いに、大切な友人たちを巻き込みたくない。


「これは万が一の話だよ、ヴァロくん。万が一の時は、私が劣等種だった事は、知らぬ存ぜぬを貫いてほしい。簡単に捕まるつもりはないし、それこそ死ぬつもりもないけれど、一人の方がいいんだ。その時が来たら、協力してくれないか?」

「…わかった」


 絞り出すように、ヴァロはそう言った。


「ありがとう」

「でも、バレたらだからね。バレない内は、俺はナハトを守るから」


 そう言って、ヴァロはベッドにもぐりこんでしまった。こんもりと盛り上がった背中に、小さく声をかける。


「それでいいよ」

「ギュー?」

「何でもないよ、ドラコ。喧嘩じゃない」


 気遣うように頭を寄せてきたドラコを撫でて、ナハトもベッドへ入った。




 あれから2週間。日に日に町の空気が悪くなっていっていくのを、ナハトたちは感じていた。下位の冒険者は何組も町を出て行き、ナハトたち黄等級の冒険者にも、衛士がちょっかいをかけてくることが増えた。それに加えて、町中やギルドで誰かに見られているような視線を感じることがあり、ここ数日は魔獣の森の方が、よほど気が抜ける場所になってしまっていた。

 更に困ったのが、ナハトたちをつけてくるギルドの職員らしき者がいる事だった。町ではそこら中に感じる人の気配も、一歩町を出れば途端に希薄になる。だというのに、森に入ってまで追ってくる気配は目立ち、何をするでもなくついて周られ、目障りと言っていいほどだ。声をかけて見ようかとも思うが、こちらから近づくと離れて行くことからして、気配とは違う何かしらの方法でナハトたちを感知しているようだった。面倒になった今では、森に入ったら速度を上げて巻く事にしている。


「なんなんだろうね、あれ」

「さて…」


 何なのかはナハトにもわからないが、恐らくだが、あれは自分を監視しているとナハトは思っていた。つけてきているギルド職員は一人だが、その視線をほぼずっと感じているからだ。


(「…魔術師を監視してるのか?」)


 カントゥラの町へ来たばかりの頃、ギルドで無理やりギルド付きの魔術師にされそうになったことを思い出す。あの時イーリーはギルド長の方針だと言っていた。イーリーがいない今、またナハトをギルド付きの魔術師にでもしようとしているのだろうか。植物の魔力が必要な依頼は積極的に受けているが、それでもまだ依頼が多くあることは理解している。とはいえ、今さら冒険者として力をつけたナハトを、無理やりギルドに縛り付ける理由はないはずだ。


「こっちで合ってる?」


 聞かれて、慌てて地図に視線を落とす。目的地は川の上流。道を地図と照らし合わせて、頷く。


「ああ。この先の川をのぼって行った先の…」


 そこまで言ったところで、ドラコがピクリと反応した。それに気づいた次の瞬間、突然魔力の気配が波のように押し寄せて来た。ざわりと森が揺れ、鳥がバサバサと飛び立っていく。一気に膨大な魔力を流した時に感じられるそれに、慌てて周囲の気配を探る。


「ヴァロくん待ってくれ。魔力だ!」

「えっ、これが!?」


 これがどれを指すのか分からないが、ヴァロも何かを感じたらしい。それを視界に入れつつも大きな魔力の流れを探すと、かなり離れたところではあるが、不可思議な魔力を感知した。魔獣らしき大きい気配とそれに似た小さい気配が複数、それと、魔術師と冒険者らしき複数の気配。魔術師は疲弊しているのか、感じられる魔力が小さいのに対して、魔獣の気配はまだまだ余力がありそうだ。このままではやられるのも時間の問題だろう


「マズイな…。ヴァロくん、いけるか?」

「大丈夫!どっち?」

「あちらへ3キロほど!」

「分かった!掴まって!」


 すぐさまヴァロがナハトを抱え上げる。ナハトがドラコを抑えてしっかり肩を掴むと、ヴァロが一度沈んでから走り出した。相変わらずすごい速さだと、のけぞりそうになる体を堪えて前方へ体重をかける。

 すると前から猪のような獣、ボーが向かってくるのが見えた。こんなところで足止めは出来ない。魔術で拘束すると口を開こうとした瞬間、ヴァロが叫ぶ。


「口閉じて!」

「えっ…っ!」


 突如ずしっと全身に荷重がかかり、次の瞬間にはふわりと感じた浮遊感。ヴァロがジャンプしてボーをやり過ごしたと分かった時には、視界がぐんと高くなっていて空が近い。


「うっわああっ…!!!」

「ギューッ!!!」

「ナハトっ!?」


 ドラコが縋るように首に巻きつくが、ナハトも突如訪れた不安定な体制にバランスを崩した。それが伝わったのか、空中でヴァロの手が伸びてくる。それに慌てて掴まると、しっかりと掴み返されて安定する。そしてすぐに先程とは比べ物にならない浮遊感。ぐっと全身に力を込めドラコを抱えると、ドン!と着地の衝撃が突き抜けた。ヴァロはそのまま速度を落とさず走り出したため、また加重の方向が変わり、一瞬視界が明滅する。

 それでも魔力の感知は切らなかったため、周囲の変化にはすぐ気が付いた。「止まれ!」とナハトが叫ぶと、ヴァロは素直にその場に停止する。がくんと頭が揺れて吐き気が襲ってきた。


「ぐっ…」

「だ、大丈夫?」


 口を押えたナハトを気遣ってヴァロが問いかけて来るが、それどころではない。必死に吐き気を飲み込んで、腰の鞄から布を3枚取り出した。


「だ、大丈夫だ…。それより、すぐこれを口に巻くんだ。魔力を帯びた花粉が飛んでいる」


 返事の代わりに頷いて、ヴァロはすぐに口に布を巻いた。ナハトも布を巻き、ドラコにも巻いて、鞄の中身を確認する。

 オイルが入ったボトルが2本と炎の魔石が1個、同じものをヴァロも持っているから何とか戦えなくはないかと思うが、感じる敵の数が多く少々心もとない。


「この麻痺効果のある花粉からして、敵はサンザランドだろう。まずは様子を見て…」


 そう言った瞬間、悲鳴が上がった。話している暇はなさそうだと、頷きあって走り出す。跳び出した先で見たのは、予想した通りサンザランドだった。大きく咲いた花を振り乱し、その周りに複数の分身体、それから何かを守るようにして戦う冒険者たち。かろうじて全員口布はつけているが、逃げるでも倒すでもないその戸惑った様子に不安を覚える。


「ヴァロくん、時間を稼いでくれ!花粉は絶対に吸うな!」

「わかった!」


 すぐさまヴァロは敵の方へ走り出し、ナハトは冒険者たちの方へ向かった。ダガーで分身体を蹴散らしながら近づくと、魔力切れを起こしている魔術師が1人、それを介抱している冒険者が1人と、彼らを守る冒険者が3人いた。冒険者は全員緑で、魔術師に至っては紫だ。


(「馬鹿な!こんな人選でサンザランドに挑むなんて…!」)


 どう考えたってこんな人選で倒せる相手ではない。魔力切れを起こした魔術師は苦しそうに浅い呼吸を繰り返している。よほど無理をさせられたのだろう、顔色が恐ろしく悪い。等級の低い魔術師にこんな無体を強いるなど許せないと、ナハトはこみ上げた怒りを奥歯で噛み締めた。

 すると、こちらに気づいた冒険者たちが、口々に助けを求めてきた。


「黄等級!?」

「応援だ!助かった!」

「助けてくれ!!」

「黙りなさい!あなた達はそのまま敵を寄せ付けるな!」

「あっ、おい!!」


 ナハトに気づいた冒険者が分身体を相手にしながら叫ぶが、それを無視して倒れている魔術師の様子を確認した。魔力切れは起こしているが、これ以上魔力を使用しなければ命に係わる事はなさそうだ。


「あ、あの…私…」


 介抱していた冒険者は、よく見るとバッジの石が紫だった。介抱している様子からして、魔力切れを起こしている魔術師の仲間のようだ。紫等級の身でこんなところに連れてこられるとは、怖かったに違いない。


「彼女の持ち物に、魔力の回復薬はありますか?あるなら飲ませてください」

「は、はい…!」

「それと、答えてください。あなた方は何人パーティですか?」

「な、7人…です」

「なんですって…」


 ナハトは慌てて見回した。ここには5人しかいない。あとの2人はどうしたというのだろうか。


「ナハト!一人取り込まれてる!」


 ヴァロの声に振り向けば、サンザランドの根の下に、一人の女性がいた。体の半分が魔獣に埋まっていて意識がない。あのままではいずれ死んでしまう。感じる死の予感にざわりと肌が泡立つ。


「何をしてるんだあなた達は!もう一人はどうした!?」

「し、知らない!引き付けるって言って…いなくなっちまったんだよ!逃げたんだ!」

「くそっ!」


 思わず汚い言葉を吐いて、ナハトは左手の手袋を外した。指先を切り裂いて地面に手をついて魔力を流すと、ドンと地面が揺れて、魔術師と介抱している冒険者を取り囲むように半円状の根を張った。突然現れたそれに、戦っていた冒険者たちが悲鳴を上げる。


「落ち着きなさい!あなた方は散って分身体を減らしなさい!」

「そんな!逃げないのかよ!?」

「やりなさい!」

「は、はい!」


 睨みつけると、蜘蛛の子を散らしたように冒険者たちは走って行った。緑の冒険者なら、分身体くらいなら大丈夫だろう。振り向くと、不安そうな瞳と目が合った。


「あなた達はここにいて下さい。絶対にここから出ないように。それと、万が一分身体に見つかったら、無理をせずにすぐ声を上げてください」

「は、はい…!」


 返事を確認してナハトも飛び出した。もう1人がいるはずだが、とりあえずそれは後回しだ。見える範囲にはいないし、念のために丁寧に探ってみたが気配もない。サンザランドと分身体がいるうえに花粉は魔力を帯びている為、魔力や気配で探ることはほぼ不可能に近いが、それでも何も感じないのはもしかしたら本当に逃げたのかもしれない。


「くっ…」


 ぶわりと飛んできた花粉を、腕で壁を作って避けた。ものすごい量の花粉で視界が薄黄色い。

 ヴァロを見ると、視界が悪い中襲ってくる茎や根、多くの分身体のせいでうまく本体に近づけないようだ。緑の冒険者たちも、徐々に数に押されだしている。ナハトは周囲の地形を見渡すと、掌を切り裂いて叫んだ。


「ヴァロくん!今から私が魔術で拘束するから、その隙に彼女を頼む!」

「わかった!」

「行くぞ!」


 そう声をかけると、ドラコも心得たとばかりに掴まった。それを確認して走り、サンザランドの後方へ回り込むと、地面に魔力を叩きつけた。

 ドンと揺れて、ナハトを取り囲むように蔦の壁が現れ、同時にサンザランドに大量の蔦が巻き付いた。走りながら垂らした血から伸びたそれが、四方から巻き付き、一次的に魔獣の動きが止まる。


「今だ!」


 すぐさまヴァロは根元へ走った。本体の動きは止まっても根は動く。それを叩き折りながら到達すると、ウェーブのかかった明るい色の茶髪の女性が、ぬめりのある蔦に絡まれて半分取り込まれていた。掴んで引きちぎろうとするが、滑って根がうまくつかめない。

 ならば燃やしたらどうかとオイルを取り出すと、上からナハトの怒号が降ってきた。


「火をつけるな!爆発するぞ!」

「ええっ!?」


 意味は分からないが、ナハトが言うならそうなのだろうと納得してオイルをしまう。根と女性の間に無理やり指を差し入れて、握力と腕の力に任せて引きちぎった。何度も滑りながら半分の根を引きちぎると、女性を抱えて上から引っ張り出す。ずるりと抜ける感触があって、何とか助け出すことが出来たようだ。


「ヴァロくん…!まだか!?」


 苦しそうなナハトの声が聞こえて、ヴァロは女性を抱えるとナハトの元まで戻った。蔦の壁にもたれるように女性を下ろすと、壁に纏わりついていた分身体を殴り飛ばす。

 その間に、ナハトは買っておいた魔力を回復させる薬を飲んだ。初めて飲むそれはとろみがあって飲みにくかったが、存外味は悪くなかった。飲んだ瞬間から魔力がぐんぐん回復してくるのを感じ、魔力が枯渇しかけていたことによって起きていた眩暈も回復した。


「次はどうするの?」

「分身体と戦っている彼らと協力して、サンザランドにオイルを撒いてくれ。撒き終わったら、これと同じ壁を作っておくからその後ろへ退避。私が火をつけたら爆発が起きるから、絶対に顔を出すな」

「ばくは…!?」


 驚いて戸惑ったが、ヴァロはすぐ頭を振って切り替えた。頷いて問いかける。


「それだけやって、ナハトの魔力は大丈夫なの?」

「大丈夫だ。まだ薬もある」


 本当のところは結構きつい。魔力は回復しても、大量の魔力を使った際の疲労は回復しない。更にまた大量に魔力を使わなくてはいけない。正直言えば退避という形で切り上げてしまいたいが、これだけの魔獣を放置していくことは許されないだろう。少々無理してでも倒さなければ、もっと強力な魔獣に成長してしまうかもしれないからだ。幸い魔力を回復する薬はもう一本ある。何とかなるだろう。

 顔を上げると、心配そうな金色の瞳と目が合って、思わず笑う。


「そんなに心配しなくても大丈夫だよ。無理はしていない」

「…わかった。ナハトも気を付けてね」


 頷くと、ヴァロはまた飛び出していった。

 サンザランドが抵抗しているのが魔力の消費でわかる。蔦を解こうと暴れるせいで、どんどん花粉がまかれて視界が黄色くなっていく。


(「口布をしているとはいえ、このままでは目から取り込んだ花粉で麻痺がおこる」)


 時間との勝負だが、果たして間に合うだろうか。魔獣を拘束するために魔力を流し続ける左手をそのままに、右手を傷つけ地面に着けた。難しいが魔力を調節して、右手で遠隔で蔦の壁を作ると、しばらくしてそれに触れる4人分の気配を感じた。念のため大声で「伏せろ!」と叫ぶと、ナハトは持っていた火の魔石に血をつけて放り投げた。その血めがけて魔力を流すと、一瞬光って、大爆発が起こった。

 耳鳴りがするほどの大爆発。視界を一瞬埋め尽くした白い光と轟音が消えると、そこには黒焦げになりながらも動くサンザランドが残っていた。爆発のせいで辺り一帯が吹き飛んでいたが、それでも残るとはさすが魔獣というべきだろうか。


「ダメか…!」


 この爆発で吹き飛んでくれればよかったが、仕方がない。ナハトは残っていた魔力回復薬を飲み干すと、蔦の影から飛び出した。逃げるように動くその根に手を当て、ありったけの魔力を注ぎ込んだ。

 ドゴン!と魔力で地面が揺れて、ジリジリと燃え広がるように魔獣の体にヒビが入ると、今度こそサンザランドは魔石を残して消えた。ころりと転がったそれは、透明な赤。やはりなと思うと、どっと疲れが押し寄せてきた。


「ナハト!!!」


 膝をついたナハトに、ヴァロが駆け寄ってくる。爆発でやられたのか、真っ白い髪が少しだけ焦げていたが、後は無事そうだ。他の3人の冒険者も無事そうな姿を見て、ほっと息を吐く。

 手を借りて立ち上がると、くらりと視界が揺れた。魔力は枯渇していないが、それでも疲労で体が悲鳴を上げているようだった。労うように擦り寄ってくるドラコに礼を言いながら、ナハトは指を差す。


「ヴァロくん、そこに…」

「えっ?」

「そこに、もう一人いる。多分…アンバスさん」

「ええっ!?」


 爆発の一瞬、強い光の中で僅かに見えた色があった。緑の中に見えたそれは、見覚えのあるものだった。距離があったために全力で魔力を流して蔦を伸ばすことになったのだが、何とか間に合ったようだ。べりべりとはがされた蔦の下には、思った通りアンバスがうつ伏せで倒れていた。


「何でこんな所に?」

「あっ、その人です!もう一人のメンバー!」


 そう言ったのは、魔術師を介抱していた冒険者だった。舌打ちがしたのでそちらを向くと、緑等級の3人が、気まずそうに顔を背けている。ナハトと視線が合うと、いかにも良くない事をしましたと体現するかのように身をひるがえして逃げ出した。


「これは…話を聞く必要がありそうですね」


 そう呟くと、ヴァロは心得たとばかりに逃げた3人を捕獲に向かった。





ほんとこれも今さらですが…一話が長いですよね

2部が終わったらもう少し読みやすくなるように考えます…

皆さん話切るの上手いなぁ…勉強しよう


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