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聖女×ロボット×ファンタジー! 死にたくなければモノ作れ、ものづくり魔法が世界をすくう!  作者: 卯月
第六章 聖女大戦

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生命の支配者

「まったく人がどれだけ苦労して六肢ろくしをあつかえるようになったと思っているんだ!」


 文句を言いながら白黒の天使軍団と空の格闘戦を演じているのは遊撃隊隊長、ランベルト・ベルモンド。

 最近は敵も味方も人型飛行兵器を使うものが増えてしまって、すっかり神鳥カラドリウス有難味ありがたみが薄れてしまった。



 彼は新しく作り直した新型機兵《神鳥カラドリウスⅡ》に乗って戦っている。

 ブラックドラゴン戦でうけたダメージを参考にし、人間の死角である背面を人工知能によってカバーさせる設計になっている。 

 具体的には、背面に設置されたカメラが敵の接近を感知し、ロボットアームが自動で小型障壁(バリア)を張ったり魔弾マジックミサイルを撃ったりして迎撃してくれるというシステムだ。

 高機動軽量型機兵という基本コンセプトを壊さないために、ちょっとした小型兵器をくっつけることしかできなかったが、死角に敵を近づけさせないという役割は十分にはたしていた。


『隊長殿、貴方の戦闘データも我々の基礎データの一部になっているのです。

 貴方の存在は大変に貴重きちょうなものです』

「ああそうかい!」


 ランベルトは寄り添うように自機の周辺を飛ぶ《銀の鷹(アルジェント)》に言い返した。

 この《銀の鷹(アルジェント)》はランベルトのものである。

 せっかくの守護機兵を持っているだけなのはもったいないということで、ハネエッガイを乗せて無人で戦えるようにしたのだった。

 

神鳥カラドリウスⅡ》がメインとして突撃し、横からすきをつこうという敵は《銀の鷹(アルジェント)》が妨害する。

 二体一対の戦法で、ランベルトは安定した戦闘を継続していた。


「戦況はどうか!?」


 ランベルトは毅然きぜんとした態度で部下に報告を命じる。


『はっ、各騎士団は勇戦し敵と交戦中!

 援護の要請はありません!』

「よし!」


 おおよそ戦況は五分五分、部分的には優勢ですらある。

 恐るべき敵が相手でも自分たちはちゃんと戦えていた。


 あとは大本おおもとの巨大天使をたたくことができれば……。


 それを考えて、ランベルトは勇輝のクリムゾンセラフを戦場に探した。

 意外にも出しゃばりの目立ちたがりである義妹は遠く後方でうでを組んだまま、巨大天使の動向をじっくり観察していた。


「ユウキ?」


 珍しいこともあるものだ。

 まあトップに立つ者が危険な最前線であばれるのは本来よろしくない。

 戦場全体を広く観察できるあの後方こそが、本来いるべき場所だ。

 しかしやはり彼女らしくない。


「もしかして攻めあぐねているのか……」


 敵は異常な再生能力をもつ、超巨体の化け物。

 たしかに普通の方法で倒せる敵ではない。

 ランベルト自身、どうやれば勝てるのか見当もつかなかった。


『隊長殿、もしやお疲れですか』

「ん? いやそうではない」


 ハネエッガイに気づかわれて、ランベルトは気を取りなおした。


「聖女が心おきなく戦えるよう支援するのが我らの役目だ!

 露払つゆはらいは念入りにやるぞ!」

『応っ!!』


 空の戦士たちは戦意高くときの声をあげた。

  


 

  






『ギィガァァ・サンダァァァ・スパアァァァァクッ!!』


 第二騎士団が所有する巨大機兵《フーフー》が全身から稲妻いなづまを放ち、白黒の天使たちを次々と黒コゲにしていく。


『フシュー』

「よっしゃああー!」


 むらがってくる敵を一網打尽いちもうだじんにし、ベラン隊のメンバーたちは大はしゃぎだ。


「いけるいける!

 こいつらパワーくらいしかないよ!」

「ま、ウチらはズルい戦いかたが得意ですからね~」


 第二騎士団長ベランジェール以下、女騎士たちが集まって黄色い声をあげる。

 カリスが生みだした白と黒の天使たち。

 この敵が単純な力押ししかしてこないことをベランジェールは早くも見抜いた。

 六肢の飛行タイプはたしかに脅威きょういだ。

 しかし戦術を知らない相手に不覚をとるほど今の聖騎士団は甘くなかった。


 敵の突出をさそい、横撃で分断し、各個撃破。

 それを嫌って密集したら今度は《フーフー》で一網打尽。


 柔軟じゅうなんに部隊をあやつり、第二騎士団は敵戦力をドンドン削っていた。


「ベラン、勝ったねこのいくさ

「あ~そういうことウカツに言っちゃダメなんですよ~ヌフフ」


 ベランもつい笑っている。

 今は第二騎士団だけだが、戦力差はどんどん広がっていずれ敵は戦線を維持できなくなってくるはずだ。

 すなわち自軍の勝利。

 

「ヌフフ……」


 勝ち誇る第二騎士団の頭上から、カリスが冷徹に声をかけてくる

 まるで天から降りそそぐような声に、ベランジェールは首をすくめた。

 

『この程度で勝ったつもりとはあさはかというものぞ』


 カリスは広げた翼から追加で天使を続々と生みだしてくる。


「ゲゲッ……!」


 うろたえるベランジェールに対し、カリスはさらなる一手を見せつけた。


『こういうことも容易たやすい』


 カリスの後方には大森林が広がっている。

 広大な森林がボロボロとれはじめた。

 他の生物から大量の生命力をうばい取り、カリスの力はより強大になっていく。


「え、え、ちょっと待って、なに」



 バサッ!



 急に彼の背中がふくれ上がったかと思うと、その中から巨大な翼がさらに追加で飛び出してくる。

 新しく得たエネルギーでカリスはさらに翼を四枚増やした。

 六枚になった翼から、さらに大量の天使が生みだされてくる。


「う、うっそおおおおお!!?」


『我は万物の生命をあやつる。

 ゆえに抵抗は無意味だと言っているのだ』


 空を埋めつくすような敵の増援に、さすがの聖騎士団も絶望的な表情を見せた。

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