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聖女×ロボット×ファンタジー! 死にたくなければモノ作れ、ものづくり魔法が世界をすくう!  作者: 卯月
第六章 聖女大戦

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闇の秘奥義

 正門での攻防は一進一退、ここの攻めだけで決着がつくほど甘くはなかった。

 そこで当初の予定通り、第五騎士団長マキシミリアンは海中からみなとへの攻撃を開始した。

 第五騎士団は聖都西部の守護。

 西部には大海がひろがっており、水棲すいせい悪魔(ディアブル)に対抗する水中戦用守護機兵を保有していた。

 その名も魚人シレニ

 よく間違われるが、人魚・・ではなく魚人・・である。

 手足のはえた魚だと思っていただければまず間違いない。


 もりをかまえて急接近してくる魚人の群れを、リグーリア側の守護機兵が迎え撃つ。

 海豚イルカシャチクジラといった海洋型哺乳類の姿をしていた。

 魚人の銛と海獣の牙が風光ふうこう明媚めいびなリグーリア湾でしのぎけずりあう。


 こちらもよい勝負だ。

 陸のように陣形を組んだ平面的な押し合いにはならず、しかし空のように叩き落とせば終わりという風にもならない。

 水中ならではという立体的な機動力勝負はジリジリと心身を削りあう持久戦ガマンくらべとなった。







「港が襲撃されているだと!?

 それはまずい、港からここまで目と鼻の先だ!

 なんとしてもくい止めろ!」

『だから今やってますよ!』

「なんだその口のきき方は!

 貴様あとでどうなるか……」


 プツッ。

 港湾防衛隊からの通信は、一方的に切られてしまった。


「おっ、オイ! オイ!

 まったくこれだから軍人どもは……!」


 身分ありげな老人が真っ赤な顔で怒りをあらわしながら通信機をにぎりしめる。 

 リグーリア新政府の高官たちは、地下への長い螺旋らせん階段をおりて避難しているところだった。

 先頭をゆくのは白髪妖眼の魔人グレーゲル。

 彼は足早にズンズン進むので、後方はじょじょに離されつつあった。


「おいグレーゲル!

 年寄りをちょっとは気づかわんか!

 勝手にドンドン進むな!」


 老人たちが苦情を言うも、グレーゲルは速度を落とさない。

 そもそも先導をしているつもりもなかった。


「一本道だ、道案内などいらぬだろう」

「なっ、なんだその口のきき方は!

 まったく若い者は年上に対する敬意というものが足りん!」


 どうでもいい愚痴ぐちを聞き流しながら、グレーゲルは先をいそぐ。

 まだクリムゾンセラフたちは参加してきていない。

 奴らがいない戦場など気にする必要がないのだ。

 それ以外ならこのリグーリアの戦力だけでこと足りる。

 極論、負けたとしても別にかまわない。

 どうせ人類の九割は死ななければいけないのだから。


 グレーゲルが倒すべきは例の魔女とその仲間たちだ。 

 今日こそあれを倒さねば、今度はやつらの凶器が主君ユーリ=カリスをねらう。

 

「あくまでも来ぬというならそれでもよい。

 その時は雑魚どもを皆殺しにして後悔させてやる」


 後ろでまだゴチャゴチャ文句を言っている連中を放置して、グレーゲルは最終兵器が眠る最下層までたどりつく。

 ここから先は人間の手によって工事がなされていない。

 天然の洞穴どうけつがそのままの姿で広がっているのみだ。


「目覚めよ」


 声をかけながらグレーゲルは闇の奥へむかって走り出す。

 走って、跳んだ。


「目覚めよ、魔王ディアボロス

 そして我と一つになれ」

 

 このリグーリアの最終兵器とは、この都市の底に蓄積ちくせきされつづけた負の感情の集合体・魔王ディアボロスだった。

 本来魔王(ディアボロス)という存在はただ泣きわめくだけでこれといった意思がない。

 だがだからこそ、明確な意思を持つ者が頭脳となって支配すればこれ以上もない巨大兵器となる。


 これこそが《呪われし異端者たち(アナテマ)》の秘奥義。

 人魔合体の最終形態だ。


 闇の奥底で、二つの巨大な目が光った。

 いよいよリグーリア攻略戦も佳境かきょうにはいる。

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