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聖女×ロボット×ファンタジー! 死にたくなければモノ作れ、ものづくり魔法が世界をすくう!  作者: 卯月
第六章 聖女大戦

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リグーリア攻略戦、開始

 明朝、リグーリア攻略戦は開始された。

 まずは第五騎士団長マキシミリアンが、兵卒ソルダートとケンタウロス騎兵をひきいて正門にせまる。

 

『門をこじ開けよ!』


 号令をうけて先鋒部隊が門へせまる。

 そうはさせじと城壁の上から矢の嵐が降ってきた。

 それも爆裂魔法の付与された矢である。


 ズドドドド……!!


 先鋒部隊が強烈な爆発につつまれる。

 はやくも数機の守護機兵が戦闘不能と化した。

 それでも彼らは闘将マキシミリアンが先鋒として選び抜いた男たちである。

 恐怖にすくむことなく、そのまま正門へ突撃を敢行かんこうする


『ウオオオー!!』


 ドオオン! ドオオン!


 城門が轟音をひびかせてきしみ、悲鳴をあげる。


 攻城兵器はここへ来る前に伐採ばっさいしてきた巨木の丸太だ。

 邪魔な枝と根を落とし、衝突する部分は聖女によって鋼鉄でコーティングされていた。

 これを先鋒部隊たちは数機がかりで《ぶっとい槍》のように構え、正門の中央めがけて何度もたたき込む。


 ドオオン! ドオオン!


 まるでかねつきだ。

 仲間たちが呼吸をあわせ、一定のリズムでたたき込み続ける。


 もちろん守備側も見ているだけではなく、矢嵐の第二波が降りそそいでくる。


 ヒュン、ヒュヒュヒュン、ヒュン……!!


 攻城役を守るために護衛役が大楯で矢嵐を受け止める。

 だが予想以上の激しさに盾がどんどん劣化していく。


『このままじゃ皆バーベキューになっちまうぞ!』

『マジかよ!

 今夜はシーフードで一杯やる予定じゃなかったっけ!?』

『リグーリアは生ハムもうめえんだよなあ!』


『ハッハッハッハッハ!!』


 りすぐりの精鋭たちである。

 まだ多少は余裕があった。






 一方、リグーリア政庁のほうは文官たちが顔面蒼白(そうはく)となってふるえていた。


「ああ……!

 とうとう始まってしまった……!」


 もっとも上等な席でふるえているのは現・リグーリア行政長官であるヴィットリオ・エゴヌ。

 まだ世の中が平穏であったころからひそかに《呪われし異端者たち(アナテマ)》と通じ、彼らの力を利用して念願の行政長官にまでなり上がった男である。

 ヴィットリオは政治的な駆け引きには通じていたが、暴力的な殺し合いとは無縁の男であった。


「騒ぐな、見苦しい」


 白髪妖眼の魔人軍団、その最高傑作である金眼のグレーゲルは、いざとなったらまるで役にたたない文官どもをあきれ顔で見ていた。


「まだ始まったばかりではないか。

 今からそれでは身がもたんぞ」

「気楽に言うな!

 そもそも予定ではとっくに聖都のほうが廃墟はいきょになっているはずだろう!」

「戦いに不測の事態はつきものだ。

 うろたえるな馬鹿め」


 エンリーケ=カリスの敗死はヴィットリオたちリグーリア新生政府に強烈なショックをあたえた。

 もともと聖都には一千機程度しか守護機兵がいない。

 それを一度は敗走させて、半分程度にまで減らしたという話だったのだ。

 つまり残り500だ。

 エンリーケは5000の大軍をひきいて大森林から出撃していったという。

 

 一体どうしたら5000対500で負ける?

 

 いやどうやって負けたかなんて話はどうでもいい。

 聞いたところで意味が無い。

 問題は新生リグーリア政府がいきなり戦火にさらされる状況になってしまったことであった。


「ああああ……」


 情けない声を出して頭をかかえる幹部たち。

 馬鹿馬鹿しくなってきて、グレーゲルは相手にするのをやめた。


「貴様、どこへ行く!

 自分だけ逃げるつもりか!」


 ヴィットリオが急に強気な態度を見せてグレーゲルを責めた。

 その声を聞いて落胆らくたんしていた他の者たちも一斉にグレーゲルをにらみつける。


 やはり馬鹿馬鹿しい。


 グレーゲルは見下げ果てた。

 この男たちは狭い狭いリグーリアの政界でしか力を発揮できないらしい。

 外敵相手にションボリして、身内に敵意をむけるとはどういう現状認識なのだろう。


「戦うのだ。

 ここは戦場だからな」


 リグーリア(ここ)が戦場。

 その現実を突きつけられて、文官たちはまたションボリしてしまった。


「地下のアレを使うぞ、貴様らも無駄死にしたくないなら今のうちに地下へ避難しておけ」


 まだクリムゾンセラフと神鳥カラドリウスが戦場に姿を見せていない。

 あの目立ちたがりどもが出てこないなら、なにかをたくらんでいると考えるべきだろう。

 空からこの政庁舎を強襲するつもりであろうことを、グレーゲルは勘づいていた。


 幸か不幸かこの政庁舎の地下深くに、リグーリア最強の戦力が隠されていた。

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