表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
聖女×ロボット×ファンタジー! 死にたくなければモノ作れ、ものづくり魔法が世界をすくう!  作者: 卯月
第六章 聖女大戦

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

310/350

聖女の値段、後編

 過去に色々とトラブルがあって、それを聖女が解決したこと。

 それ以来皇女と聖女が非常に親しい仲になっていること。

 ここまでは調べれば簡単にわかることだったが、さらに一つ状況が変化したことを周囲の大人たちは気づかされたのだった。


 北伐の失敗によってジェルマーニア帝国ゆかりの反ヴァレリア派、フリードリヒ・フォン・ギュンダーローデ騎士団総長がこの世を去った。

 そしてパウル皇子とマリアテレーズ皇女が親ヴァレリア派なのは見てのとおりである。

 皇族二人がここまで親密になっているのだ。

 当然帝国そのものの外交方針にあたえる影響も大きくなる。


 ――つまりジェルマーニア帝国がヴァレリアの味方についた……!


 周囲が衝撃にふるえる中、ヴァレリア・ベルモンドは勇輝のうしろでニコニコと微笑んでいた。

 こういうシーンを作りたかったから、彼女は勇輝を聖エウフェーミア女学園に通わせていたのである。

 一日や二日でこんな関係は作れない。

 だからずっと前から用意周到に、打てる手はかたぱしから打ってあったのだ。

 ……まあ初対面の時はスカートの中に頭を突っ込んだりして、どえらい騒ぎになったりもしたが。

 結果オーライ結果オーライ。


 さて勇輝たちは全員ひとつになって、今度はエウ学の生徒たちの所へ合流していった。

 今度はヴァレリアも会話に参加して女生徒たちを楽しませる。

 ヴァレリアは『女性の社会進出の象徴』として若い女性たちに大人気だ。

 貴族令嬢たちは時代のカリスマとじかに会話ができて大喜びしていた。

 勇輝も顔見知りの中ですこし油断をする。


 その後ろから、肩をたたく人物があらわれた。


 トントン、トントン。


「ん?」


 ふり返る勇輝。

 そこにはひかえめなスーツ姿の老人が。

 それまで笑顔で会話していたヴァレリアが、老人の姿を見た瞬間にビクッ! と表情を緊張させた。

 そして深々と最敬礼をする。


「……………………ゲッ!?」


 かなり遅れて、勇輝は相手が誰だか気づいた。

 教皇・イナケンティス四世。

 変装していたので気が付かなかった。

 至高の存在である彼もまた、全世界のためパーティへ協力しに来てくれたのである。


「やあ」


 イナケンティス四世は気さくに片手をあげて女生徒たちにあいさつする。


『あbkyいへgふⅠ!?!?!?!?』


 わけの分からない悲鳴を上げてから、女生徒たちも最敬礼の姿勢をとった。

 いつの間にか後ろに神様が立っていました、というようなものである。

 冷静でいられるわけがなかった。


「……あいかわらず、奇襲の名人ですねえ」

「はっはっは、僕にも騎士がつとまるかな?」


 勇輝の軽口にも余裕の笑顔でつきあってくれた。


「遊撃隊の隊長になってみますか?」

「アッハッハッハ! ランベルト君のかわりはしんどそうだなあ!」


 実に楽しそうに笑う教皇聖下のお声を、頭を下げながら聞く大人たち。

 あまりの出来事に全員ぼう然としていた。


 ――まさか、聖女がこれほどの存在だったとは。


 すさまじい武功の数々。

 常識をはるかに超越した魔力。

 天使のような美貌びぼう

 

 ここまでは大人たちも知っていた。

 聖都に住んでいればいやでも耳に入ってくる情報である。


 だが、人脈のすごさ。

 これは知らなかった。

 ケダモノのような性格の小娘だと有名な人物である。

 だがだからこそ、身分ある人物が裏表なく交際できるのだ。


 ――これは到底、値踏ねぶみできるような人物ではない。


 大人たちは十分に納得した。

 この聖女には投資する価値がある。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろうSNSシェアツール
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ