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聖女×ロボット×ファンタジー! 死にたくなければモノ作れ、ものづくり魔法が世界をすくう!  作者: 卯月
第六章 聖女大戦

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同じ技は二度も通じん!

 今まで様々なタイプの敵と戦ってきたが、このエンリーケという野郎の不快さはトップクラスだ。

 胸の奥がムカムカして、わきあがる黒い感情が止まらない。


『お前は死ぬべきだ、クズ野郎』

『なにを!』

『お前なんかに絶対世界をとらせたりしねえ。

 ここで死ね、まわりの迷惑だ』

『ほざけーっ!!』


 エンリーケは愛機黒天使(アーテル)の両腕をひろげ、必殺の奥義をはなつ態勢に入った。

 今いる場所はちょうど敵軍の中央、奥深くまで斬り込んでいる聖騎士団員をまとめて餌食えじきにできる位置だ。


『貴様の意志など無価値だ!

 オレの奥義で消え失せるがいい!』


《アーテル》の機体から奇妙な風があふれ出す。

 押しては引き……、引いては押し……。

 まるで海岸にうちよせる波のように往復する。

 この風に触れた者はたちまち大量の魔力をうばわれる。

 そして奪った魔力で小型の太陽を生みだし、敵を焼き滅ぼすのだ。


『ウグッ!?』


 クリムゾンセラフから勇輝の苦しむ声が聞こえた。

 そして天と地で戦う聖騎士たちからも同様の苦しむ声が。

 魔力を吸い取られて人間たちがうめいている。

 いや魔力を吸うのは人間だけではない。

 草木も動物も、虫や微生物までも。

 生きとし生けるものすべてからエンリーケはエネルギーを徴収ちょうしゅうする権限をもつ。

 そして取り上げた力ですべてを焼き滅ぼすのだ。

 これが世界の王となる男の力!

 

 だがエンリーケは思い上がっていた。

 そして勉強不足でもあった。

 勇輝もとっくの昔に同じような存在を生みだしていたこと、ちょっと調べれば分かる情報であったのに。

 

『甘いッ!

 もうその手は通じないぜ!』


 勇輝の乗るクリムゾンセラフは黒天使にむかって両手を突き出した。

 紅天使の十本の指には、いつになく指輪がはめられている。

 ファッションのはずはない。

 勇輝はそういうことにとことん無頓着だ。

 これは機兵を収納しておく魔法の指輪。


『出ろオオオオオオ!

 エッガアアアアアイッ!!』


 十の指輪から十体のハネエッガイが飛びだしてくる。

 ハネエッガイたちはパタパタと羽ばたいて黒天使に近づいていった。


『ハア?

 ハハハハハハハ!

 なんだこの不細工な天使どもは!』


 珍妙な外見を笑うエンリーケ。

 だがすぐ異常事態に気づいた。

 奪ったはずの魔力が、全然自分に集まってこない。

 エンリーケが得るはずの魔力を、ハネエッガイたちが吸収しているのだ。


『神にいのれよ、祈る神がいるならな』


 メキ、メキメキメキ……!


 クリムゾンセラフがはめていた指輪が手の中で形を変えていく。

 指輪は金属製の丸いボールになった。


『お前の技でお前が消しとべ!!』


 ハネエッガイがボールにエネルギーを送り込む。

 周囲に存在するあらゆるものから奪い取った、強烈無比な力だ。

 すぐにボールはエネルギーでパンパンにふくらみ、燃え上がり太陽のように輝きはじめる。


 自分が撃つべき魔法を敵に奪われて、エンリーケは血相をかえた。

 その威力は誰よりもよく知っている。


『き、貴様、この恥知らずめ!

 人の技を奪うとは!』

『てめえが言うなクサレ外道が!』


 爆発寸前の太陽を、勇輝は解き放った。


『サァンシャイィィィィン・ブレイザァァァッ!!!』


 灼熱の太陽が黒天使に直撃する。


『ギャアアアアアアー!!』


 あまりの超高温に黒天使の機体は一瞬で蒸発してしまう。

 太陽の一撃はさらに地表へ到達し、周辺にいた悪魔ディアブルの群れをまとめて焼き滅ぼした。

 

『敵将エンリーケ、討ち取ったりぃ~!』


 聖騎士たちの大歓声が戦場を支配した。

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