エンリーケの欲望
『殺せ! 殺せ! 殺せ!
ウオオオ!!』
『オオオオオオオオオ!!』
殺せ! 殺せ! 殺せ! 殺せ! 殺せ! 殺せ! 殺せ! 殺せ! 殺せ! 殺せ! 殺せ!
殺せ! 殺せ! 殺せ! 殺せ! 殺せ! 殺せ! 殺せ! 殺せ! 殺せ! 殺せ! 殺せ!
まったく飽きもせずに暴れつづけるグスターヴォと決死隊。
『な、なんという異常な奴らだ!
やはり貴様らは滅びるべきだぞ!』
殺せ! 殺せ! 殺せ! 殺せ! 殺せ! 殺せ! 殺せ! 殺せ! 殺せ! 殺せ! 殺せ!
殺せ! 殺せ! 殺せ! 殺せ! 殺せ! 殺せ! 殺せ! 殺せ! 殺せ! 殺せ! 殺せ!
気がふれたのかというほど大騒ぎしながら最前線で大暴れしている集団を見かねて、エンリーケはみずから動くしかないと判断した。
敵が勢いづいているのはあの集団のせいだ。
あのおかしな集団さえいなくなれば敵はあっという間に意気消沈し、くずれた味方は立て直せる。
殺せ! 殺せ! 殺せ! 殺せ! 殺せ! 殺せ! 殺せ! 殺せ! 殺せ! 殺せ! 殺せ!
殺せ! 殺せ! 殺せ! 殺せ! 殺せ! 殺せ! 殺せ! 殺せ! 殺せ! 殺せ! 殺せ!
いいだろう、お望みどおり殺してやる。
それがいい。そうするべきだ。
あの連中は死んでしまったほうがいい。
エンリーケはお供の飛行型悪魔をつれ、将みずから前線に姿を見せた。
そしてすぐ敵に発見される。
『よう』
変になれなれしい声をかけられた。
相手は真っ赤な鎧を身につけた天使の軍団だ。
中心を飛ぶのはクリムゾンセラフ。
聖エウフェーミアのクローン、勇輝が乗る守護機兵。
まだ戦いは前半だというのに、敵味方の大将同士がわずかな従者をつれての対面であった。
『なんだ貴様、後ろでふるえていればいいものを。
わざわざ殺されに来たのか』
『そのセリフはさっきも聞いたぜ、ボキャブラリーが貧弱なんじゃねえのかお前』
『つまらぬことを!』
エンリーケは連れてきた悪魔に攻撃を命じた。
勇輝も赤備えに迎撃させる。
天使と悪魔が大空ではげしく激突するなか、エンリーケはまだ勇輝に話しかける。
『貴様はオレが飼ってやるつもりだったのだがな!
こうも言うことを聞かぬようではしつけが面倒だ!
やはりここで死んでおけ!』
『……そこんところが今ひとつピンとこねえんだがな』
『ん?』
紅天使《クリムゾンセラフ》が黒天使《アーテル》を指さす。
『お前、口で言うほど俺のこと好きか?
イマイチお前から愛とか欲を感じねえんだよな』
勇輝の身体は絶世の美女エウフェーミアのクローン体だ。
ほとんどの男は興味を持って当然のものだが、エンリーケの態度もその他大勢とおなじく『興味はある』という程度にしか感じられない。
手に入るものはとりあえずもらっておくタイプなのか……?
と思っていたが、エンリーケはニヤリと笑って思いもよらぬ心情を明かした。
『貴様がオレの奴隷になれば、ユーリがさぞ苦しむだろうと思ってな』
『!?』
エンリーケが勇輝を手に入れようと願う理由は、双子の妹に対するゆがんだ感情によるものだった。
『あいつはオレの残りカスの分際で、オレからすべてを盗もうとした。
だから罰をあたえねばなんのだ。
ユーリが貴様を気にかけているのは知っていた。
だからオレの言いなりになる貴様の姿を見せれば、あいつはどんな顔をするだろうかと思ってなぁ!
ハハハハハハハハハハ!!』
勇輝はユリアナの前でなにか卑猥なことをさせられる自分の姿を想像した。
奴隷というからには首輪でもはめられるのだろうか。
服はボロきれのような粗末なもので。
みじめに落ちぶれた勇輝の姿をみて、ユリアナはどんなにつらそうな顔をするか。
こんなゲスなことを夢みる小さい男が世界の王だと……!
ギリッ、と歯ぎしりして勇輝は怒りをあらわにした。





