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聖女×ロボット×ファンタジー! 死にたくなければモノ作れ、ものづくり魔法が世界をすくう!  作者: 卯月
第六章 聖女大戦

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浮き彫り

 まだ北伐部隊が聖都を出発してから一週間もたっていない。

 しかしはやくも問題点が目につきはじめていた。


 リグーリアの上層部はまだ駐屯ちゅうとんと港の使用許可をみとめようとしない。

 そのせいで聖都からの補給が十分にうけられず、消耗品である矢がとくに不足しだしている。

 

 問題点は補給だけではない。

 広大かつ複雑な大森林の地形に手こずらされ、進軍もままならない状態であった。

 足場は木の根が密集していて絶望的に走りずらく。

 頭上は大木のえだがひっかかって大型機兵が身動きとれない。

 

 つまり聖騎士団の花形はながたである《ケンタウロス騎兵》がほぼ使い物にならない。

 武器もみきや枝に引っかかってしまうため長槍、長剣、大斧、長弓などは非常に使いにくく、予備の武器である短剣などのほうが役にたつというありさまであった。






(だからあたしはちゃんと言っておいたのに!)


 第二騎士団長ベランジェール・ド・ボファンは、若い自分を軽視したオッサンどもに強い怒りの感情をいだいていた。


 機兵は小型の『兵卒ソルダート』が使いやすいですよ。

 武器も小ぶりなショートソードやハンドスピア、ハーフボウ。

 あと投げナイフなんかも意外と便利でしたよ。


 これらの情報はちゃんと出撃前に会議で報告したのだ。

 しかしいざ現場に来てみれば言ったとおりの装備をととのえてきたのは、ベランが指揮する第二騎士団だけ。


 ほかの第一、第四、第五騎士団はいつものとおり《ケンタウロス騎兵》による重装騎兵突撃を攻撃のメインとした編成で来てしまったのだった。

 大きい・重い・速いのさん拍子びょうしそろった《ケンタウロス騎兵》の突撃はたしかに強力無比である。

 しかしそれは自由に走れる広い空間があってのこと。

 地形の複雑な大森林地帯では無用の長物だった。


 それでもオッサンたちがひきいる騎士団は強引に森林に入っていき、獣型の悪魔ディアブルおそわれては損害を出していた。


 走れない騎兵。

 振りまわせない大型武器。

 これではケガをするために戦いに行くようなものだった。


 弓矢による射撃なら良さそうだが、これも木々が大量かつランダムにえているため射線が思いのほか通らない。

 悪魔ディアブルたちもそこは理解しているようで、大木のかげから急に飛びだしてきてはまた陰へ逃げていく。

 このヒット&アウェイ戦法にはいかな剛弓もほぼ当たらない。

 矢をムダに消費するばかりで戦果はいま一つであった。


(これじゃなにしに来たんだか!)


 年上たちのヘッタクソな戦いぶりを見ていてイライラをつのらせるベランジェール。

 自分の意見をもっとマジメに聞いていてくれたらこんな事にはなっていないのに。


(フリードリヒおじさんの馬鹿)


 ベランは自分が幼女のころから知っている現・騎士団総長の顔を思い浮かべて馬鹿にした。


 しかし、ベランの方にも問題はあった。

 日頃からやる気のない不真面目な態度と言動で、周囲をこまらせていたのは彼女である。

 いつもちゃんとしたコミュニケーションをとっていれば、今回だってベランの意見を取り入れてくれたのではないだろうか。


 有事の時にこそ問題点はりになる。

 これまで『なあなあ』にして改善しなかったそれぞれの悪い部分が、損害となってあらわれだしていた。

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