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聖女×ロボット×ファンタジー! 死にたくなければモノ作れ、ものづくり魔法が世界をすくう!  作者: 卯月
第六章 聖女大戦

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ネクサス『Ⅳ』はじめました

『いっけええハネエッガイ!』


 ルカの声が草原に響きわたる。


『了解』


 五機のハネエッガイが複雑な戦闘機動で宙を飛ぶ。

 むかう先には一つ目巨人(サイクロプス) 型 悪魔(ディアブル)の等身大模型があった。


『攻撃開始』



 ピッ! ピッ! ピピッピッ!



 ハネエッガイの左手から細いレーザービームが飛び、巨大な模型に次々と突き刺さっていく。



 ブウゥゥン……!



 今度は右手から光線剣があらわれ、模型を浅く切り裂いていく。



 ズシュアッ! ブシュウゥウゥゥゥゥ!!



 模型はズタズタになったが、しかし完全破壊にはいたっていない。

 ルカはその威力不足に不満顔だった。


『えーっ、なんかよわいー! もっとつよくできないの!?』

『事前に予想された通りの出力は発揮されている』

『ぶー!』


 いつものように無機質なベータの声。ブーたれるルカ。

 作った勇輝もちょっと不満だった。


「まあ身体が小さいからなあ、威力がたりないのはどうしようもねえのかなー」

 

 

 現在ルカ専用守護機兵《ネクサス》の新ver、《ネクサスⅣ》を使った実験中である。

《Ⅳ》の変更点は飛行システムの管理を完全に本体から切り離し、ベータに依存する形にしてしまったこと。

 これによりルカはあるていど自由に機兵を動かせるようになり、活動しやすくなった。


 で、ついでにハネエッガイに武装をつけて一緒に戦わせたら、もしかして強いんじゃねー? なんていう軽いノリでやってみたのが現状だ。

 考えついたのは勇輝だが、あいにくとオリジナルではない。

 毎度おなじみロボットアニメのパクリだ。

 複数の無人機を思念波であやつって戦うという戦法が、あまりメジャーにはならなかったが過去に存在したのでまねしてみた。

 だがアニメのほうは機体が巨大で、あつかうエネルギーも膨大ぼうだいであった。

 ハネエッガイはボディが人間くらいしかないので、攻撃力も人間レベルにしかならないようだった。


『じゃあさ、じゃあさ、もっとハネエッガイをおっきくしちゃおうよ!』

「いや、そうなると今度は動かす魔力が足りなくなっちまう。

 五分や十分でガス欠するようじゃ使いもんになんねえ」

『ぶー』


 なにごとも初めのうちはうまくいかないものだ。

 まあ現時点でもボデイガードくらいはできそうだし、ムダな努力ではなかった思うことにしよう。


「ああ、もう日が暮れちまうな。そろそろ終りにしよう」

『えーっ、まだできるよ!』


 太陽は西の空にかたむき、茜色あかねいろの色彩が濃くなりつつあった。

 おたがいの家にたどりつく頃には日没にちぼつだろう。


「いやそれがな、あんまりお前のことを一人前としてあつかいすぎるのも良くないって大人たちがうるさくってよぉ。

 家に帰れるときはちゃんと帰してあげなきゃいけないんだよ」

「ぶー!」


 ルカはいつもより強くブーたれた。


『ボクのほうがみんなよりつよいのに!』


 天才児にはありがちな発言だった。

 自分のほうがすごいのにどうして子供だからとバカにするのだ。どうして大人の言うことを聞かなければいけないのだ、という態度。


「ま、そう言うな。

 家もご飯もお父さんお母さんが用意してくれているんだからよ。

 自分で毎日作るのってすっげー大変なんだぞ?」

『……はぁい』


 しぶしぶながらルカは了承し、帰るために空へ飛び立つ。

《ネクサスⅣ》の後ろに続きながら、勇輝は草原をふり返った。

 夕陽にえる草原は、いつ見ても変わりなくうつくしい。

 というかこの世界の自然はだいたい何を見ても美しい。


 平和だと、つい感想をいだいてしまう。


 今、人類はけっして平和な時ではない。

 教皇が暗殺され、次はだれがなるのかと大いにめているらしい。

 報復戦争はするのか? 復讐ふくしゅうを果たすべきではないのか?

 そんな議論は当然ある。


 聖イグナティウスと《呪われし異端者たち(アナテマ)》の関係とはどういうものなのか?

 そして次に何をするつもりなのだろうか?

 ……できればこのまま、ずっと何もしないでいてくれたら良いのに。


 そんなあれこれが瞬間的に、草原を見つめる勇輝の脳裏をよぎる。


「自然はこんなにキレイなのになあ」


 空も、草原も、山も、海も。

 すべてがこんなに美しいのに。平和なのに。

 人間だけは。


「……なんだかなあ」


 平和とは。

 正義とは。

 愛とは。


 がらにもなく哲学的になってしまう勇輝であった。

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