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聖女×ロボット×ファンタジー! 死にたくなければモノ作れ、ものづくり魔法が世界をすくう!  作者: 卯月
第五章 闇からの救世主

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人質の解放

 偶然再会したユーリが少女を生き返らせるという出来事があってから数日。

 勇輝は外出を禁止され、野営地キャンプ内で待機しつづけていた。

 少女を救うために大量の血を失ったので、とても戦闘に耐えられるような体調コンディションではない。

 

『絶対に外へ出てはだめだ。

 野営地キャンプが襲撃されても騎士たちにまかせろ。

 血が元に戻るまでお前は絶対に何もするな。

 それが守れないなら聖都に強制送還する』


 ランベルトにここまで言われて、しかたなく勇輝はブラブラと遊んですごしていた。


「自分だってムチャするキャラのくせによぉ」


 ブツクサぼやきながら、勇輝はあの日切り裂いた自分の左手首をみた。

 まったくなんの傷痕きずあともない。

 まるでヴァレリアに治してもらった時のようだ。

 医者に傷口を縫合ほうごうしてもらった時などは、抜糸後しばらく皮膚ひふがつっぱったりするものだが、そういう感覚もない。

 完璧に元通りだった。


「ユリアナ。

 いったいお前は何者なんだ」


 死者を生き返らせる魔法。

 ランベルトやベランジェールは、そんなもの聖書の中にしか存在しないと言って否定した。

 勇輝が「実際に今日この目でみたんだ!」と言っても信じようとしない。

 死んだように見えて実はギリギリ生きていたのだろう、なんて言われる始末だった。


 そんなはずはない。

 あの女の子は確実に死んでいた。

 首から噴水のように血がふき出して、その血が出なくなったのだ。

 あえて確認はしなかったが、心臓が止まったからそうなったとしか思えない。

 勇輝の血は女の子の血のかわりに使われたのだ。

 技術的な説明はできないが、おそらくそういうことだろう。


 死者を生き返らせる魔法は存在しないという。

 だがユリアナは死者を生き返らせた。

 あり得ないことがおこった。

 奇跡きせき

 奇跡の力をもつ女。

 それはまるで聖女ではないか。


「もしかして、エウフェーミアのほかにも聖女っているのかな……?」



 つらつらと思いをはせながら仮設ハウスの天井をながめていると、何やら外がさわがしくなった。


『ユウキ! ユウキ・アイザワがここにいるだろう!

 お前たちが聖女とよぶ女だ!』


 建物が振動するほどの大音声だった。

 聞き覚えのある女の声。

 おそらく守護機兵のスピーカーごしに声を出している。


「ユリアナの声だ、ユリアナ!?」


 勇輝は走って仮設ハウスを飛び出した。

 おどろくほど早く息切れがはじまる。

 まだ失った血が回復していないのだ。

 しかしそんなことは気にしていられない。


 もう一回だけ会いに来る。


 ユリアナはそう言ったのだ。

 もう一回だけ、と。

 今回をのがしたら、もう二度と会えなくなる。


 声のする方へ勇輝は走る。

 フラつく身体をおして走りつづけた。







『来たな、ユウキ』


 開けた草原のただ中に、巨大な純白の天使が立っていた。

 熾天使型セラフタイプの守護機兵。

 以前戦った黒い天使と同型別色の守護機兵だった。


「な、中にいるのは、ユリアナなのか?

 そうなのか!?」


 勇輝の問いには答えず、白い天使は自分の要件をつたえようとした。


『……人質を解放する。

 受け取って』


 天使は一方的にそういうと片ひざをつき、搭乗席のハッチをひらいた。

 その中から二人の女性が姿をみせる。


 オオオオオ……!


 まわりで見守っていた聖騎士たちが、女性たちの姿をみて騒ぎだした。

 出てきたのは間違いなくジェルマーニアの皇女マリアテレーズ。

 そして巻き添えになっていたミーシャだった。


 天使は右手を差し出して「ここに乗れ」と二人にピールする。

 しかし片ひざをついていても数メートルの高さである。

 淑女レディ二人には怖すぎて無理なようで、パイロットが手助けしなくてはいけない様子だった。

 仕方がない、といった顔で中にいた人物が姿を見せる。

 出てきたのはやはり見覚えのある女だった。


「ユリアナ、やっぱり!」

 

 勇輝とユーリ、二人の視線が交差する。

 ユーリはとても気まずい表情をしていた。

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