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聖女×ロボット×ファンタジー! 死にたくなければモノ作れ、ものづくり魔法が世界をすくう!  作者: 卯月
第五章 闇からの救世主

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空転するユーリの想い

 ユーリやグレーゲルの気持ちなど気づくはずもなく、勇輝は嬉しそうな笑顔でクリムゾンセラフから降りてきた。

 ちなみにグレーゲルは街に入る前から魔法で変装している。

 ユーリとおなじ黒髪・黒目の若い男性の姿だ。

 

「セラ、中に!」

『はい』

 

 勇輝が命じると、クリムゾンセラフは指輪の中に吸い込まれていった。

 この少女をこれから殺さなければならない。

 だがどうやって。

 おかしなやり方をすれば、指輪の中から天使が出てきてこちらが殺される。 

 ユーリは緊張しながら話しかけた。


「き、今日はどうして街の中に?」

みなとに補給物資がとどいたんで、それを運んでたんだよ」

「ああ、それで」


 そんなことを話していると、ちょうど真上を大きな影が横切った。

 聖都の飛行型守護機兵。たしか《銀の鷹(アルジェント)》とかいう。

 巨大なたかは両脚で大きな箱を運んでいた。


「あなたはやらなくていいの?」

「ああ、思ったより少なくてさ。いま上を通ったので最後だよ」


 機密情報だと思うのだが、あっさり教えてくれた。


「でさ、もし良かったら、ちょっと話でもできないかなって」

「う、うん、いいわよ」


 思いもよらずチャンスが来てしまった。

 ならんで歩きはじめる勇輝とユーリ。後ろにつづくグレーゲル。

 グレーゲルの眼に殺気がみなぎってくるのを、ユーリは眼で制した。

 ここは人目ひとめにつきすぎる。

 せめて人気ひとけのない場所にいかなくては。


「それで、どんな話がいいかしら?」

「うん、ここの人たちの話とか聞けたらなあって。

 どうも俺たちけっこう邪魔者あつかいされているようなんだ」

「…………」


 ユーリの背中に冷たい汗がにじんだ。

 芝居しばいの上手な人間ばかりではない。

 あからさまに嫌悪感をしめして不審がられる者もいるようだ。


「ま、まあ人づきあいの上手な人ばかりではないでしょうし?

 余所者よそものとどう接したらいいか分からないのかもね?」

「うーん、そっかあ色々聞いてみたいこともあるんだけどなあ」

「それはどんなこと?」

「ああ、大森林の奥で変わった雰囲気ふんいきの教会を見つけたんだ」


 ザワッ!


 瞬時にグレーゲルの髪が逆立さかだち、両眼が金色に輝きだす。

 ユーリはあわててごまかした。


「そ、そう、私も聞いたことだけはあるわ! 

 大昔の聖人をまつっているとかいう話よ!」 

 

 話しながら後ろに手をふって『おさえろ、おさえろ!』とグレーゲルに命じる。


「……いまなんかすんげえ魔力ださなかった?」


 勇輝がふり返った時、グレーゲルは黒髪の姿に戻っていた。


「失礼。あの場は我々にとって非常に価値ある遺跡いせきなので」

「そうですか。勝手にはいっちゃってスイマセン」


 あまり心がこもっているとも思えない謝罪の言葉に、グレーゲルは不快感をかくしきれずにいた。


あやういなあ)


 ユーリは思う。

 やはり聖都の連中をこの地に長居ながいさせるべきではない。

 住民感情に関しても、秘密を守ることに関しても、長く居れば居るほどにボロが出てくるのはあきらかだ。


(やはりユウキたちには帰ってもらったほうがいい)


 そう考えざるをえない。

 殺せ、という命令はやはりユーリの性分にはあわなかった。

 勇輝はよく笑い、よく驚き、よく動き、よくしゃべる。

 にぎやかな彼女の性格を、ユーリはだんだん好きになってきてしまった。


(もしこの子が私たちの同士だったなら、きっと親友になれるのに)


 無意味なことを想像してしまって、ユーリは首を左右にふる。

 そんな時だった。

 突然、勇輝がユーリの手をにぎってきた。


「えっ」


 ドキッとした。同性なのに。

 いきなりどういうつもりなのかと彼女の顔を見たが、勇輝の表情はさきほどまでの笑顔から一変。けわしい戦士の顔になっていた。


「ユリアナ、俺から離れるな。うしろのアンタも」


 勇輝は歩いていた通りの前後を順番ににらむ。

 そこには帽子とコートを身につけ、口元を覆面ふくめんでかくした不審者たちがいる。

 前に三人、うしろに三人、あわせて六人。

 全員顔をかくしている。これはあきらかにおかしい。


 瞬間的にグレーゲルを見た。

 グレーゲルは首を横にふる。

 彼の仕掛けではない!

 これは彼女たちも知らない人間が仕向しむけた刺客しかくだ!


 まわりには無関係の人間たちが歩いている。

 にもかかわらず、六人の刺客は一斉にナイフをかまえて襲いかかってきた!

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