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聖女×ロボット×ファンタジー! 死にたくなければモノ作れ、ものづくり魔法が世界をすくう!  作者: 卯月
第五章 闇からの救世主

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未知の宗教画と石像

 動く石像をすべて破壊しつくした一行は一体だけ動かなかった像があることに気づき、その像を調べてみることにした。


「ふーん、誰の石像だろうねこれ」

「さて……?」


 高貴な風格のある白い石像。

 長い髪をまとめず、のばしたままにしている男性像である。

 まるで和服のような、身体の正面で合わせて帯で締めるという服を着ていた。

 両手を大きくひろげ、まさに神か教祖か、という雰囲気ふんいきのポーズ。


(すしざんまい)


 勇輝は自分にしか通じないネタを心の中でつぶやいた。


「《呪われし異端者たち(アナテマ)》の重要人物には違いないのでしょうな。

 いっそ壊してやりましょうか」


 聖騎士の一人がそんなことを言うので、ランベルトが止めた。


「いや、何かのヒントになるかもしれない。

 今はまだよそう」


 つづいて彼はハネエッガイたちを指さし、勇輝に頼みごとをしてきた。


「彼らに部屋の撮影さつえいをお願いできるかい?

 人間の記憶力なんかよりもよほどアテになるだろう?」

「オッケー! お安い御用だ!」


 さっそくハネエッガイたちに命じ、部屋のすみずみまで動画におさめさせる。

 謎の石像。

 天井の宗教画。

 床のタイルとモザイク模様。

 壁の絵画。

 ハネエッガイたちはパタパタと羽根をはばたかせ、熱心に命令を遂行すいこうする。

 その様子はまさにブサカワ(ブサイク&カワイイ)であった。


「にしても誰なんだろうなあこれ」


 エウ学で国宝のエウフェーミア像をブッ壊してしまった時のことを思い出す勇輝であった。

 こういうシロモノはイメージで作られることも多く、似ているとはかぎらないのだ。


「像もそうだが」


 ランベルトたちがキョロキョロと壁や天井を見比べて首をひねっている。


「この絵は、どの話をテーマにして作ったのだろうな……?」

 

 宗教画というのはそれぞれの宗教の神話から、有名な一節を題材として作るのが一般的だ。

 地球ならば「最後の晩餐」とか「受胎告知」といったものがそれだ。


 この教会に描かれている絵はみな覚えがないようで、首をひねっていた。

 当然勇輝はまったくわからない。


「まあ《呪われし異端者たち(アナテマ)》のやることです。

 気にする価値もないのではないのではありませんか」

「うん……」


 部下の一人にそう言われて、ランベルトも曖昧あいまいにうなずくのだった。






「あ、やっとかえってきたー!」


 暗い洞窟を戻ること数十分。

 まぶしい外界の光が見えたところで、ルカの明るい声がする。

 その声を聞いて探索チームはほっと心がなごんだ。


 行きと帰りであわせて二時間ほど。

 暗所・閉所の圧迫感と罠の危険に対する恐怖感のダブルパンチは、なかなかに精神をけずるものであった。


「ルカ、そっちは無事だったか?」

「うんだいじょうぶ!」

 

 元気な声を聞きながら外へ出る。

 

「そっか無事でよかった。

 あーっ、外は気持ちいいな!」


 勇輝は背伸びをして肉体の緊張感を解放した。

 まだ巨木がつらなる鬱蒼うっそうとした森の中だ。

 しかしそれでも広い、空気が澄んでいる。

 それだけで気分がいい。

 明るい空の下にでたらもっと気分がいいだろう。


 しかし、ルカの横からベータが口をはさんできたことで状況はすこし変わった。


『ルカ、それは正確な報告ではない。

 無事とは戦闘の有無を意味する言葉ではない』

「ん? なんかあったのかベータ?」


 ベータははるか上方にある巨木の枝を手でしめした。

 

『あの位置に謎の人物が立っていて、我々を観察していた。

 我々がその人物に気づくと一瞬で姿を消した』

「マジか! 録画は!?」

『成功している』

「見せろ!」


 勇輝はあわて気味に地面から大型テレビをやし、ベータに再生を急がせた。

 

『ユウキ様、これだ』


 太い枝の上に立っている人間の姿。

 フード付きマントでほぼ全身をかくしていて男女の見分けもつかない。

 そいつは顔の方向がカメラ目線になった瞬間、後ろへ跳んで姿を消してしまった。

 カメラはベータの眼なので目と目が合ってしまったということ。

 発見されたことに気づいて逃げたのだろう。


「人間だな、あきらかに」


 後ろからランベルトが感想をのべる。


「まだここに誰かがひそんでいることが確定した。

 良い発見だと前向きに考えるとしよう」

「なるほど」


 勇輝もため息まじりに同意した。

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