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聖女×ロボット×ファンタジー! 死にたくなければモノ作れ、ものづくり魔法が世界をすくう!  作者: 卯月
第五章 闇からの救世主

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謎の暗黒神殿

 勇輝がつくった魔力式懐中電灯(かいちゅうでんとう)を使い、一行は慎重にすすむ。


 報告のとおり、洞窟の内部は人があるていど手入れしたような形跡けいせきがあった。 

 突き出して邪魔な岩を切り取ったようなあと

 大きなひび割れなどを砂利じゃりや砂でうめた跡。

 これはあきらかに自然洞窟などではない。

 人間が歩く『通路』であった。

 

「人の気配はねえな……」


 勇輝は小声で指輪の中にいるセラに話しかけた。


「セラ、なにか聞こえたら教えてくれ」

『はい』


 クリムゾンセラフは人間よりも優れた視聴覚しちょうかく能力をもっている。

 こういう時にも頼りになる相棒だ。







 カツ、カツ、カツ……。


 静かな洞窟内に一行の足音だけが反響する。

 暗闇のむこうを照らしてみてもなにも見えず、この通路がどこまで続くのかもわからない。

 

「ちょっと息苦しくないですか」


 騎士の一人がフーッと荒く息をはいた。

 せまい暗闇を歩き続けるというのは、思った以上に精神を圧迫あっぱくする。

 なにが待ちかまえているかわからないのだから、なおさらだ。


「うん、もう少し行って終わりが見えないようなら、一度ひき返そう」


 ランベルトもやや疲労した声を出す。


 コツッ。


「む?」


 先頭を行く彼の足音がかわった。


「ほ、舗装ほそうされているだと……!?」


 あからさまな人工物が足元にきつめられていた。 

 これまではむき出しの地面だったのに、ここから先は小さな四角いタイルがきれいに並んでいる。


「…………!」


 全員が息をのんだ。

 恐怖に近い感情をいだいてしまう。

 自分たちが敵のなにかに接近しようとしているのが確定的になったからだ。


わながあるかもしれん、慎重しんちょうにな」


 これまでも十分慎重であったはずだが、さらに念をおして先に進んだ。

 床や壁を懐中電灯で照らし、足音を出すのさえ恐れるようにソロソロと歩く。


 フゥー……。 フゥ……。


 あまりの静けさに誰かの呼吸音まで聞こえた。






 通路が終わり、広い空間に出た。

 当然というか、地面はタイルで舗装されている。


「ここは……」


 ランベルトが四方を照らし、あくまでも慎重に進む。

 つづく勇輝たちもあらゆる場所を照らしながら後ろにつづく。

 誰かの光が左右の壁画を照らした。

 そして正面にならぶ複数の石像も照らした。

 床には芸術的に配置されたモザイク模様が。

 天井にも色あせた宗教画が描かれていた。


「教会だ! こんな所に教会だと!?」


 間違いなくここは教会だった。

呪われし異端者たち(アナテマ)》たちの教会なのだ。

 しかし最近は使われていないようで、床や石像にはホコリがたまっている。


「なんということだ……」


 先頭のランベルトが部屋の中央まで進む。

 その時だった。



 グググググ……!

 ゴゴゴゴゴ!!


 直立していた大きな石像たちが、一斉に動き出した!

 大きな拳をかまえて襲ってくる!


「チッ、やっぱりトラップがあったか!」


 勇輝の声を聞くまでもなく、全員が戦闘態勢をとった。

 スイッチを押したとか、そういう露骨なミスはおかしていない。

 どうやら部屋に入る前に解除しなくてはいけない系統の罠だったらしい。


「しかあし! 生憎あいにくだったな!

 お前ら俺との相性サイアクだぜッ!」


 勇輝が余裕の表情で勝利宣言した。


「セラ! クリムゾン・フィンガアアアアッ!」

『はい』


 指輪からクリムゾンセラフの腕が飛び出してくる。

 そして敵一体の頭を捕まえた。

 全身は無理だが、腕の一本くらいは余裕で出せる広さがあった。

 

「とどめッ!」


 ドドォン!


 勇輝は捕まえた石像の身体を生身で触り、魔力を流してバラバラに破壊した。

 いつだったか聖女エウフェーミアに『残酷すぎるから人間には使っちゃダメ』と禁止された奥の手。

 こういう命のない相手には遠慮なく使える。



 ゴゴゴゴゴゴ!



 残りの石像が勇輝めがけて殺到さっとうしてくる。

 だがランベルトたちが横から攻撃支援してくれた。


「聖女に近づけるな! 我々は無理に壊そうとしなくていい!」

「了解っ!」


 勇輝が壊し、聖騎士たちが援護する。

 宣言通り勇輝の能力は相性バツグンであった。

 それほど時間もかからず、動く石像はすべて撃破された。

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