それいけ洞窟探検隊
『大森林の奥地で洞窟を発見しました!
人間が立ち入っている痕跡があります!』
根気強く森林地帯を探索しつづけていた一部隊から、興奮した声で連絡がはいった。
「そうか! よくやってくれた!
すぐ増援に行く、監視をつづけろ!」
ランベルトは即座に自分の目で確認することを決定した。
ベランジェールに陸戦隊をまかせ、空陸両用の機体だけで現場にむかう。
つまりランベルトの《神鳥》。
勇輝の《クリムゾンセラフ》。
そしてルカの《ネクサスⅢ》。
おまけに作ったばかりのハネエッガイ十機である。
ハネエッガイは機体が小さいのでこまかい作業にむいているかもしれないという判断で連れていく。
ついに敵の拠点を発見したか、そうでなくても何かしらの情報はえられるだろう。
勇輝たちは緊張と興奮の両方につつまれながら指定された地点に急行した。
「こんなところに……!」
そこは樹齢百年以上はたっているであろう巨木が立ち並ぶ大樹の森。
上空からは枝葉が何層にもかさなっていてまったく見えず。
地上にいても昼間から暗く、また太い幹が障害となってひどく視界がわるい。
そんな地形の最奥に、ひっそりと洞窟がかくれていた。
「これは、機兵では入れないな」
入り口の高さはせいぜい二メートル半。
守護機兵で入るのは不可能だ。
「仕方がない生身でいこう」
ランベルトは《神鳥》から降り、洞窟探検隊を編成した。
まずランベルト本人。
そしてこの洞窟を発見した騎士たちの中で、まだ体力に余裕があるものをえらぶ。
そして。
「とうぜん俺も連れていくよな!?」
いつもの指輪にクリムゾンセラフを収納し、勇輝が前に出る。
「俺だったらピンチになっても必要な道具を作れるぜ!」
「……ああそうだな、お願いしよう」
うむを言わさぬ態度に苦笑しながら、ランベルトはOKをだした。
あと念のためハネエッガイを半分の五機つれていく。
「えーボクはおるすばんなの?」
「ああ、この入り口をキッチリ守ってくれ」
「ぶー」
ふくれるルカのほっぺを、勇輝は左右からはさんで正面をむかせた。
「大事な仕事だぞ。
置いていく守護機兵を守ってくれ。
後ろから敵が来ないよう見張っていてくれ。
おかしな奴が近づいてきたらハネエッガイを飛ばせてこっちに教えてくれ。
日暮れまでに俺たちが帰らなかったら、ベラン先輩を呼んで助けに来てくれ」
「はあい」
本当に大事な仕事だ。
何度も実戦を経験して、勇輝は後方支援の重要性を身にしみるほど実感していた。
いまリグーリア付近ではベランジェール先輩が待機して野営地を守っている。
もし野営地が壊滅したら聖騎士団全員は水も食料もなく、寝る場所もない状態で敵の襲撃にふるえなくてはいけない。
そして今これからルカにこの洞窟の入り口を守らせる。
役割は上に書いたとおり。
どれ一つ欠かしても大変なことになる。
入り口に残していく戦力は《ネクサスⅢ》とハネエッガイ五機。そして《兵卒》が三機だ。
それ以外の者は未知の洞窟探検に挑む。





