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聖女×ロボット×ファンタジー! 死にたくなければモノ作れ、ものづくり魔法が世界をすくう!  作者: 卯月
第五章 闇からの救世主

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ハネエッガイ翔ぶ

 まる二日が経過した。

 勇輝たち連合部隊は空と陸から大森林の内部を調査したが、意外なことがあきらかになった。


「昔の地図がぜ~んぜん役に立ちません~!

 地形が変わっちゃってますよ、ウキ~!」


 第二騎士団長ベランジェール・ド・ボファン嬢が頭をバリバリかきながらなげいていた。

 第二騎士団は聖都北方の守護。

 この大森林についても一番くわしい騎士団だったのだが、その前提がもろくも崩れてしまった。

 地殻変動ちかくへんどうがあったわけでもないのに地形が変化してしまっている。

 おそらくは中にひそんでいる《呪われし異端者たち(アナテマ)》の魔法によるものだろう。 


「つまり相当やべえ敵がいるってことだな」

「そうでなければじっくりたっぷり時間かけて変形させていったかですね~」

「まいっちゃうなあ」


 ベランと勇輝は顔を見あわせてしまった。

 ただでさえ広大な森だというのに、木々がしげっているせいで暗くなるのがはやい。同じ理由で明るくなるのがおそい。

 そのため地上で活動できる時間がとても短いのだ。

 かといって上空から見おろしても確認できる範囲はかぎられている。

 想像以上にこの森はやっかいだった。


「なにか聖女さまの秘策みたいなものは無いですかぁ?」

「うーん……」


 実行可能かどうか不明だが、イメージ的にはある。


 枯葉剤かれはざいの散布。


 猛毒の薬物を大量に空中散布して邪魔な植物を枯死こしさせるという、ベトナム戦争でアメリカがやったやつ。

 だがあれはやってはいけない行為だろう。

 森に、そして近隣にあるリグーリアにも深刻な被害がでる。

 それは聖女のすることではない。

 

 しかし、ならばどうしようか。

 二人が悩みつづけているうちに時は流れ、ランベルトやルカたちが帰ってきた。


「たっだいまー!」

「おうお帰り」


 笑顔で駆け寄ってくるルカの後ろには、羽根のはえた新しいエッガイたちが十機たっている。

 聖都を出る前にちょっと会話していた飛行型エッガイを実際に作ってみたのだ。

 名づけて『ハネエッガイ』。

 ネーミングはルカが考えた。


「ハネエッガイの性能はどうだった?」

「んっとねー、そらとぶのおそかった!」

「ははは、小さいからしょうがねえな」


 人間サイズの小さな翼で守護機兵と同等のパワーをのぞむのは無茶だ。

 しかしながら周囲の騎士たちが発散したエネルギーだけで活動しているため、コストパフォーマンスは抜群ばつぐんだ。

 改良を加えながら今後も使っていきたい。


「フーッ、今日も収穫しゅうかくはいまひとつだったよ」

 

 ランベルトがタオルで汗をふきながら落胆らくたんしている。


「おそらくは地下にひそんでいるのだろうな。

 川を見つけたので川ぞいに偵察してみたが、人工物のようなものはなにも見つからなかった」

 

 人間の生活には毎日大量の水が必要である。

 だから川を調べたランベルトの判断はただしい。

 しかし何も発見できなかったというのだから、もしかしたら地下水をくみ上げる場所があるのかもしれない。

 そうなってくると敵の拠点を見つけるのはいよいよ難しいことになってしまう。


「まだまだ未探索のエリアは多い。あせる必要はないさ」


 そういう本人の顔がとても不満そうだったので、勇輝はなにも言わなくてすんだ。

 ランベルトが義母のヴァレリアをしたう気持ちは、信仰心にも似たとても強いものだ。

 その義母を傷つけられた怒りはそうそう消えるものではなかった。







 けっきょくその日も作業を終え、部隊は夕食の時間になる。

 つかの間の休息を楽しむ騎士たちのもとに、一人の若い修道士が手紙をもってたずねてきた。


「行政長官様からのお手紙をあずかって参りました」


 純朴そうな若者から手紙をうけとったランベルトは、一読してふむ、と考える。


「我々をささやかなパーティに招待したいという話だ。

 任務も長引きそうだし、ここは友好関係を築くために参加すべきと思うが、どうだろう」


 勇輝は顔をしかめて答えた。


「……ダンスパーティじゃないなら、いいよ」


 ダンスは勇輝にとって鬼門である。

 キスができそうなくらい顔を近づけあうというのが、どうしても苦手なのだった。

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