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聖女×ロボット×ファンタジー! 死にたくなければモノ作れ、ものづくり魔法が世界をすくう!  作者: 卯月
第五章 闇からの救世主

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北へ再出撃

『ふああ……』


 大あくびを一つ。

 勇輝が目をさましたのは数時間後だった。

 へんな体勢で寝たので身体のあちこちがギシギシする。


「あ、起きたみたいだよたいちょ……じゃなくって団長!」


 ベラン隊の女騎士さんが誰かに呼びかけている。

 数人の女騎士とともにベランジェール団長がやって来た。


「おはよう聖女様、やっぱりこの時がきちゃいましたよ」

『そうみたいっすね』


 ベラン先輩と一緒に北へ行く。

 これは前から占いで告げられていたことだった。


 勇輝はクリムゾンセラフから出て姿をみせる。

 今日の先輩は昨日とおなじオレンジ色の軍服。

 昨日のパレードでは幸い「カワイイ」とか「美人団長」とか言ってもらえたようで良かった。

 今後もその評価を維持できるかどうかは、本人の心がけ次第である。


「会議はどうなりました?」

「うん、第二うちと第五と遊撃隊から有志をつのって出撃ることになったの。

 全部で機兵100機くらいになる予定」

「けっこう多いですね」

「でも半分以上輸送部隊だよ。とくに第五はね」


 第五騎士団は海軍戦力を保有している。

 水上輸送による大量運搬うんぱんはこういう時、非常に強い。陸や空の数倍は運べるのだ。


「なんでもいいですよ俺は」


 勇輝は右拳を自分の左手に打ちつけた。

 パシッと気合のはいった音がなる。

 今度こそという闘志があふれそうだった。


「まーまーまー、そう言わずもうちょっとマジメな話しよ~。

 この作戦、ユウキ様の能力が大事なんだから」


 以下、要約。


 本日正午より第二騎士団および遊撃隊有志による連合部隊を結成。

 皇女殿下奪還作戦が開始される。

 連合部隊は街道を北上し、大森林地帯を右に見ながら西上、沿岸部の衛星都市『リグーリア』を目指す。

 以降はリグーリアを拠点とし、大森林の探索をおこなう。


「衛星都市なんてあったのか」

「うん、す~ごいキレイなところ。

 一生に一回くらいは行っといたほうがいい」

「へー」


 この世界は悪魔ディアブルの存在があるため、旅をする危険度が地球とはくらべものにならない。

 それでも行ったほうがいいというのだから余程すごいのだろう。


「でも聖都にくらべると小さい街だから、物資には期待できないのね。

 壊れた機兵とかぜんぶユウキ様に直してもらおうって予定なんだけど、だいじょうぶ?」

「ああオッケーオッケーまかせてよ」


 なんのためらいもなく了承する勇輝だった。

 整備士が聞いたら怒りだしそうなセリフだ。

 整備する場所もいらない。

 工具もいらない。

 材料すらいらない。

 モノを作ったり直したりすることに関して、勇輝の魔法はチート以外の何物でもなかった。


 それからもいそがしく準備は進み、正午。

 予定通り連合部隊は出撃した。

 敵は教皇のかたき。皇女を誘拐ゆうかいした凶悪犯。

 失敗は許されない戦いのはじまりだった。

  






 マリアテレーズ皇女とミーシャは魔法で眠らされたままどことも知れぬ場所へ連れ去られてしまった。

 一夜あけて目をさました時、二人はせまい木造の個室の中。

 しばられたりはしないものの部屋にはカギがかけられ、閉じ込められていた。


 先日からのイザコザもあって、非常に気まずい空気のまま、二人は床の上に座りつづけるしかなかった。


 マリアテレーズも世の中が清廉潔白せいれんけっぱくなものばかりでないことは知っている。

 だが彼女はまだ多感な十代だ。

 まさか実の兄が結婚前から浮気していて。

 しかも兄の婚約者は同性愛者で。

 おたがい何もかも承知の上でうわつらだけの関係を築こうとしていたなんて事実。

 どうにもこうにも受け入れがたいのだ。

 その許せないという感情は今、ミーシャ一人にむけられていた。

 

 ひと言も口をきかない。目線もあわせない。


 ミーシャのほうも冷たくされるだけの理由があると承知しているので、だまってうつむく以外にやりようがなかった。


 おたがい気まずい思いをしながら、ただひたすら時が流れる。

 やがて扉のむこうから複数の声が接近してくるのが聞こえた。


「……!」


 ミーシャが覚悟を決めた表情で立ち上がり、マリアテレーズを守るように前に立つ。

 マリアテレーズはえっ、という表情でミーシャの後ろ姿を見た。


 

 ガチャッ!



 乱暴にドアが開かれた。

 先頭に立っていたのは上等そうな衣服をまとった20代前半くらいの男。


「フン、皇女はどっちだ?」


 男は傲慢ごうまんを絵にかいたような態度で二人を見た。

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