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聖女×ロボット×ファンタジー! 死にたくなければモノ作れ、ものづくり魔法が世界をすくう!  作者: 卯月
第五章 闇からの救世主

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兵站(ロジスティクス)

 勇輝は第二騎士団の詰め所へ。

 ランベルトは軍本部へそれぞれむかった。

 

 今回の敵は凶悪犯罪組織だ。個人ではなく聖都全体の問題として行動することになる。

 自由な機動性がウリの遊撃隊とはいえ勝手に出撃するわけにもいかず、軍務省全体での決定を待つ必要があった。


 勇輝はクリムゾンセラフで。

 ランベルトは《神鳥カラドリウス》に乗って、一時別れる。


『ユウキ、第二騎士団にはくれぐれもよろしく。

 あと、むこうに着いたらすこし休んでおけ。

 せっかくの美人が台無しだ』

「そりゃお互いさまだろ。

 そっちのほうが寝てないってのに」

『ははっ。弱音は言ってられないさ』


 肉体的にも精神的にもそうとう辛いはずだ。

 パレードで笑顔をふりまいて。

 直後にヴァレリアが刺されて重体。

 看病したいのはやまやまの所を、勇輝の援軍に来てくれて。

 帰還したのは深夜。

 眠れたのはたったの1、2時間。

 そしてすぐに仕事だ。

 過労で倒れてもおかしくない状況である。

 しかしそれでもランベルトは笑顔を見せて去っていった。


「兄貴、そうとうキレてやがるな」


 勇輝のつぶやきにセラが反応した。


『キレているとは、怒っているという意味ですか?』

「うん」

『わかりません。笑顔を見せていましたが』

「兄貴は家族のためなら命をかける男だからな」


 優男やさおとこの皮をかぶった熱血バカなのは、くり返しくり返し確認ずみである。

 そんな男が『悪の秘密結社』に『義母であり主君である』ヴァレリアを殺されかけたのだ。

 燃えないわけがない。

 最終的には敵組織の壊滅まで考えているはずだ。


「頭に血がのぼると自分のことそっちのけになっちゃう奴だからさ」

『フフッ』


 セラは笑った。

 

『自分のことはよく見えないものだということですね』

「はあ?」


 勇輝にはなんの話かわからなかった。

 頭に血がのぼると自分のことそっちのけになっちゃう奴とは、まさに勇輝のことではないか。


「なんのこった?」


 首をかしげながら、クリムゾンセラフは早朝の大空を羽ばたいて行った。






 

 第二騎士団の詰め所についた勇輝は、あっさり寝落ちした。


「すか~~、すぴ~~」


 敷地のすみっこで直立不動のクリムゾンセラフ。

 機体制御はセラがおこなっているので中の人が居眠りしていても安心である。

 結局、激戦のあとに睡眠不足というのは無茶なのである。

 待たされているあいだにウトウトしてきて、勇輝は眠ってしまった。


 今、地上では作業員たちが出撃準備に追われて大いそがしの有り様だ。

 防衛がおもな任務となる聖騎士団にとって、外部への遠征は大仕事となる。

 兵站ロジスティクスを得意とするヴァレリア長官が不在なのだからなおさらだ。


 普段は必要のない輸送部隊が超重要だ。

 水、食料、武器、ポーションなどなど、持っていかなければ全員の生死にかかわるようなものが山のようにある。

 輸送部隊の護衛も必要だ。聖都に残していく部隊だって必要だ。

 実際に戦闘する部隊はもっと必要だ。

 ああいそがしいいそがしい。


 そんなてんてこ舞いのなか、勇輝はいびきをかいて寝ていた。

 第二騎士団の人々からすれば、接待する必要がないだけマシだったかもしれない。

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