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聖女×ロボット×ファンタジー! 死にたくなければモノ作れ、ものづくり魔法が世界をすくう!  作者: 卯月
第五章 闇からの救世主

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健闘、むなしく

『貴様だけではないぞ!』


 勝ちほこったような男の叫びに、勇輝は周囲を見わたした。

 男を中心に森の木々がれていく。

 自然のエネルギーも吸収しているのだ。

 

『この一撃で滅びよ!

 怒りの日(ディエス・イレ)!』


 黒い天使が両手をクリムゾンセラフにむける。

 吸収した魔力をすべてこめた巨大な光弾がはなたれた。


「くっ!」


 全力で羽ばたき、回避をこころみる。

 しかし避けきることはできず、右手と右脚が光弾に巻き込まれた。

 

「ぐあああっ!」


 接触した右手と右脚は一瞬で消し飛んだ。

 クリムゾンセラフはバランスを崩して制御をうしない、枯れた木々の上にななめ上から突っ込んでいく。



 バキバキバキメキッ!!



 幸い木々がクッションになってくれて、なんとか大破はまぬがれた。

 しかしダメージは深刻だ。


「ううう、あああ……!」

『ユウキ様、意識を強く持って!

 早く修復を!』


 いま追撃をうけたら最期だ。

 セラは急げ急げというが、勇輝は激痛によるショックでそれどころではなかった。


 しかし、相手もそれは同じだった。


『グ、ブッ! ゲエッ!』


 黒い天使の口から血でも吐いたかのような声、というか音がする。

 機兵の動きも口元を手で押さえ、芝居しばいとは思えない。

 周囲の生命から無理やりエネルギーをうばった反動か。

 どうやら彼自身にとってもコントロールがきかないような、危険な技だったらしい。


「ぐっ、まだまだっ……!」

『ハア、ハア、ハア!』


 両者ダメージを負ってはいるが致命傷にはまだとおい。

 クリムゾンセラフは手足の修復をおえ、黒い天使は呼吸をととのえる。

 相手がたおれない以上、続けるしかない。

 おたがいがそう覚悟を決めて身がまえるが、両陣営の仲間があいだに割って入った。


『無事かユウキ、なんだこの敵は!』


 ランベルトの《神鳥(カラドリウス)》を先頭に《ネクサスⅢ》、《鉄騎士アイゼンリッター》が駆けつける。


『ええ~!? テンシだ~!?』


 まだ幼いルカが相手の姿をみて遠慮なくビックリした。

 

『おいおい何体いるんだ、まさかこういうの流行ってんのかあ?』


 ラースもあきれたように見上げている。

 そんな黒い天使のかたわらに、人間があらわれた。

 守護機兵でも悪魔ディアブルでもない、生身の人間である。

 暗い色合いのローブを頭から羽織はおっていてどんな人間かは見えない。

 ローブの人物は黒い天使の胴体、つまり搭乗者が入っている場所に身をよせた。

 

『なにぃ、バカなことを言うな!

 オレはまだ、ゲホッ! まだ!』


 中の人物が血を吐きながら反発する。

 おそらく撤退てったいをすすめられたのだろう。

 敵である勇輝から見ても、中にいる人物が危険な状態にあることは予想できる。


「逃げたいんなら逃げてもいいぜ、ただし誘拐ゆうかいした二人は置いていけ!」

「そうはいかん」


 ローブの人物が即答した。

 男の声。

 ちょっと前に聞いたことがあるような気がする。


「魔女め、貴様は人をたぶらかす達人だ。信用できん。

 このお方の安全のためにも、人質を解放するわけにはいかん」


 男はフードをとり、顔を見せた。

 白髪が夜風に激しくゆれる。

 その白髪のすきまからのぞかせる眼は漆黒の眼球、金色の瞳の妖眼。

 たびたび聖都にあらわれては災いをまねく魔人グレーゲルだった。


「お前、また!」

「邪魔はさせん」


 勇輝が動くよりもはやくグレーゲルは悪魔ディアブルたちを動かした。

 悪魔(ディアブル)たちはぶ厚い壁となって立ちはだかる。


『ああ! うちの馬車!』


 ラースが叫んだ。

 数羽のフクロウ型によって馬車はガッシリとつかまれ、空を飛んでさらわれていく。


「く、くそっ、待て! 待ちやがれこの野郎ッ!」


 勇輝の叫びが夜の森にむなしくひびく。

 倒しても倒してもキリがなかった。

 ぶ厚い敵の防衛線と戦っているうちに、グレーゲルたちはどんどん遠くへ行ってしまう。

 マリアテレーズ皇女とミーシャを乗せた馬車は、どことも知れぬ場所へ連れ去られてしまった。

 

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