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聖女×ロボット×ファンタジー! 死にたくなければモノ作れ、ものづくり魔法が世界をすくう!  作者: 卯月
第五章 闇からの救世主

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さらわれたマリアテレーズ

 お祭り気分に浮かれていた人々の気分は一瞬で凍りついた。

 自分たちの目の前で教皇が死んだ。

 神の代行者ともあろうものがよりにもよって邪教徒などに。

 

「イ、イ、イヤアアアッ!!」

 

 客席から飛んできた女性の悲鳴をきっかけに、場内はとてつもない大騒ぎになった。


「ええいどけっ、どけえっ!」


呪われし異端者たちアナテマ》のメンバーたちは鮮血のついた錐刀スティレットを振りまわして目の前の人々を遠ざける。

 一方彼らのかくれた仲間であった警官たちは、貴賓席きひんせきにむかって駆けだした。


「おい、何をするつもりだ!」


呪われし異端者たちアナテマ》のリーダーが警官たちを呼びとめる。

 しかし相手は言うことを聞かなかった。


「せっかくの機会だ、これで終わりにはしない!

 ここから先は別行動だ!」


 警官たちは上司からの伝達で貴重な情報をえている。

 本日この場にジェルマーニア帝国の皇女殿下が列席しているという情報を。


 皇女はあの赤目の魔女と親しい間柄あいだがらだと有名だ。

 皇女を誘拐ゆうかいし人質にとれば、赤目の魔女も殺せるかもしれない!


「ジェルマーニアの皇女はどこだ!」


 貴賓席は大パニックになった。

 血にまみれた凶刃をかまえた邪教徒が相手である。

 貴族たちに立ち向かえというのは無理な話だった。

 逃げまどうその他大勢を無視し、警官たちはジェルマーニア皇族たちの席へ急行する。


 しかし、そこで想定外の事態がおこった。

 同じ場所に豪華なドレスを着た若い美女が二人いたのである。

 一人はターゲットであるマリアテレーズ・フォン・ニュスライン=フォルハルト皇女。

 もう一人は皇子の恋人ミーシャ・フォン・ヒーンだった。


「ど、どっちだ?」


 警官たちの中に皇女殿下の顔を知るものはいなかった。

 

「ええい両方だ、両方ともさらってしまえ!」

「キャーッ!」


 悩んでいるヒマはない。男たちは大雑把おおざっぱな方法を選択した。


「ま、まて無礼者! この私をいったい誰だと心得る!」


 パウル皇子が精いっぱい勇気をふりしぼって男たちの前に立ちはだかる。

 凶悪なテロリストたちが相手とはいえ、恋人と妹の危機だ。だまっているわけにはいかない。


「これ以上の狼藉ろうぜきは許さん! 二人をはなせ!」

「ふん、運が良かったな皇子様よ!」


 しかし皇族の権威は、無法者どもには通用しなかった。

 強烈な鉄拳が皇子のボディを直撃する。


「グハッ!」


 生まれてはじめて食らう本気のボディブロー。

 とても耐えきれず皇子はくずれ落ちる。


「あんたまで殺すと事件が複雑になりすぎる。

 妹もおとなしくしてりゃそのうち家に帰してやるよ、じゃあな!」


 警官たちは二人を抱えて、北へ逃げ出した。


「ま、待て、待てっ……!」


 パウル皇子はうずくまった状態で手をのばすことしかできなかった……。







「なんだって!? それ本当なのか!?」


 勇輝が事件の発生を知ったのは天使ぺネムの連絡だった。


『ああ、だからさっさと行けアホ聖女!』

「クソっ嘘だったら許さねえからなテメエ!」


 勇輝はクリムゾンセラフを全力で飛ばして大広場へ戻った。

 教皇が暗殺されヴァレリアは意識不明の重体。

 マリアテレーズ殿下とミーシャが誘拐ゆうかいされた。

 

 まさかほんの一時間だけ離れたすきにこんな大事件が発生するなんて。


「俺が残っていれば、こんなことには……」


 ついそう思わずにはいられない。

 だがそれはいささか傲慢ごうまんだろう。

 二人の誘拐はふせげただろう。

 だが暗殺のほうは妨害不可能だったにちがいない。

 それくらい今日一日はあわただしかった。

 様々な人たちがいそがしく動きまわっていて、一人一人をあやしむヒマなんてとても無かったのだ。

 

「くそっ、くそーっ!」


 勇輝はとにかく急いだ。

 時はすでに夜。

 悪党どもが逃げるのにも隠れるのにも最適な時間だった。

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