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聖女×ロボット×ファンタジー! 死にたくなければモノ作れ、ものづくり魔法が世界をすくう!  作者: 卯月
第五章 闇からの救世主

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知らないうちに未婚の母になってました

「浮いた! 浮いてるぞ!」

「すごいぞ、こんな発想があったのか!」


 興奮をかくせずに賞賛している男たちの声。


「なんだ?」

「さー?」


 勇輝とベラン先輩の位置からでは死角になっていて見えない。


「頼むセラ!」

『はい』


 勇輝はクリムゾンセラフを召喚し、上空から地上を見下ろした。

 男たちの歓心を集めているのはルカの《ネクサスⅢ》だった。


「おおぅ?」


 勇輝も妙な声を出した。

《ネクサスⅢ》が奇妙なポーズで羽ばたき、宙に浮いていた。

 両手両足をダラーンと脱力し、翼だけいそがしく動かしている。

 なんだか死体に翼の形をした機械でもくっつけたかのような光景だった。


「ルカ、飛べるようになった……のかこれは?」


 中に乗っているはずのルカに話しかける。

 しかしルカからの返事はない。

 

「ルカ? おーい?」


 再度《ネクサスⅢ》に話しかける。

 すると今度は応答があった、しかし意外な相手からだった。


『ユウキ様、ルカは応答できない。

 代理としてベータがお相手する』


 応答しているのはルカと一緒に乗っているエッガイ試作機・ベータだった。


「どうした! ルカに何かあったのか!?」

『違う』


 ベータの声には起伏きふくや強弱が無く、少々まどろっこしさを覚える。


『この《ネクサスⅢ》は今、ベータのコントロール下にある。

 ゆえにルカには一切の操作ができない』

「お前の?」


《ネクサスⅢ》はバサッバサッと翼を大きく羽ばたかせ、クリムゾンセラフの近くまで飛んできた。

 あいかわらず身体の方はピクリとも動かないまま。

 その様は死体を運搬うんぱんしているかのようだ。  


 ゆっくりと《ネクサスⅢ》は降下し、死体……もとい機体をうつ伏せに寝かせた。


「ぷはっ!」


 ルカの元気な声が飛んできた。

 どうやらコントロールがルカにもどったらしい。


「うう~ん、これってボクが飛べたことになるのかなユウキ様?」

「何がどうなってんだ、今のはどうやってたんだ?」


 子供のルカにはまだ筋道をたてて説明するということができない。

 かわりにベータが解説する。


『ベータは周囲の聖騎士たちからエネルギーを集積し、一時的に翼を動かすだけの力を得た。

 そして姉上から得たデータをもとに飛行実験を行ったのだ』

「誰だよ姉上って、いつの間にそんな人ができてたんだ」


 てっきり人間の知り合いが増えていくうちにお姉さんキャラの人物と親しくなった、とかそんな話の流れかと思ったが、違っていた。


『姉上とはセラのことだ。

 セラはユウキ様が一番目に作った、だから長女である。

 すべてのエッガイ、そして《ネクサスⅢ》と《神鳥カラドリウス》はセラ、つまりクリムゾンセラフの弟妹ていまいである』

「えっ」

『ユウキ様がセラとクリムゾンセラフを別個の存在だと認識しているなら、クリムゾンセラフが長子でセラが次子という順番になるが』

「い、いやそんなつもりは無いけど」

『ならばセラ=クリムゾンセラフが我ら全体の長女だという図式が成り立つ』

「えー、いつの間にそんなことになってたの……」


 本人が知らないうちに未婚の母になっていました。

 

『ユウキ様、いけませんでしたでしょうか』


 セラがすこし心配そうに話しかけてくる。


『エッガイたちとデータの交流をしているうちに《生まれの早さによって順列が決まる》という社会通念を学習しましたので』

「い、いや別にそれでいいよ」

『そうですか』


 安心してくれたようだ。

 セラは生まれてからの時間が長いせいか、ベータやほかの個体よりも表現力が豊かだ。


『私が集積してきたデータが参考になると判断し、エッガイの負担にならない程度の情報量を提供しています。

 ベータはその中から飛行データを分析し《ネクサスⅢ》の飛行実験に適用したようです』

「へ、へえー」


 知らないうちにセラは大家族のお姉さんみたいな存在になっていた。

 親の知らないところで子供たちは相談しあっていたのである。

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