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聖女×ロボット×ファンタジー! 死にたくなければモノ作れ、ものづくり魔法が世界をすくう!  作者: 卯月
第五章 闇からの救世主

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なに考えてんのコイツ!?

 自分に用があるとの事なので、勇輝はクリムゾンセラフから出て姿を見せた。


「おお~かっわいい~!」

 

 駆け寄ってくるフォルトゥナート。

 二人が会うのは初めてであり、勇輝は彼の名前も知らない(聞いてもどうせ覚えられないが)。

 みずから望んで会いに来た第四騎士団団長。

 彼は勇輝の容姿をひとしきりながめてから、口を開いた。


「あんた処女か?」


 なんともいえない嫌悪感が胸の奥にわき上がる。

 初対面でこんなこというやつに好感をもつのは不可能だった。

 

「……まあたぶんそうなんじゃないっすか」


 勇輝の頭の中はいまだに男のままだったが、どうも性別はあまり関係ないようだ。

 こんなデリカシーのないやつは男だろうが女だろうが精神的に受け入れがたい。

 だから嫌悪感は露骨に顔に出ているのだが、それでもフォルトゥナートはグイグイ、いやガンガン突撃してくる。


「そうか、じゃあオレと結婚しよう!

 世界最強の子供を育てようぜ!」


 ――コイツ正気か?


 勇輝は紅い目を大きく見開いた。こんなふざけたプロポーズが成功するはずないだろう。

 どういうつもりでこんなことを言うのか。

 瞬時にさまざまなことが脳裏をめぐるが――。


 ……すぐ面倒臭くなったので考えるのをやめた。


「えー、申しわけありませんがつつしんでお断りいたします」

「ええっマジかよ! なんで!?」


 ――なんでじゃねえだろが!


 フォルトゥナートは本気でおどろいていた。とりあえず表面上はおどろいているように見える。


「本気でわからねえっていうんなら人生やり直したほうがいいぞ」

「何でだよ~コレで全部うまくいくってのにさ~」


 何か言っているが聞きたくない。

 勇輝はさっさとクリムゾンセラフに乗ろうとする。


「あ、パンツ見えた」


 グッ、と勇輝は殺意がめばえるのをこらえた。

 そりゃ近距離で下から見上げれば見えることもあるだろう。

 だがわざわざ声に出して言うか!


「なあ、おいー! 正義の味方のくせに平和的解決をこばむのかよ~!」


 まだなにかわけのわからない事を言っているが、もう知らん。


『死ね!』


 それだけ言ってクリムゾンセラフは大空へ飛び去った。

 行き先は決まっていない、とにかくこの場を離れたかった。


「ん~」


 飛んでいくクリムゾンセラフの尻をながめながら何やらうめくフォルトゥナート。

 その姿をリカルド以下、第三騎士団の面々がどうしたものかと見つめている。

 視線に気づいたフォルトゥナートはニカっと歯を見せて笑った。


「フラれちった!」


 あまりにさわやかな笑顔なので、むしろ周りのほうがうろたえてしまうのだった。






 その日の夕方。

 自宅に帰ってきた勇輝はすぐその場でクラリーチェに質問された。


「あなた、フォルトゥナート様のプロポーズを断ったって本当?」

「……知らねーなそんな名前」


 あの男、そういえば名前も名乗らなかった。

 そんなプロポーズってあるか?


「第四騎士団の団長よ。背の大きな人」

「ああ、まあそんなこともあったかな」


 不機嫌そのものの顔で勇輝は答える。


「なんでクラリーチェが知ってんの」

「本人が軍本部で言いふらしていたのよ。

 フラれた~ツライ~って」

「は!?」


 クラリーチェも困った顔をしていた。

 落ち着きのない仕草で銀髪をかきわけ、ふところからハーブスティックを取り出す。

 

「この耳で聞いちゃったのよ。聖女にフラれた~って」

「なんだあの馬鹿!」


 イライラしてしょうがない。

 人を怒らせる天才なのか。


「ちょっと落ち着きなさいよ。

 あなたも吸う?」

「……もらおうかな」


 勇輝はハーブスティックを一本もらった。

 タバコを吸っているようにも見えるが、正真正銘ただのハーブである。

 カンネッラという樹木の内皮をして丸めたものらしい。


「うぐっ!」


 濃厚すぎる風味が口を直撃して勇輝はのけぞった。

 日ごろから一本丸ごと吸っているクラリーチェは慣れているから良いようだが、これはキツい。


「あら、口に合わない?」

「いやなんていうか、ちょっとでいいかな俺は」


 けずって小さくしたものをお茶やお菓子にまぜるとか、それくらいがいい。

 でもこの強烈さがささくれだった気分を少しまぎらわせてくれた。


「政略としてはねぇ、まあ……」


 クラリーチェが虚空にむかってつぶやいた。


「うん?」

「ベルモンド家とアレッシィ家が結びつくのは、悪いことではないんだけど。

 相手があんな調子じゃねえ」


 反ヴァレリア派にして先代の軍務省長官カルロ・アレッシィ枢機卿の息子、フォルトゥナート・アレッシィ。

 彼と勇輝が結ばれれば両派閥はばつが統合されていく流れを作ることも可能になるだろう。

 この無意味な権力争いを終わらせられるかもしれないのだが。


えわ」

「無いわねえ」


 自分の名も名乗らずに処女かどうか聞いてくる男と結婚なんて、考えられない。

 夢みる乙女の一人として、クラリーチェもそこは賛同してくれた。

 それに今回の件をへんに後押ししたりすると、ならクラリーチェも政略結婚しろよなという話になってしまう。

 だから圧倒的にノーなのだ。


 クラリーチェは大きく、勇輝はチビチビとハーブを吸う。

 会話が途切れたまま正面ホールで二人がたたずんでいると、玄関ドアがバン! と勢いよく開かれる。


「ユウキ!」

 

 ランベルトが血相をかえてつめ寄ってきた。


「フォルトゥナート団長に求婚されたというのは本当なのか!?」


 ……どうやらまた同じ話をしないといけないようである。

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