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聖女×ロボット×ファンタジー! 死にたくなければモノ作れ、ものづくり魔法が世界をすくう!  作者: 卯月
第四章 ボクの夢は聖女さま!

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漢たちの執念

 聖女が作りあげた巨大大砲。

 その左右をクリムゾンセラフとネクサスⅡが支え、さらにその周囲を多くの騎士たちが囲んでいる。


『サンキューみんな!

 これなら何とかなりそうだ!』


 大砲に供給される魔力量が圧倒的に増えた。

 飛躍ひやく的に出力が上がり邪竜のブレスを押しはじめる。

 

『グッ、ガアアオオオオオオッ!』


 邪竜も最後の力をふりしぼって威力を上げるが、数の差は決定的だった。

 ジリジリと自分に近づいてくる破滅の光を邪竜ははじき返せない。


『ウガガガガ……!』



 キイィィィィン……!



 例の精神攻撃も使い続けている。

 騎士たちはみな苦痛に顔をしかめていたが、戦いを放棄するものはいない。


『アーーッ!!』


 邪竜は今までにない鳴き方をした。

 なんとなく、なんとなくだが、弱音を吐いたように聞こえる。

 人間が失敗した時に「あーもう!」と言うような声色。


『もう終りだよ。

 お前の負けだ』


 勇輝の小さなつぶやきは聞こえなかったはずだが、邪竜は聞こえたかのようなタイミングで世にも見苦しい行動をはじめた。


『えっ!?』


 誰かが声をあげた。

 なぜか敵の騎兵が自分の味方を斬り捨てた。

 斬られた方も無抵抗だった。

 斬った敵は斬られた敵の半身をつかみ上げ、空高くブン投げる。

 空中でぶつかり合う閃光にむかって。



 ジュッ!



 一瞬で蒸発してしまう。


『な、何をやって……』


 あっけにとられる人間を放置して、邪竜の眷属たちは味方を殺しはじめた。

 腕力の強いものが弱いものを切断し、小さく投げやすくなった死骸を次々と光の衝突に投げ込んでいく。

 ほんのわずかでも威力を軽減できるように。


 さらに、邪竜は大量の翼を羽ばたかせ、後退し始めた。



 バサッ! バサバサバサバサバサ……!!


 空をおおいつくすような巨体がじょじょに離れていく。

 逃げる気だ。

 騎士たちは激怒した。

 戦友たちをさんざん殺しておいて。力と誇りを奪っておいて。

 劣勢になったらゴミのように捨てて逃げるというのか。 

 

『クズ野郎……ッ!』


 勇輝は思い出した。

 こいつはあのエウフェーミアとダラダラ十年も戦い続けた敵だった。

 自分の都合が悪くなったら逃げる。

 そのくせ異常に執念深く、あきらめるという事を知らない。

 戦術的撤退といえば聞こえは良いがどうにも汚い、見苦しい戦い方だった。


 邪竜の巨体が離れていく。

 大勢の銀の鷹(アルジェント)から奪った翼は逃げるのにも有効なようだ。


『に、逃がすなー!!』


 敵の自殺によって手が空いた最前線の者たちが弓矢で攻撃する。

 だが逃げる敵に矢を撃っても効果が薄い。数も足りない。

 邪竜はブレスを吐きながらジリジリ後退していく。


『こ、こんな馬鹿なこと、あってよいのか……!』


 怨嗟えんさの声が陸で傍観ぼうかんするしかない騎士たちからあふれた。

 ここまで追い詰めたのに逃げられるのを見ている事しかできないとは。

 邪竜は海岸から後退し浅瀬に出る。

 この強敵を追撃するだけの海軍戦力は聖都には残されておらず、洋上に逃げられたら手が出せない。

 だから今、おかの上から必死に射撃をしている。

 だがそれもそろそろ届かなくなる。弓の射程外になってしまう。


 ここまでか。と弓をおろしてあきらめる者が出始めたときだった。

 意外な方向、角度から、味方の攻撃が始まった。

 それは海の中。邪竜の背中側から。

 魚人シレニ型機兵の爆裂もりが、邪竜の背に突き刺さった。




 ドオオオン!



『グアッ!?』


 大ダメージというわけにはいかない。だがまったくの奇襲に邪竜の動きが止まる。


『攻撃開始ーッ!!』


 海面に複数の魚人シレニが浮上し、次々と銛を投げつける。

 そこにはもう邪竜の戦力はいない。一方的な攻め放題だった。


『お前たち、いつの間にそんな所へ……!?』


 部下の不可解な行動に混乱するマキシミリアン団長。

 魚人シレニ部隊の隊長はニヤリと笑った。


『逆ですよ団長、俺たちはずっとずーっと前から海の底に隠れていたんです』

『なに!?』


 具体的にはこの戦いの序盤。空と海からの爆撃が終わった直後から。

 海中にしげる悪魔の海草によって進軍できなくなった彼らは、海の底にひそんでこっそりと敵の退路を絶っていたのである。

 仲間のかたきを討つために。

 帰還命令にも口だけ「了解」と答え、実際には従わず。


『待てば海路の日和ひよりあり、って言うでしょう』

『ハッ、ハッハッハッハ!』


 さすがの硬骨漢も笑った。

 万が一敵に発見されていたら孤立こりつ無援むえんの状態で惨殺されていたというのに。

 まったく見事な執念。見事なイカレ具合だった。


『イカレているやつぁ、空にもいるみたいですよ?』


 魚人シレニ隊長が空を見上げる。

 そちらにはありったけの爆裂魔法弾を抱えた銀の鷹(アルジェント)の姿があった。

 ただ一機のみである。

 勇輝たちの攻撃に巻き込まれる危険があるので、他の者を同行させられなかったのだ。

 こちらはこちらで命知らずの強攻だった。


『返してもらうぞ、我が戦友ともの翼を!』


 第一騎士団所属、ジャンフランコ・デ・シュヴァインベッカー。

 何度もランベルトに突っかかっていた三角顔の男である。

 いつも一緒にいた丸顔と四角顔の男たちは、先の戦いで犠牲となった。


『くらえ外道め!』


 叫びながら爆雷を投下。



 ドドドォン!



『グオオ!』


 真上から大量に叩きつけられて、邪竜はさすがに苦しむ。

 前から、後ろから、上から。

 三方向同時に攻められて、とうとう邪竜は集中力を切らした。

 さんざん人類側を苦しめた思念波による精神攻撃が止まる。


『……い、い、今だーッ!!!!』

『ウオオオオオオオ!!!!』


 勇輝が叫ぶ。

 苦しみから開放された騎士たちの全魔力が大型大砲にこめられる。

 最大最強のすさまじい一撃が大砲からはなたれた。


 人類の魂をこめた一撃は邪竜のブレスを圧倒し、ついに邪竜を焼き滅ぼした。

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