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聖女×ロボット×ファンタジー! 死にたくなければモノ作れ、ものづくり魔法が世界をすくう!  作者: 卯月
第四章 ボクの夢は聖女さま!

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血と炎

 超再生をくりかえす難敵に対し、軍務省長官ヴァレリア・ベルモンドはさらなる物量の投入を決定した。

 各騎士団と遊撃隊から飛行タイプの機兵が出動していく。

 海岸ぞいにも弓矢やボウガンといった射撃装備をそろえた部隊が立ち並び、爆裂魔法のこめられた矢玉を運搬うんぱんする補給部隊が列をなして浜辺にやって来る。


 再生が追いつかないほどの火力で押し切ってしまえ、というわけだ。

 美しい浜辺が喧噪けんそうにつつまれる中、聖女が乗るクリムゾンセラフは聖都西門付近で待機していた。

 すぐ隣に未完成の新型機兵《ネクサスⅡ》が無人のまま片膝をついている。

 エッガイたちにはすでに招集命令を出した。

 近くにいたものから一機、また一機と集まってきている最中。

 結局まだエッガイシステムは未完成のままである。

 本日また、エッガイの新しい問題点を発見した。


「集まるのおっせえ……!」


 イライラしながら勇輝はつぶやいた。

 全機、全力で城壁の上を走っている。急いでいるのは分かっている。

 だが遅い。

 聖都があまりに広すぎるせいで、全員集合に時間がかかりすぎる。

 

「こりゃあ全員まとめて行動させんのは無理っぽいなあ……」


 腕組みして空をにらんでいると、銀の鷹(アルジェント)の群れが真上を通過していった。

 その中にランベルトが乗る神鳥(カラドリウス)の姿も。


「ランベルト! そいつで行けるのか!」

『ああ、サメで初戦闘は済ませたからね、問題ない!』 

「武運を祈るよ!」

『ああ、そちらも!』


 神鳥(カラドリウス)は片手をふって、海へむかって行った。

 戦地へむかう家族の後ろ姿を見送っていると、実に不安な気持ちになる。

 空や海での戦闘というのは死に直結している。

 地上での戦いだって危険は山積みだが、人間はそもそも陸上生物である。安心感が違う。


 まったく人間というのは、平地で、山で、川で。

 あげくのはてには海で、空で、宇宙で。

 この世のどこにでも行きたがるし、どこででも戦いたがる。

 今、まるで絵画のように美しい空と海は、人と悪魔ディアブルが殺し合う戦場と化していた。


『爆雷投下!』


 銀の鷹(アルジェント)部隊が両脚で運んできた爆雷を次々と投下していく。

 あいにく伽藍鳥ペリカンほど大量に持ち運べはしないが、速さと旋回能力はこちらの方が上。往復回数で勝負する。


『グアアアアッ!!』


 背中でぜる炎と衝撃に邪竜が怒りをあらわにする。

 空中に意識をとられていると、今度は海中から魚人シレニたちが爆裂もりを飛ばしてきた。


『オオオオッ!』


 空中うえからと思えば海中したからも。

 小さき者どもの波状攻撃に邪竜は翻弄ほんろうされていた。

 少しずつ、少しずつ、邪竜の巨体がぎ落されていく。

 物量作戦がこうそうし、人間側の優勢。


 もちろんそのまま終るはずもなく、邪竜は反撃を開始した。


『バオオオオオッ!!』


 あきらかに声質の違う叫びが戦場に響いた。

 おぞましい肉塊の中から異形のクジラが姿をあらわす。



 ブシュウウウウゥゥゥゥゥゥー!!



 悪魔クジラは頭からしおを吹いた。

 黒ずんだ、不潔な色の液体が宙を舞い、霧のように邪竜の姿をおおい隠してしまう。


『な、なんだこんな物……』

『オイ! うかつに近づくな!』

『大丈夫だってこんな目くらまし……ギャッ!』


 無謀な接近をした一体の銀の鷹(アルジェント)が悲鳴を上げる。

 一瞬触れただけで鋼鉄のボディが腐食し、赤黒く変質してしまっていた。


『と、溶けるッ! この霧に触れると機体が溶けるぞっ、グアアッ!

 焼けるっ! 身体が、身体がアアアッ!』


 身体を焼かれる激痛に無謀な男が悲鳴を上げる。

 男は仲間に機体ごと確保され、退場を余儀なくされた。


『この霧、さっきのクジラ、もしかして巨鯨ケートゥスタイプじゃないのか? 

 なんでこいつの中からあんな……』


 じっくり検証している時間は与えられなかった。

 霧の中から何かが跳んでくる。


『ウッ!?』


 驚きの声を上げた瞬間。目の前にするどい牙のはえそろった巨大な口が迫った。

 検証していた男の銀の鷹(アルジェント)は首を噛み千切られ、そのまま霧の中へ墜落していく。


『さ、サメだ! 新型の空飛ぶサメだー!』


 目撃し、そう叫ぶ者にも新手のサメが跳んでくる。

 霧の中から続々と羽のはえたサメが跳びかかってきた。

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