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聖女×ロボット×ファンタジー! 死にたくなければモノ作れ、ものづくり魔法が世界をすくう!  作者: 卯月
第四章 ボクの夢は聖女さま!

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ビルドファ(自主規制)

 それからのルカは表面上、大きな変化があったわけではなかった。

 ヒョコっと勇輝たちの前に顔を見せては興味深そうに見学して、新型機兵の開発には参加して意見を言おうとさえしてくる。

 自分も何かしたくてしょうがないようなのだ。

 そして当然のように一つの欲求を持つにいたった。


 自分も守護機兵が欲しい。

 それも熾天使セラフタイプの。

 

「いや、さすがにちょっとな……」


 やることなすこと適当な勇輝も、さすがに九歳の子供に巨大兵器を持たせることは出来なかった。

 なにせ腕を振りまわすだけでも街を破壊し、命を奪ってしまう危険がある代物だ。

 九歳の子供に覚悟と責任を負わせるわけにはいかない。


 そう思う一方で、こいつに機兵は動かせない、とはちっとも考えなかった。

 おそらくだがルカには才能がある。

 そして情熱もある。

 いつかは熾天使セラフタイプだって乗りこなせるかもしれないという予感があった。

 

「えー、ダメなのお?」


 泣きそうな顔でおねだりされても、さすがにこればっかりは許可できない。


「そうだな。もっと大きくなって力のコントロールもできるようになってからじゃないとな」


 今のルカの魔力は爆発力こそすごいが持続力がてんでない。

 空を飛べたとしても十秒後に墜落、ではお話にならない。


「ぶー」

 

 文字通りぶーたれてるルカに対し、勇気はもっと小さなプレゼントをすることにした。

 

「そうふくれっ面をするなって。

 練習用にこれをやるから」


 三十センチメートルほどの大きさの、プラスチック製の守護機兵だった。

 白いボディとさらに重ね着した青い装甲。

 肩に重厚巨大な大型ビームライフルをかついでいる。

 まあ要するにプラモデルだ。


「うわカッコイイ! でも小さいよ!

 わっ軽い! ナニコレ!?」


 ルカはヒョイと持ち上げ、ゴツイ見た目とは裏腹の軽さにとまどっている。

 この世界にプラスチックなど無いので、初めての感触におどろくのも無理はない。


「まずはこいつを自由に動かせるようになれ」


 次に勇輝は武骨なデザインのブレスレットを二つ。

 アンクレットを二つ。

 腰のベルトを一つ。

 そして頭につけるサークレットを作り出した。


「これは?」

「まあコントローラー兼制御装置だよ」


 勇気は手に持ったまま六つの装備に魔力を流す。

 するとオモチャの機兵はルカの手から逃げ出し、ノシノシと地面を歩きだした。


「うわーっ!」


 ルカは瞳をキラキラさせて興味津々しんしんのご様子。

 

「どうやるの、どうやるの!?」

「これを身につけて、魔力を流して念じるんだよ」


 勇輝はとりあえず動かしかただけ教えた。

 じつは直接プラモデルに魔力を流し込んでも動かすことは可能だ。

 だがそのやり方だとルカが魔力を使いすぎて倒れる危険がある。

 安全対策として用意した六つの装備は、魔力供給が途切れた瞬間に装備者へ魔力を還元する機能を付けた。

 

「すっごーい! うおー!」


 六つの装備を付けたルカは大喜びだ。


「でもコレもうちょっとカッコよくならない?」


 飾り気のなさすぎるデザインにはダメ出しされてしまった。


「デザインは……まあ……頑張る」


 勇輝は女として数か月生きてきたが、いまだ着飾きかざるということににまったく興味が持てないでいる。

 身につけているアクセサリーはただ一つ、セラの入っている武骨な指輪だけだ。

 なんの飾り気もない、ただ丸いだけの指輪。素材も何だかわからない。

 

 望めば金銀財宝で山を作れる能力を持ちながら、欲しくないから、というシンプル極まりない理由で実行しない。

 実行しないのでいざ作ろうとすると、どうデザインしたらいいのか分からないのだった。

 

「ウーッ、これ動かないよー!」


 さっそく動かそうとこころみるルカ。

 だがまたウンウンうなりながらりきんでいるだけだ。


「腕力じゃねーんだって。魔力だよ、魔力を流し込むんだ」

「むぅ~ずぅ~かぁ~しぃ~いぃ~!」

 

 駄々だだをこねている。


「これが出来なきゃ機兵は動かせねえぞ。

 ほとんど同じだからな」

「ぶー!」


 なんどもぶーたれながら頑張るルカであった。

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